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メディアグランプリ

貯金が20万円しかないのにライティング・ゼミに4万円つっこんだ男の話


【3/31までにお申込みの方限定】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《初回振替講座有/通信受講有》5,000円分の特典付き先行受付!

記事:コメダ コーヘーさま(ライティング・ゼミ)

去年の12月、暖房が効いていない冷えた部屋で、僕はライティング・ゼミの参加費4万円を振り込んだ。マウスを持つ手は少し震えていた。

仕事を辞めたばかりで、手元にあるのは雀の涙ほどの退職金と、これまた雀の涙ほどの夏のボーナスの残り、あわせて20万円ほど。
自分の全財産の20パーセントを、何だかよく分からない書店がやっている、何だかよく分からないゼミというものにつっこむのは少し勇気がいったが、ほとんど迷わなかった。「人生を変えるライティング教室」という言葉にどうしようもなく惹かれてしまっていた。はっきりとしないながらも、自分の中に変えたいと思っているものがあった。

実際に講座を受け始めると、すぐにつまずいた。
地方に住んでいるので通信で受講せざるを得なかったのだが、飽きっぽい性分の人間にとっては、1人で講義を受けるというのがまずもって辛かった。
それでも何とか食らいつかねばと講義を見ては文章を書こうとしてみるが、これが自分でもびっくりするほどに書けない。
講義の内容を理解したつもりでも、いざ自分で筆を執ってみるとまったく進まない。
理解することと、それを使いこなせることはこんなにも違うのかと茫然としているうちに2週間が経ち、あっという間に次の講義が始まる。他の受講生が次々に記事を書き上げているのを見て焦り、早く自分も書かねばと思うけれど、筆は一向に進まない。そうしてまた焦りだけが募っていき、2週間が終わる。そんなことを何度も繰り返した。

それでも何とか自分を奮い立たせ、必死になって書き上げた記事は、「店主とのハゲ観の相違」という理由でお蔵入りになった。完全に心が折れた。

それからは、講義を見るのもおっくうになり、パソコンを開くことすらしなくなった。
他の受講者が記事を上げるたびにスマートフォンに届く通知が嫌でしかたなかった。毎週月曜日は通知で画面がいっぱいになるので、スマートフォンもなるべく遠くに置くようにしていた。
結局、ライティング・ゼミが最終回を迎えようとしているこの日まで、僕の記事が掲載されることは一度もなかった。

戻りたい。あの日に戻りたい。4万円を振り込んだあの日に戻りたい。
でも、戻ってどうするというのだ。そもそも、どうして僕は「ライティングで人生を変えたい」などと思ったのか。

「人生を変えるライティング教室」という言葉に惹かれたとき、頭に浮かんだ「人生」は、現在でも未来でもなく、自分がこれまで歩んできた、過去の人生だった。
その時の僕にとって、「人生を変える」ことは「過去を変える」ということと同義だった。

でも、「過去を変える」ということが何を指すのか、立ち止まって考えてみるとよく分からなくなった。そもそも過去になど戻れるはずもないのに、どうやって過去を変えるというのだろう。

そんなことを考えている時に、天狼院5代目秘本の『コーヒーが冷めないうちに』を読んだ。この本には、「フニクリフニクラ」という、過去に戻れる喫茶店が出てくる。ただし、過去に戻るにはいくつもめんどくさいルールがあり、そのひとつに、「過去に戻ってどんなに努力しても、現実は変わらない」というものがある。

登場する4人の女性は、現実は決して変わらないとわかっていながらも、過去に戻る。そして、戻った過去でそれぞれの心に刺さっていたとげをとって、現実へ帰ってくる。
現実は、過去に戻る前と何も変わらないっていないけれど、4人の女性の心だけは、確かに変わっている。そして、その心を持って、4人は未来へと歩み出していく。

僕が求めていたのは、まさにこれだった。
僕が欲しいのは、『ドラえもん』に出てくる、過去と現実がつながっていて、過去を変えると現在が変わってしまうタイムマシンではなく、この『コーヒーが冷めないうちに』に出てくる、少し欠陥のあるタイムスリップだった。

僕が変えたいのは、過去そのものではなかった。いつまでも過去を振り返ってうじうじしている自分の心だった。
だからこそ、この本を読み終えたとき、「ずるい」と思った。この本に出てくる登場人物たちには「フニクリフニクラ」がある。でも、僕にはない。僕はどうすればいいのか、

書けばいいのだ。

過去を思い出し、あのころに戻って、書いて書いて書きまくればいいのだ。
「フニクリフニクラ」では、タイムスリップは一度しかできない。
でも、書くことは何度だってできる。過去に何度でも向き合って、どれだけ時間がかかっても、自分の心に刺さったとげを一本一本抜いてやればいい。
きっと、そうして過去をひとつずつ書き上げていけば、きっと、現在や未来に少しずつ目を向けることができるのだろう。

ライティング・ゼミは、僕にとっての「フニクリフニクラ」だった。1回目のタイムスリップは失敗して、やっとわかった。

貯金は、ライティング・ゼミに申し込んだあの頃から少しだけ増えて28万円になった。
僕はこの春、2回目のタイムスリップをする。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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2016-03-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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