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4年前の“お祈りメール”に返信をしよう


 

記事:39さま(ライティング・ゼミ)

 

 

『最後になりますが、貴殿のますますのご発展とご活躍をお祈り申し上げます』

 

 

この言葉を何度見ただろうか。

いや、見る前にメールを閉じたから、実際に読んだのは数えるほどかもしれない。

 

 

あなたのいう“貴殿”は、“これからのご活躍”を御社でしたい、と志していたのだけれども…

 

そんな独り言は、いつの間にか言わなくなったし思わなくもなった。

 

 

ああ、はいはい

 

とメールを読んでは削除。

 

一応ブックマークに入れてあったけれど、そこからも削除。

 

次に進まねば。

 

 

今から4年前、私もこの時期にリクルートスーツに身をつつみ、

“普通”の学生らしく会社説明会に行き

“普通”の学生とはほんの少し違うことを履歴書でアピールする、就活生をしていた。

 

当時はまだ『アベノミクス』も『一億総活躍社会』も『女性の社会進出』も叫ばれてはいなかった。

もちろん『リケジョ』も流行ってはいない。

 

理系の大学院まで進んでしまった女性の私が志望する職種は、男性を採用する傾向があるし、

女性を採用する傾向がある職種は「理系の大学院出身の女の子がなんで」と言われる。

 

まさに、どっちを向いてもそっぽを向かれているようで

そんな中でも拾ってくれるところを探して、門をたたき続けるような毎日だった。

 

だから、冒頭にでてくる通称“お祈りメール”も、珍しくなんかなかった。

 

ちなみにお祈りメールとは、冒頭にあるように企業が学生へ不採用を告げるメールのことである。

メールの末尾に出てくる、学生の今後の活躍を“祈る”言い回しから、このように言われている。

 

 

拾ってもらえるところに入社する

 

ずっとそう思っていたし、懇願するような思いで面接にも行っていた。

 

どうか私を採用して

どうか私に内定をちょうだい

どうか私をシューカツから解放して

 

どうか、どうか、と思って受けたのに、どれだけ志望度が高い企業も、結果は“お祈りメール”だった。

 

企業研究もした、ESと言われるエントリーシートの添削も受けたし、面接の練習もした。

就活生がやること、と言われていることは一通りやっていたけど、ダメだった。

 

自分を否定されたような

私は、社会からいらないと言われているような

 

そんな気分だった。

 

 

 

 

あれから4年がたつ。

 

“お祈り”されっぱなしだった就活だったが、運よくひっかかった会社で社会人をしている。

拾ってくれた会社、ともいう。

 

『リケジョ』という言葉は今ではだいぶ浸透したが、

残念ながら白衣も着ていないし、試験管もふっていない。

 

ただの、会社員だ。

 

 

私を採用しなかった企業を忘れたわけではないが、だからといって目の敵にするほどでもなくなった。

 

当時は不買運動とか言って、落とされた会社の製品は買わない使わないなどと言っていたが

いつの間にか、そんなこともしなくなった。

 

ああ、就活生のときに受けたな、と思うことが、ごくまれにある程度だ。

 

日本の就活制度がおかしい、という話も聞くが、もう私には関係のない話と内心では思っている。

 

 

今では、すっかり就活を通り過ごしてしまったようだ。

 

そんな私でも、この時期になるとやはりあの頃を思い出す。

そして、少し考える。

 

今の私ならどうしただろうか。

あの頃の私に、今の私がアドバイス出来たら、なんと伝えるだろうか。

 

 

 

そう考えて、思い出した言葉がある。

 

「企業にとって採用はすごくお金のかかることなんだ」

 

 

詳しいことはもう覚えていないが、就活で出会った企業の人事担当者から言われたような気がする。

 

私はこの言葉の意味が分からなかった。

説明会をするのにお金がかかるのかな、程度にしかわかっていなかった私に彼はつづけた。

 

「一人社員を採用する、ということは、その人のこれから先の給料や、社会保障や福利厚生やいろいろなお金がかかる、ということだよ」

 

 

そういわれても、当時の私は今の半分も理解していなかっただろう。

 

しかし、今ならわかる気がする。

 

人件費は、高いのだ。

 

給料、社会保障、福利厚生、研修。

 

月給20万円の人が1年働くと240万円だ。

その人が30年働けば7200万円。

 

もちろん給料は少なからず上がっていくだろう。

 

しかも、1人を雇用するために会社が負担すべき健康保険があって、雇用保険があって…

 

 

そう考えると、企業にとって採用は投資だと言えるのではないだろうか。

しかも、億単位の金額が動く投資だ。

 

この学生が入ってきたら、億単位のお金がかかる。

 

では、この学生はどんな働きをするだろうか、

会社をどう成長させる戦力になるだろうか

果たして、投資に見合った活躍をしてくれるだろうか。

 

それを企業は顔写真付きの書類1枚と、たった数回の面接で見極めるのだ。

 

慎重にもなるだろう。

少しでも嫌な予感がしたら採らないだろう。

 

かつての私のように、“どうかどうか就活”をする学生なんて、

私が採用の立場にいたら、絶対に採らない。

 

まず、自分のことしか考えていない。

さらに、活躍しそうになく、会社を発展させる人材にもみえない。

 

自己中心的で自分に自信がない人間を、他人が信頼できるわけがないのだ。

 

そう考えると、当時の私はダメな就活生のお手本にでもなれそうな学生だったようだ。

 

 

では、今なら。

私はどう就活をするだろうか。

 

 

今なら、自分を数億円の価値がある商材として、それを売り込む

しかも、期待させるように。

 

 

企業研究も、ESの添削も、面接の応答練習も。

もちろん大切だ。

 

でも、それは商材である“自分”のことを売るツールにすぎない。

 

 

自分とだれよりも一緒に過ごしてきた自分だから知っている“強み”と“弱み”がある。

今までで一番努力したことも、自分でしか話せないことだ。

 

自分にしかわからないことを、

自分以外の人にどう伝えるか。

 

自分が魅力的だと思う自分のことを、

自分以外の人にも魅力的だと思ってもらうにはどうするか、

 

自分をどうコンテンツにして提案するか

 

それだけだったのではないだろうか。

 

 

企業研究を深めると、相手にとってどんな戦力がほしいか見えてくる。

ESを練ると、限られた文字数でも自分のことが伝えられる。

そして、面接では相手が知りたい情報を的確に伝える。

 

それらは、すべて“私”に興味を持ってもらうためであり、さらには魅力を感じ、期待させるための準備でしかない。

 

期待できないものに、だれも労力は割かないだろう。

 

しかし期待できるものには、労力を惜しまないのではないだろうか。

時間をかけ、お金をかけ、人員を割いて、その人に眠る可能性を引き出そうとするのではないだろうか。

 

 

もし、今の私が当時の私にアドバイスできるなら

 

「お祈りメールを受け取っても、気にすることはない。そんなものはごみ箱ボックスにいれてしまえ」

 

と告げるだろう。

 

そして、こう続けるだろう

 

「お祈りされたからと言って、あなたが否定されているわけでもないし、社会から必要ないと思われているわけでもない。自分に価値がないと思ってはいけない」

 

「むしろ、自分で自分を価値のあるものと認めること。自信をもつこと」

 

「自信を持てない人を、期待する人なんていないのだから。

自信をもって、期待を背負える人になってほしい」

 

 

 

まぁ、そんなことを言ったって、それができたら苦労しないと言われそうだ。

 

4年たった今の私も、あの頃の私とはまた違う場面で、自分の売り込み方に苦労しているのだ。

 

 

だから、もう一つ追加。

 

「もし可能なら、ライティングゼミ、受けるといいよ。」

 

 

苦労はしているが、その苦労が少しずつ楽しくなっている。

 

 

***
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2016-03-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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