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男性こそ受けるべき「顔タイプ診断」


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ozuka(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「どっちが似合うと思う?」
妻と服を買い物に出かけると、必ず聞かれる問いである。
 
そして、必ず揉める。好みの服のタイプが異なるからだ。さらに残念なことに、どちらを答えても、何も変わらない。彼女の悩みが解消されるわけではない。では、どう答えればよいのか。
 
「いつも服を選ぶの、時間かかるんだよね」
 
妻自身にも、自覚があった。自分の似合う服が明確ではない中、買い物をすることになる。目的地もなく、地図を見ているようなものだ。結果的に、「総当たり」「しらみつぶし」で探すことになる。
 
答えのない問いに、決着をつけたい。頭の片隅で、そう考えていた。
 
一年ほど前だっただろうか。
テレビで、「顔タイプ診断」というサービスの特集をやっていた。そこで見たのは、顔の形や目の比率で、似合う服が決まる、というものだった。
 
今まで、「パーソナルカラー診断」や、「骨格診断」は聞いたことがあった。そういったものでも、似合う服は探せるのだろうが「顔タイプ診断」は聞いたことがなかった。
 
心に引っかかったのは、顔タイプ診断が「定量的」であったことだ。見る人の主観ではなく、目の長さや、比率といった、客観的な尺度でタイプが決まるという。理屈っぽい私にとっては、そのサイエンスっぽさ、つまり「再現性高く」似合う服装が分かる、というところが気になった。
服は「感性」で選ぶものだと思っていた。感性を、長さや比率という尺度に落とし込んだところで、似合う服装を選べるようになるのか、正直疑問だった。
 
妻に話すと、かなり乗り気だった。こうなったら、長年の「どっちが似合う?」論争に決着をつけようではないか、と。好奇心に負けて、申し込むことにした。
 
二人分、診断を申し込んだ。講師の方とメールでやり取りし、日程を決めた。
そしてある日、指定されたワンルームの一室に足を踏み入れた。
 
実際に、顔タイプ診断が始まった。
講師の方は、目の幅や鼻の長さ等、様々な箇所を測定しメモを取っている。そして手元の紙に、いくつかチェックをつけているのが見えた。
 
「○○タイプですね」
 
結果はすぐに出た。そして、同系統の顔タイプの有名人を例に、測定結果を説明された。
 
「目の比率が、顔に対して比較的大きいので、それに負けないような派手な色や柄が似合います」
 
講師の方は断言した。そして、とても説得力があった。たしかに、人から似合うと言われる服は、まさにその通りだった。そして、自分が好きな系統の服だが、あまりしっくりこない服は、他のタイプに分類されていることが多かった。
 
「顔タイプが近い芸能人の服、参考にするといいですよ」
「顔タイプとパーソナルカラーを組み合わせると、より似合うものが分かります」
 
さらに細かく説明をされ、ふんふんと聞いている間に、いつの間にか、訪問前の疑念は晴れ、顔タイプ診断に心酔していた。当初言っていた通りの「再現性」がある、と確信した。
 
顔タイプ診断は、遠心分離機だと思った。
似合う服の基準を念頭に、頭をくるくる回転させながら服を見る。すると、自分の中の「好み」と「似合う」を分離してくれる。好きだけど似合わないものを避け、客観的に似合っていて、自分が納得できる買い物ができる。
 
妻も同じように診断をしてもらった。
始めは私と同じように疑念の表情だったが、徐々に真剣に、そして晴れやかな表情に変わっていった。
私にとっては意外な感想が飛び出てきた。
 
「服を選ぶの、かなり短くなりそう」
 
最初の感想が、「似合う服を着られる」ではなく「時間」なのか、と。しかし、一呼吸おいて納得した。確かにそうだ、と。
似合う服の基準、という羅針盤を手に入れた結果、店に入らずとも、求めている服があるかが分かる。なんなら、フロアマップを見て、ブランド名を見ただけで、その階はスルーできる。顔タイプ診断は、投資対効果が高いサービスだと思った。
 
女性の診断の場合、服だけでなく、よりタイプに合った化粧のアドバイスもあった。その間、暇になった私は部屋を見渡していた。
 
部屋に入ったときには緊張して気づかなかったが、講師の方が、とても魅力的に見えた。もちろん、その方が生来持っている魅力もあったのだろう。しかし、似合っているものを身に着けている、という自信も大きいのではないか、と思った。
 
一つのパーツだけではなく、身に着けるパーツ、全て似合うものを選ぶ。無限にも思える組み合わせを解くという意味では、ルービックキューブを解くようなものだ。
最適な組み合わせを導くためには、自分の特徴を把握し、客観的な視点を持ち、明確な選定基準がなければならない。そして、そういった自分だけの軸を持っていること自体が、外面だけでなく、内面の魅力にも繋がっているのだと思った。
 
魅力とは、特に男性にとって、「モテ」である。つまり、これは「モテる服の目利き術」だと思った。顔タイプ診断は、「モテる服」を個々人にオーダーメイドで教えてくれる。そして、服を選定できるようになる過程で、自信に繋がり、内面へと波及する。
モテへの入口を、うっかり結婚後に知ってしまった。いまさら知らなければよかった、と少しだけ後悔した。
 
顔タイプ診断が終わった後、さっそく買い物に行ってみた。
お店に入るなり、
 
「どっちが似合うと思う?」
 
試すように質問をされた。
 
「こっちが好きだろうけど、似合うのはこっちかな」
 
性能が上がった遠心分離機で、「好き」と「似合う」を明確に分けて伝えることができた。
共通言語ができたこと、また、客観的な尺度を持つことで、難解な問いを打ち返せるようになった。
 
最後に、重要なことをひとつ。
モテたくない男性は、絶対に診断を受けない方がいい。
外面を整えることで、内面まで魅力的に映り、モテるようになってしまうと思うから。
 
 
 
 
***
 
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2021-08-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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