メディアグランプリ

国際比較文化論《やっぱり歴史は繰り返す編》


Yamamotoさん 国際文化

記事:Mizuho Yamamoto(ライティング・ゼミ)

 

日本の商品を、気持ちよく大量に買ってくれる人々がいるという。果てしなく右肩下がりの日本経済の救世主ともいうべき方々は、お隣の国からやって来る。「バクガイ」という単語と共に。

その方々は、いろんな品物をまとめ買いしてくださっている。家電製品においては、炊飯器を5個とか、医薬品においては目薬、マスク、のどの薬と空気の悪さへの対策品を箱買いしたり。紙おむつの箱買い、人気化粧品のまとめ買い。九州のいたるところで出会う彼らは、パワフルで、楽しそうで、いつも集団で行動している。

ビュッフエスタイルの朝食を、皿に大盛にして食べ残し、そこら中で大声で話してひんしゅくを買い、疲れたら地べたに座り込む。

ん???
待てよ……見たことのあるこの光景。
まさにデジャブと思うのは、50代くらいからだろうか。

場所は、ヨーロッパ。パリの街。

昭和50年代の農協の団体旅行のみなさんはルイ・ヴィトンのバッグを、このガラスケースの上の段全部とか、エルメスの本店で、このスカーフを10枚などという買い方をしていた時代があったのだ。

エコノミックアニマルと揶揄され、それでも海外の様々な国々に大いなる恩恵と、目を覆いたくなる愚行の数々を与えたもうた日本人。

中国の人々の様子を見ながら、ついこの前の日本人の海外旅行の様子だと思い出せる年代が減ってしまったのが寂しい。

国内においても、購買力旺盛な農協の団体さんを、かくいう私も接待したことがある。京都での短大時代のアルバイトで。

当時、大学の学生課の前に、アルバイト紹介の一覧表が貼り出されていた。仕送りを使い果たし、今月はピンチだというときに、ここを訪れて、急場をしのぐ手段を探した。

今から38年前、1日5000円昼食付きのアルバイトに、寺の掃除とともに、高収入の仕事として、産業会館での着物の反物販売というのがあった。

京都近隣の県の農協の団体さんが、大型観光バス何台にも分乗して反物を買いに来るのである。バイト生は、初めは反物の巻き直しを行っていたが、慣れてくると、希望に応じた色や柄を探してお客様の依頼に応えるところまで担当した。

「娘に、明るい色の着物を作りたいねんけど」

「おいくつぐらいの方でしょうか? お好き
な色はございますか?」

「ほなら、これなんぞいかがでしょう?」

自分のセンスを生かして様々な反物を紹介する。お客様は、会館に到着したときに受け取った透明のビニールの手提げ袋に、次々に反物を入れていく。電卓をはじくと、軽く数百万円になる場合もあったが、平然と、みなさんまるで白菜でも買うように(農協の団体さんは野菜を自宅用に買うことはないかもしれないが)気持ちよく購入してくださるのだった。

「あんたの見立てに任すわ」

バイトの私に、1本何十万の反物の見立てを任せるその太っ腹なきっぷの良さに、緊張しながらも、必死になって希望に添えるように反物を探した。

お昼の時間が近づくと、用意された部屋で、豪華な京料理のお弁当を振る舞うのもバイトの仕事だった。お弁当を並べて、お茶を入れて。混雑が一段落したら、

「あんたらもお食べ」

お客様と同じゴージャスなお弁当を、控室で食することができるという、美味しすぎるバイトに、申し訳ないような思いを抱いた。

当時の農協さんたちは、自由にお金を使えることがほんとうにうれしそうで、売り込むこちらも、この反物で出来上がった着物をどんな人が着るのだろうかと、」想像するだけでわくわくした。

パリでバッグやスカーフを売った店の人々はこんな楽しい気分にはなれなかったかもしれ
ない。

自国の自慢の商品が、日本人によって貶められる気分を味わったのではないかと思う。でも、売れるということは、嬉しいことでありそのあたりの心のバランスを、どう保っていたのかは、想像するに余りある。

今、中国人の爆買いを批判する人々に、伝えたい。歴史は繰り返されるのだと。ちょっと前までは、我が国が欧米に出かけて行っていたことを、中国人が日本に来て行っているだけなのだと。

戦争という行為によって、他国を侵略することから比べると、買い物にやって来て経済を潤す「爆買い」は、可愛いものではないだろうか。

行儀が悪い、集団で行動して声が大きくて困る、さまざまな迷惑行為についてついつい目くじらを立てがちな私たち。

今一度、過去の歴史を振り返ってみる必要があるのかもしれない。

海外に旅行に行ける嬉しさに、テンションが上がって声が大きくなったり、集団心理で常道を逸した行為に走ってしまったり。買物に熱中して周りが見えなくなったり。

経済成長期の一般人の行いに、もう少し寛大にならねばと反省する。

今や、どこに行っても行儀がよく紳士・淑女的だとみなされる日本人にも、大きな過去の汚点があったことを、知っている世代が語り継ぐべきだろう。

歴史は繰り返す。
国は違っても、人間はやはり同じことをするのだと。

今日も天神の街を歩くと、ぞろぞろと大きな荷物を引いて歩くお客様を見かける。

「ニイハオ!」

笑顔で挨拶して、リピーターの獲得に努めるのが、正しい日本人のあり方かもしれない。

 

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2016-02-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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