メディアグランプリ

少しずつ、母親になっていく


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:まるこめ(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
娘を育てて5年経った。子供を授かってから、今日まで、毎日が初めての連続だ。
それなのに、世間の「母親」に対する風当たりというのは、どうも強いように感じる。
 
「聖母」なんて言葉が存在するからなのだろうか……
 
世間が理想とする「母親」は、仰々しいくらいに神々しい。
家事はもちろんの事、常に笑顔で子供と向き合い、休む間もなくとも、弱音を吐かずに人生をかけたミッションを完遂しなければならない。これらのひとつでも欠けることがあれば、世間は容赦ない非難をする。言い訳なんて、許されない。もし、いい訳の一つでもしようものなら「自分が選んだんでしょ」なんて、心ないことを平気でいう人だっている。
 
もちろん、自分が選んだ人生に後悔なんてない。
それでも「弱音くらい吐いたっていいじゃないのよ」と、笑顔の仮面の下で誰にも悟られず泣くことだってある。まるで、魔女狩りにでもあっているような気分だ。「母親」なってみて思うけれど、なんでこんなに「母親」に完璧を求めるんだろう? って、不思議でならない。確かに、他人の人生を預かるようなことをするわけだから、もちろん責任重大だ。ゲームみたいにリセットが効かないし、都合の良いところからロードしてやり直すこともできない。毎日が一発勝負だ。失敗が許されない、というプレッシャーは常に隣にいる。
 
産んで間も無くの時は、私もやはり「ちゃんとした母親」を目指していた。
だけど、年々その「ちゃんとした母親」っていうこと自体に違和感を覚えるようになった。そんな時に、思いがけないことが起きた。
 
「あらー、こりゃいかん。ほんとこげんあるとよ」
 
私の母だ。うっかり水をこぼしたらしい。
私から見た母は、まさに「ちゃんとした母親」の鏡だった。家をしっかり守り、子供のことをいつも気にかけ、常にバッチリとしていた。そんな母がうっかり水をこぼすなんて、私からしたらびっくりなのだ。
 
 
「いや、知らんだけで、ママだってよくやるとよ」
「ママでもそんなこと、あるんやねぇ」
 
 
「当たり前くさ!」
 
 
ハハハ、と言いながら溢れた水を拭く母をみた時に、ずっと抱えてきたモヤモヤが晴れてきた。あぁ、別に「ちゃんとした母親」になんて、ならなくていいんだと思った。
 
私自身、この子のおかげで「母親」という役割を任せてもらっている。子供の年の数と同じだけ「母親」をやっているだけのただの一般人だ。別に偉人のような功績を残しているようなすごい人なんかでもない。ただ、フツーに平々凡々に生きてきただけの人だ。それが、一朝一夕で「はい、今日から私は立派な母ですー」って、なれるわけがない。どう考えても、できる方法が思いつかない。
 
だから、私は神々しくなんてなれない。
泥臭くてもいいから、ありのままの自分の姿でいようと思った。
 
不器用だから、家事はいまだに何度手間になることだってある。
皿だって割るし、料理だって、たまに「なんじゃこりゃあ!」と、驚く名作を生み出すことだってある。だけど、それでいいじゃないか。きっと、失敗している姿からでも伝えられることはたくさんある。失敗する度に「こうしたら、きっと次はうまくいくね」なんて話をしていたら「きょうは、かんがえて、こうしたから、はやくおかたづけできた」なんて、こっちが驚くような程、成長を見せてくれるようになった。
 
なんでもできる母親でいられれば、それに越したことはないだろう。
もちろん、そうでありたいとは思う。だけど、それが本当に自分と子供のためになっているかといえば、絶対にそうだとも言い切れないだろう。
 
私は、おそらくなんでも器用にこなせるような人間ではない。むしろ、失敗や挫折なら人の倍、している自信だけはある。成功体験だけが正しいとは思わない。つまづいた時に、そこからどうやって次に繋げていけるかを一緒に考えられる役割が、私ができる「母親」らしさなのかもしれない。反面教師にしてくれているからだろうか、彼女はとてもしっかりとしている。最近は、大きな布団を1人で畳もうとしている。小さな体では難しい作業、初めは「できないー!」と悔しさをあらわにするだけだった。だけど、根気強く「どうやったらできるかなぁ?」と言い続けていると、とうとう「ここまではできたけど、ここは難しいから一緒にしてほしい」と、いつの間にか「報連相」が身につき始めている。
 
そんな彼女の成長していく姿を見ると、少しだけ自分自身のことを誇らしくなる。
きっと、こうやって「母親」に私も成長させてもらっているんだろう。
 
心の中で、少しだけガッツポーズをした。
 
 
 
 
***

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2021-07-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事