夢みる大人のままでいさせて
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:野川うさぎ(ライティング・ゼミ平日コース)
「明日からまた会社嫌だな~」
日曜日の夕飯の後にいつも思っていた。
朝6時30分に目覚ましが鳴って、ベットでうだうだして6時45分に諦めるように起きる。
そこからは、覚悟を決めているせいか、着替え、洗顔、朝食、歯磨きとせわしく準備して、8時6分の電車に乗り、いつもの車両に揺られながら8時45分に出社する。
月曜日から金曜日まで、週5日同じ朝の繰り返し。
そんな毎日を過ごしていたのは、今からずいぶん前の新入社員の頃の私である。
上司、先輩も同僚とも仲良くしていたので、人間関係の問題ではない。
会社に行けば、それなりに楽しくやっていた。
就職氷河期にやっとの思いで内定をもらった会社なのに辞めてしまった。
転職をして決まった会社でも、結局は同じような毎日を送っていた。
「人は何のために働くのか?」
働き始めてからずっと、この質問を自分に問いかけている。
もちろん「生活費を稼ぐため」に働くのだが、
たくさんの職業がある中で、たまたま採用された会社、職業で働いている自分はいいのだろうか。
「このままで大丈夫なのだろうか」という漠然とした不安を抱えていた。
働くことによって得られることは、大きく分けると次の3つであろう。
第一に給与がもらえる。
第二に社会参加ができる。
第三に自己実現ができる。
学生時代のアルバイトであっても、給与と社会参加は得られる。
では、「自己実現」はどうであろうか。
就職活動中の学生は、「会社に入って実現したいこと」を面接で問われることが一般的である。
転職活動であっても、「当社であなたができること(したいこと)は?」と必ず聞かれる質問だ。
以前観たテレビドラマの中で、主人公が毎回言うセリフに「私には夢があります」から始まり、その夢のひとつに「自分の故郷に橋を架けること」があった。
そのために建設会社に入社したというものがあった。
自己実現のための就職である。
この主人公のように自己実現を働くことで行えている(行おうとしている)人はどれくらいのだろうか。
子供の頃から大人になったら働くことは当たり前と教育され、
節目ごとの卒業アルバムには、「将来の夢」の記載が必ずある。
私の場合は、幼稚園の時はケーキ屋さん、小学生の時は獣医さん、中学生の時は通訳と書いてあった。
現在どの職業にも就いていない。
同級生には、野球選手、サッカー選手、歌手、弁護士、学校の先生など様々だった。
将来の夢を実現している人が、世の中にはどれくらいいるのだろうか。
かなり少ないことは確かであろう。
私の周りでは、1人だ。
電車が大好きで「将来電車の運転手になる」と答えていた彼、同窓会であった時に、「私鉄の運転手になった」と言って担任の先生に誉められていた。純粋にすごい!
先日、小学生の姪に将来の夢を聞いてみた。
私:「大人になったら何になりたいの?」
姪:「うーん。まだわからないけど、パパは公務員が私にはいいって言ってる」
私:「最近はYouTuberとかなんじゃないの?」
姪:「私は無理。だって人気になれる人は少ないもん」
現実的な考えを既に小学生でもっている。
そして、公務員って親が誘導していること、親の気持ちに共感もできる。
「夢」=「職業」という方程式は、単純でわかり易いが、実現は難しいものである。
では、「自己実現」=「働くこと」はどうであろうか。
人は、会社や職業の中で、「自分がしたいこと」もしくは「できること」を見つけて、
それに向かって頑張るのではないだろうか。
もしくは、折り合いをつけているのかも知れない。
現在私は会社員を辞めてフリーランスで働いている。
会社員で働いていた時と同じ仕事内容である。
独立したくて準備していたわけではなく、転職すると同じように、
個人事業主に転職したと言った方が正しい。
新入社員の時にたまたま配属された仕事内容が、今も続いているのである。
一般的に楽しい仕事の部類ではない。PCに向かい黙々と作業する地味な仕事だ。
同じ仕事内容なのに、今は日曜日の夜に「明日会社嫌だな~」とは思わない。
必要ならば土日にも仕事をするし、顧客に対して積極的に対応している。
なぜだろうか?
大きな違いは、個人事業主の場合、誰かに命令された仕事ではない。
どんなに面倒くさい仕事であっても、契約で自分が了承したという「選択」により、納得した仕事を行うことになる。
私は「自己実現」をしているとは言えないが、「できること」を商売にして働いている。
「自分にはもっと違う何かができるのではないか」と心の奥底で思っているのかも知れない。
大人になって夢を求めているなんて恥ずかしくて言えない……
でも、皆も同じような感情を抱えながらやり過ごしているのではないだろうか。
ライティング・セミナーを受講しようと思ったのは、
資料作成などの仕事に役立ちそうと考えたからであった。
しかし、それは建前だったと初回の授業を受けて感じた。
心の奥にある野望、いや希望のようなワクワクする気持ちが湧いてきたからである。
夢見る大人に戻してくれたセミナーに淡い期待を感じながら、日曜の夜を過ごししている。
***
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