オンラインパーソナルトレーニングを勧める、たった一つの理由
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:ozuka(ライティング・ゼミ平日コース)
「二の腕が気になるんだよねえ」
ひとり言に見せかけて、妻が私の顔色を窺っている。
明らかに、試されている。
「そんなことないよ、全然変わってない」
パソコンのCPUのように、頭をギュンギュン動かし
最適解と思われる回答を特定し、答えた。
しかし、本音では
(たしかにそうだな)
そう思っている自分もいる。
そうは言いつつ、私も自身の体が気になっている。
お腹周りは確実に大きくなっているし、足は確実に細くなっている。
学生時代に部活で培った、筋肉という名前の財産は、とっくの昔に使い果たされている。
最も深刻な問題は、集中力だ。
仕事でも、明らかに集中できる時間が短くなった。
がむしゃらに、何かに没入できる体力は、あって損なことはない。
二の腕について会話をしていると、ふと思い出した。
3年前、一人でトレーニングジムに行こうとしたことがあった。
家から近いジムを探し、ネットで申し込みをした。
数日後、ジムで受付をし、女性のトレーナーに案内してもらった。
特徴的な香水の匂いが、なぜか印象に残っている。
トレーニングルームには多様な器具があり、ぐるっと部屋を回りながら、それぞれの器具の説明を受けた。
トレーナーの説明は丁寧で、トレーニングに対する熱意や造詣の深さが伝わってきた。
いろいろな器具を試しながら、
「ここなら、運動を続けられるかもしれないな」
そう勘違いした。
(トレーナーが綺麗な方だった、というのが重要な要因だった可能性もある)
当時、週二回くらいは通っていた。
しかし、一か月ほどしてから、急に仕事が忙しくなった。
結局それ以降、サボっていた心の負債がたまり、行かなくなってしまった。
月々の出費が勿体なくなり、解約した。
「なんて継続性のない、ダメな人間なんだ…」
そう悩んでいた。
トレーニングを続けるのは、自分には難しい。
そう思っていた。
当時の自分を思い返すと、そもそも「ジムに行くまで」が大きなハードルだった。
距離だけの問題ではない。
仕事からクタクタで部屋に帰ってきて、部屋にはたくさんの誘惑がある。
部屋で過ごす時間が長くなればなるほど、ジムから遠ざかっていく。
これからジムに行くのか、という心理的なハードルが大きかった。
そんな苦い経験が過去にあったな。
妻との会話で、ふと思い出した。
「二の腕」の会話から数日後、
スマートフォンでだらだらと動画を見ていた。
そこで、とあるWEB広告が目に入ってきた。
「『オンラインパーソナルトレーニング』PCがあれば受講できます」
この文字を見つけた時、心が動いた。
自分に必要なものはこれだったのではないか、そう思った。
同じ部屋でダラけていた妻に、
「これ、一緒にやってみない?」
そう、聞いてみた。
運動が嫌いな妻は、少し逡巡した。
二の腕を、確認するようにつまみ、しぶしぶ頷いた。
オンラインパーソナルトレーニングは、ZOOMで行う。
今日の体調をヒアリングされ、準備体操やストレッチを行う。
その日の要望に合わせて、トレーナーがメニューを考えてくれる。
トレーニング中、しんどくなってくると、
「いける!限界はまだ先だよ!」
「前回より余裕そうだから、回数増やしてみよう!」
「奥さんサボってない!?」
そんな感じで、発破をかけてくる。
実際にやってみて、よかった、という点がたくさんあった。
まず、パーソナルトレーニングであるため、様々な要望に答えてくれる。
最近、登山に目覚めた私は、登山で疲れないためのトレーニングをリクエストしている。
また、妻と二人でトレーニングを行っているため、パーソナルトレーニングとは言え、料金が一人当たり半分になった。
なんとなく、
「これはほんとに続くかも」
と思った。今度も勘違いだろうか。
自分の名誉のためにいうと、トレーナーは綺麗な女性ではなく、筋肉質な男性である。
(筋肉質なトレーナーが香水をつけているかは、リモートなので分からない)
過去の経験を思い出してみる。
トレーニングジムの場合は、その場所に行くことに強い心が必要だった。
心の弱い自分にとって、継続して通うことは、とても高いハードルだった。
翻って、オンラインパーソナルトレーニングのメリットは、その手軽さだと思う。
LINEで日時を決めて、送られてくるZOOMのURLをクリックすればトレーニングが始まる。
つまり、マウスの人差し指を動かす意思さえあればよい。
オンラインパーソナルトレーニングは、アロマオイルに似ている。
アロマオイルは、
どんなに部屋が散らかっていても、
どんなに気が張っていても、
部屋の空気を変えることができる。
結果的に、今いる部屋がリラックス専用の部屋へと変貌する。
やることは、アロマディフューザーのボタンを押すだけだ。
オンラインパーソナルトレーニングも同じだ。
キッチンで皿洗いをしていたとしても、
持ち帰った仕事の続きをしていたとしても、
そんなことは関係ない。
ZOOMの「参加」ボタンを押せば、トレーナーに繋がる。
私のモチベーションとは無関係に、リビングがトレーニング専用の空間に変わる。
運動をする「空気」を作ってくれる。
これが私にとって、継続につながる、最も重要な要因だ。
今のところ、数か月間継続できている。
当初目的としていた、集中力も戻ってきた。
妻の二の腕は、かなり引き締まってきて、褒めてほしそうにこちらを窺っている。
オンラインパーソナルトレーニングに、とても感謝している。
何より、継続してトレーニングができている自分は、なぜか誇らしい。
アロマオイルを炊きながら、オンライントレーニングしようかな。
残念ながら、香水が印象的だった綺麗なトレーナーさんには会えないけれど。
妻には内緒で、そう思った。
***
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