それでもあなたは占いを信じますか?
記事:いんこさま(ライティング・ゼミ)
数ヶ月前、続けざまに占い?風水?霊視?をしてもらったのは、中国の女性上司がある人物からスカウトされたことにはじまる。
スカウトの依頼主は李先生。台湾では有名な風水師。彼は風水だけでなく中医にも詳しく博識な人物で毎日ブログで沢山の言葉をつづり、仕事のアイデアがつきないのだという。彼は家族何代にも渡って毛沢東だ、大統領だ、と世界の有名人を鑑定する先祖代々にわたる風水師である。天安門広場の旗の位置を風水で設置したのは僕だという。
彼女は彼の日本でのマネージメントを依頼され、その任をうけるかどうかで悩んでいた。中国語でかかれた彼の本を何種類も会社宛に送りつけて自分をアピールするのにかなり連絡をもらったという。彼は、日本での自分の認知度をあげ、商機をひろげるために、彼女の人脈の広さ、日本人と中国人の心を理解し、正しい気をもっている人間、信頼に値する人物を必要としていた。
彼女は、まさにそれに価する人物であった。
李先生の名声は台湾や中国ではかなりのものらしく、今回は中国のあるTV局の出資で来日しTV局のクルーを何人も引き連れ活動を撮影させていた。ここにくる前に相撲部屋にいってきたよ、先日はあるプロ野球チームもみて、すべてのメンバーに指示を与えてきた。という。先日も売れない芸術家に頼まれて、売れるように仕掛けを作ってあげたという。武勇伝は数しれず。レストランではすべて無料で食事をとり、個人相談となると5万元〜(現時点で1元=17円位)近くのお金を要求する風水師だった。
彼女は、息子のことで悩んでおり親族の紹介で彼に相談した。すると、水晶を買いなさいと言う。言われた通りに水晶を買い求め指示どおりきまった場所につるし「20日後に、あなたの息子さんとの関係が良くなります。」とのこと
はたして、21日目に会って話してくれることが滅多にない息子さんと久しぶりに会うことができ笑いのある楽しい会話ができたという。
彼女はそれを心から喜び、改めて息子の相談をした。次の相談では、玉を買いなさいという。彼女は、玉は1万元くらいのもので探してくれと頼むが、18万元だったものが9万元になった玉がみつかった。貴女にふさわしいものなので次回お会いする時に持っていきますという。
彼は商売人だった。
そういうやり方の彼を彼女は嫌い、マネージメントの依頼を断ると、自信満々の彼は会社に乗り込んできて彼女の信頼を得ようと今の会社のこと、そして会社の部下である私と先輩を無償で観てくれるのだった。
私についていうと、
「貴女は、女性ホルモンが少ないので、男性に飽きられてしまう。もっと太らないと魅力がないし、身体に悪い。それに歳をとったら皺だらけになってしまう。(私を後ろに向かせてある部位をさし)この背中の位置から悪いものが入ってくる、背骨を直さなくてはいけない。胸骨も悪い。胃下垂でで口臭がでてきます。」という。
心当たりが沢山あり、ビックリする。名前も生年月日もきかない。手相はみないのですか?ときくと、透視ができるから必要ないという。
そう、彼は透視ができるのだ。
どうにかして、彼女からの信用を得たい李先生だったのだが、彼女はどうしても彼を好きになれないとのこと、今の仕事で精一杯なのを理由に仕事は受けられないと断ってしまった。彼は、彼女に君はきっとこのことを後悔する。私と一緒にたくさんのお金を稼ぐことができたはずなのにと。
彼には、彼女が断る事は占えなかったのか……
その後、中途半端に私は透視をされ、悪い部分をつげられてビックリと解決法を告げられずに何かモヤモヤしていると、それをみかねた女性上司が「私が信頼している風水師を紹介してあげる」
と、その筋ではまたも有名な日本の風水師を紹介してくれる。
透視という不思議に出会い、私はもっともっとそんな不思議に出会いたいという興味がふくれあがった。
そして、紹介されたのは羅先生だった。羅先生は風水だけでなく霊視ができる。
名前と生年月日を紙に書くと、それをみながらipad にそれを入力して、私のことを鑑定はじめる。今やパソコンの力である程度決まった内容はすぐに鑑定できてしまうのである。五行・方向・色・ラッキーナンバー・相性のよい十二支をすべて紙にかいてくれる。貴女をここに紹介してくれた人はまさに貴女を生かす人ですと。それにしても、なんとシステマティックに私を観るのだろう。
正直、心底ビックリした。
しかしそれだけでは終わらなかった。それからが、羅先生の本領発揮。霊視でどんどん私のことを話はじめる。過去のことは少しで、未来の私はどうなるかという話だ。羅先生は、かなり親身になって私に沢山の言葉をつくして私のことを話してくれたのだ。
虚空をみながら次から次へと、私の未来がはなされる。
あなたは太らなくてはいけない。そうでないとすぐに歳をとってしまいます。
考え過ぎはいけません。ギーッと耳鳴りがして頭がパンクしてしまうのはよくないので、頭をふって気分をかえなさい。切り替えなさい。
あなたは結婚しても、旦那さんが幸せになれない。
あなたは84歳まで生きる。
今年から先23年後の歳にあなたは本をかいて大金を稼ぐ。死ぬまでに必ず1冊の本をだす、そしてみんながあなたの本を読む。稼いだお金は3つに分けなさい。おしゃべりする言葉ではない。文章をかきなさい。書き続けなさい。必ずや霊感がおりてくるから書き続けなさい。魂がかわります。
と……
そして、それをさらに近い知り合いに話す。彼は特別な力を持っている。
あ〜そうだね、あなたは旦那さんが不幸になってもしょうがない。
あなたはもっと生きるよ。90までは生きる。
あなたは有名になってテレビにでる。
ただし、その時は既にあなたの人気は去っている。
と ……
私は、不思議への興味と楽しさから次から次へと占いだ鑑定だ霊視だとみてもらい続けたが、どんどん自分の気持ちが醒めていくのがわかった。
なんかどうでも良くなってしまった。
藁をもすがる思いで利用する占いだ風水だ霊視でなければ、未来はわからない方がいいのかもしれない。
今、誰かに描かれた未来予想図を知って何になるんだろう?
つまらない。決まった未来の何が面白いのだ。先がわからないから人生は面白いのではないのか
良い事ばかりが人生ではないけれど、嫌な事が今未来に見えてそれをかえることができないなら、なぜ今未来を知る必要があるのだろう。
たとえ素敵な未来が描かれていたとして、私がそれにあぐらを書いて何もしない人生をおくることはない。
たとえ不幸な未来が描かれていたとして、それに納得してあきらめることもないだろう。
何をしたら、今描かれている未来予想図を自由にかきかえられるだろう。
転ばぬ先の杖で、悪い未来を察知して前々から準備することが必要なのか?
自分の人生が描かれるのを聞いて、それに向かって生きていく予想通りの自分は楽しいのか?
いや違う。おかしいじゃない。そんなわけないじゃない。
自分自信が人生の舵をとらずに誰が私の人生を決めるのだ。
未来や過去にいけるタイムマシンができても、私は乗らない。乗りたくはない。
だって、今自分が信じるものに従い行動しそれに答えをだす。
人に気づかされるより、自分で気づきたいのだから。
それだけもう生きてきたはず。いろんな経験をし判断し難局をクリアする術はいくつも身につけてきたはずである。
そして、これからも自分の道は自分で選べるのだから……
興味とはいえ、自分のことを沢山占ってもらってうんざりしてしまった私。
ただ、3人とも、人生は変えられるといっていた。
それだけは信じたいと思った。
あっ、そうなのか!
信じたいと思うものを気づかせてくれる。
それが占いの効用なのかもしれない。
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