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ワクチン接種からみる日本品質

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:笠原 康夫(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「えっ、もう終わったの?」
意を決して臨んだワクチン接種はあっという間に終わった。
 
ようやく日本国内でも、ワクチン接種が進んできた。
私も一昨日、1回目の接種を済ませた。
マスコミの報道やSNS上の飛び交う言動まであらゆる情報や意見があることは承知していた。
だが、私はいたって中立派。周囲に無理に接種を推すこともなく、ワクチン接種に対するネガティブな意見も尊重している。
ただ私は、集団免疫の大切さ、周囲に迷惑をかけたくない気持ち、なによりも自分の身を守るために素直に接種することにした。
 
ただし、まったく不安がなかったわけではない。
2週間前に嫁が1回目の職域接種を受けた際、接種直後に目まいと動悸の副反応が出ていたからだ。
自分も他人事ではないと思い、副反応は承知の上で臨んだ。
接種日が近づくにつれてどんどん不安が大きくなっていた。
 
だが、そんな不安も終わってみればどこ吹く風。
接種の後、印象に残ったのは、接種会場における優れたサービス品質だった。
 
日本のワクチン接種の開始は諸外国に比べると遅れた感は否めない。
ただ、いざ接種が始まってみると、日本の運用体制、いわゆるオペレーションは優れていた。
こうした優れた面こそ広く知らしめるべきと思った。
 
□  □  □
 
まず、事前予約。
私が居住する東京都S区は全国でも一足先に65才未満対象の接種通知があった。
いち早く通知案内が届いたことにプレミアム感があった。
世間では打ちたくても打てない人がいる中で、早く届いたからには速やかに接種しようという気持ちになった。
 
そして予約開始日。
当初の予約開始日が直前に数日、繰り上げされた。延期はよくあるが、繰り上げとは意外。
また会場も大規模ホテルが追加された。
時期が早くなり、会場の選択肢も増えた。接種活動の加速感がひしひしと伝わってきた。
 
予約開始日。
スマホからQRコードを読み込んで予約ページにアクセス。
ホテルのネット予約のような要領でスムーズに手続きが進む。
「副反応が心配だから念のため土曜日にしておこう」
週末の枠もすんなり予約できた。
 
前日に確認メールが届く。
登録したメールアドレスに事前確認メールが届く。ホテルの予約確認メールと同じ感覚。
 
そして、いよいよ当日。
予約時刻は14:45。ゆとりをもって10分前に会場のホテルに到着。
立て看板を持ったスタッフがホテルの入り口から会場フロアまで各所で案内している。
 
5階の会場に到着。
混雑を予想して入場すると意外にも空いている。
待つことなくスムーズに一次受付へ進む。
受付の手前でスタッフが、「予診票はご記入ずみですか?」と立ち話程度に内容を簡単にチェック。
チェックが終わると「身分証を出して受付へお進みください」
少しでも受付での滞留時間を減らすための配慮が行き届いている。
 
一次受付を済ませ、予診票受付へ。
予約時刻より10分早いが、すぐ案内された。検温済ませ、予診票受付け。
会場入りしてからここまでおよそ1分程度。
 
続いて問診ブースへ進む。
カーテンで仕切られたブースが3つ。ライトが点いてブザーが鳴ったらブースに入る仕組み。
待つことなくブースへ案内される。
中にはお医者さんが1名待機。
定期健康診断の問診と同じ雰囲気。予診票を見ながら、服用薬や既往症の有無について問診。
30秒程度で終了。
 
そして、いよいよ接種ブースへ。
こちらもブースが3つ。こちらも待つことなくブースへ案内された。
 
「あれあれ、もっと直前に気持ちを入れてから接種に臨もうと思ってたのに……」
あまりのスムーズさに若干、拍子抜けしつつ、接種ブースのカーテンを潜った。
 
がらーんと広いブースの中に接種する先生と看護師さんが待機している。
先生の前には椅子が一脚。左腕側を先生の向きに着座。
まもなくアルコール消毒。
そして「チクっとしますよ」と言われ、改めて緊張をほぐそうとすーっと深呼吸しよう、と思った瞬間、「はい、終了です」その間、体感時間で2,3秒。
「えっ、もう終わったの?」
まったく痛くもなく、本当に打ったのか?
よくテレビニュースで接種の映像が流れているが、不謹慎だが、撮影用に長めに打っているのでは?
と疑ってしまう。
 
接種が終わり、最後に接種済み証を受け取る。
済み証と一緒に「14:56」と時刻を手書きした付箋を渡され、経過観察コーナーで休むよう案内される。
 
15分間の経過観察。
ここが一番、緊張する場面。副反応が出るか出ないか?
経過観察コーナーには、30人くらいの30~40代とみられる男女が一方向に整然と並べられた椅子に腰かけている。みんなスマホをいじりながら、ひたすら静かに待っている。
あまり見たことがない不思議な光景。
 
30人程度のうち、1人の男性が左腕のしびれを訴えた。
すると医師が速やかに駆け寄り、優しく声をかける。
1人の女性は、ぐったりした様子で不調を訴えた。医師がしっかり寄り添って対応していた。
 
適度な緊張感、迅速な対応、配慮ある優しい対応……日本らしい安心感のある場面を見た気がした。
 
15分経過。幸い私の体には異常はなく、ひと安心し、会場を後にした。
 
少し不安な気持ちで翌朝を迎える。
翌日、翌々日に副反応が現れることも多いと聞いていた。朝起きてみて何か異変がないか自分の体に問いかけてみた。幸い、大きな異変はないようだ。
ようやく48時間を経過しようとしているが、左腕に少し違和感があるものの痛みもなく、今も支障なくパソコン作業に勤しんでいる。
 
□  □  □
 
ベルトコンベヤー式ともいうべきシステム化されたオペレーション。
要所要所でスタッフがそれぞれの役割を責任をもってこなす。
スタッフの適度な緊張感ときめ細やかなケア。
このように、現場のオペレーションは優れた面が際立っていた。
これをあえて日本品質のオペレーションと名付けたい。
 
こうして私は1回目の接種を幸いにも難なく終えることができた。
これもひとえに接種会場で従事する関係者の皆様の努力の賜物だ。
接種を受ける側は一回、二回で終わるが、接種する側は長期戦だ。
あらためて国民のために労を尽くしていただいている関係者に感謝したい。
おかげさまで来月の2回目の接種も安心して臨めそうだ。
 
 
 
 
***

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2021-07-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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