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ライティングは下心



記事:住所不定☆ジョブズ(ライティング・ゼミ)

 

*この文章は、「天狼院ライティング・ゼミ」の受講生が投稿したものです。

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男は追いかけるものであり、女は逃げる習性を持つ。そして、逃げれば逃げるほど追いたくなり、追われれば追われるほど逃げたくなる。男女関係は、追いつ追われつの関係ではないだろうか。最近では肉食系女子と草食系&絶食系男子の登場で、その関係は逆転する場合もあるが、基本はこの通りと考えられる。そんなことから、男はフラれるのが当たり前であり、数多くアタックしないと始まらない、とネットという教科書に書いてあった。

 

最近は、婚活も活発に行われているようで、ネットを利用したマッチングサービスが人気である。サービスに登録すると、同じように登録した異性の会員を検索出来るようになる。あとは、賃貸における物件探しと同じ要領だ。検索して気に入った人にメールを送り、受け取った側が良いと思えばやり取りが始まる。そして、メールを送れる相手の人数は基本的に無制限であり、数多くアタックするには打ってつけのシステムといえる。言葉は悪いが、「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」である。

 

登録したら最初にやらなければならない事がある。プロフィールの作成だ。その中でも重要なのが自己紹介である。男性の場合、検索で見てもらえる可能性は低いかもしれないが、相手からメールが送られてきて、併せて見るのはプロフィールだろう。プロフィールに書かれた各項目と自己紹介を見て、どうするか判断する。メールの内容も重要だが、自分の看板でもある自己紹介は、最重要項目と言える。400〜1000字程度が多いと思われるが、出来るならば印象に残る文にしたいところだ。

 

ところが、実際には似たり寄ったりである場合が多い。例えばである。

『はじめまして

プロフィールを見てくれてありがとうございます。住所不定☆ジョブズと言います。趣味はアニメを見る事とゲームをする事です。操作が上手く出来ないので、スマホよりはゲーム機の方が好きです。特にファミコンやスーパーファミコンといったレトロゲームの魅力に目覚めたところです。

 

休日になると、サブカル系のイベントに行ったりもします。最近はローカルアイドルにも興味があるので、ライブに行く事もあります。友人からは、「アクティブに活動していて楽しそうだね」と言われます。確かにひとりで趣味を満喫するのも楽しいですが、実はちょっと物足りなさも感じています。一人よりは二人の方が楽しい事もあると思い、ここでパートナーを探したくて登録しました。

自分ではオタク気味かな、と感じる事もありますが、お互いに支え合える存在になりたいと思いますので、よろしくお願いします』

 

こんな感じではないだろうか。もし、検索されたなら、間違いなくスルーされるだろう。読めばわかるでは、読んでもらえない。「人は見た目で判断してはいけない、中身だよ」という意見と同じで、実際のところは見た目が9割である。見た目が悪いと中身まで辿り着かない。

 

そこで、まず使われないであろうフレーズのタイトルを付けて「何だろう」と思わせてみる事にした。例えば「パートナーを探していなかった」などである。自己紹介本文も一切紹介を行わず、パートナーを探す事についての心構えのみを述べてみた。すると、1ヶ月の間に5件以上の「足あと」と、1件の「お気に入り」が入った。「足あと」は設定で変える事が出来るので、もしかしたら気付かずに付けた可能性もある。だが、「お気に入り」に至っては、必ずボタンを押す行為が発生するので、見てくれた人の明確な意思表示と言える。

 

メールに関しては、気に入った人のためだけに書くので、ライティングの真髄が試される事になる。送る相手のプロフィールを確認し、どの内容に焦点を当てて書くかを瞬間的かつ即興的に考えていく。当然、うまくいかない事も多くなり、時にはサクラに送ってしまう時もある。だが、「ライティングはサービスである」という事を忘れなければ、これ以上ない練習相手だ。生半可な気持ちでは、心が折れて書き続ける事は困難になるだろう。だが、うまくいけば彼女が出来るかもしないと考えれば、継続出来るのではないだろうか。下心さまさまである。

 

もし、サクラに当たったとしても、彼ら(彼女ら)は、私たち善良な利用者をうまく騙してお金を得ようとしているプロなので、その文章は参考になる。何かの機会に利用すれば良い。

 

だが、欠点もある。この方法は女性が使えない事だ。そして、男性でも妻帯者も使えない。もし使うのであれば、自己責任でお願いしたい。

 

さて、そろそろメールを送らなければならないのでこれで失礼する。おっと、言い忘れていた。

 

「ライティング技術の悪用はほどほどに」

 

 

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*この文章は、「天狼院ライティング・ゼミ」の受講生が投稿したものです。

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*この作品は、天狼院メディア・グランプリ参加作品です。

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2016-04-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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