メディアグランプリ

ネガティブな人は、ポジティブになってはいけない


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記事:nasuica(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「やる気が起きない」
 
これまで自社のサービスを提案してきた顧客とは、全く違う事業をしている企業から、プレゼンの依頼があった。「やったぜ」という気持ちと同時に、「初めてで、どこを軸にして提案をするか、全く分からん」という、とてもナーバスな気持ちになる。
 
リモートワークの昨今、そんなナーバスな気持ちになった時の行動は、逃避だ。他の人の目も気にしなくていいので、携帯電話をいじったり、部屋で掃除機をかけてみたり、いつも逃避のパターンは決まっている。
結局は問題に身を投げ出してぶち当たるしかないのに、逃避をしてしまうのは、自分の心が弱いからだろう。
 
そんな風に、自分は弱い人間だと分かっている。失敗したらどうしよう。見当違いの提案をお客さんにしたらどうしよう、そんな言葉が心の中で飛び交う。そしてさらに、ネガティブになっていく自分に自己嫌悪する、そんなスパイラルに陥る。
 
こういった、「嫌なことやプレッシャー」→「逃避行動」→「ネガティブ化」という過程を経てだんだん自信を失っていくことは分かっている。負の循環のピタゴラスイッチである。
 
過去に、ポジティブになろうと努力してみたこともあった。「ポジティブシンキング」みたいな自己啓発本を買ってみて、読んでみようとしてみた。しかし、私には向いていなかった。強がってポジティブに考えようとしても、どうしても「失敗したらどうしよう……」というネガティブな感情に支配されてしまう。
 
特に今回の提案は、あまりに「ニッチ」な技術について調査する必要があった。自分にできるか、正直かなり自信がなかった。
 
あまりにも、ネガティブになった時、自分との約束が二つある。
 
一つ目の約束は、逆切れモードになる、ということだ。
「なんで自分なんかに頼んだんだ!」
「そこの業界知らないのに依頼しないでくれよ!」
「もっと適任の人がいるじゃないか!」
そんな、お客さんには絶対に言えない、逆切れをすることにしている。
 
そうすると、ネガティブなエネルギーが低い感情から、怒りという相手にぶちまけたくなるくらいのエネルギーが高い感情に変換できる。すると、自分なんて、という気持ちから「なんとでもなれ!」という心情になって、目の前の問題を直視することに繋げることができる。
 
そして逆切れすることの利点は、頭に出てきた逆切れワードを、お客さんのメリットに変換できることにあると思っている。
「なんで自分なんかに頼んだんだ!」
→私にしか提供できない価値があるはずだ、それは何だろうか?
「そこの業界知らないのに依頼しないでくれよ!」
→詳しくなるために、最短距離でどう勉強しようか?
「もっと適任の人がいるじゃないか!」
→私に依頼してくださったということは、何か意味があるはずだ、それは何だろうか?
 
という風に、「逆切れ」→「問題解決のための問いに変換」→「問いを解くことによる不安の解消」という正の循環のピタゴラスイッチに盛り返すことができる。
 
私にとって、ポジティブになるよりも、逆切れする方が、思考の深さが段違いに深い。なぜなら、頭の中に阿修羅がいるようなものだからだ。
一つ一つの頭に担当がある。「ネガティブ脳」で想定される批判が列挙される。「逆切れ脳」で批判に対して疑問を抱く。逆切れを介して生まれた「冷静脳」が問題を解決する。
結果的に、自分は一人だが三人分、考えが深くなる。
 
二つ目の自分との約束。それは、あまりにもネガティブになった時は「好きなことに熱中する」ということだ。
ハードルが高過ぎて、調査を進める気にもなれない。そんな心境になったので、漫画を読むことにした。今回は、「Hunter×Hunter」という漫画に力を借りることにした。
 
こういう時、何回でも読める面白い漫画がよい。先が分かっているのにワクワクしてしまう。それだけに集中して、仕事のことを一時的に忘れさせてくれる。
 
あまりにハードルが高いことをする時は、脳震盪を起こしている状態に近いと思う。あまりのハードルに、脳が思考停止している。そうした時に、脳震盪をしずめる期間だけ、好きなことに熱中する。ゲームでも、Youtubeでも、自分の好きなことでいいと思う。好きなことに熱中することで、一度冷静になることができると思うのだ。
冷静になった後で、仕事のことは考えればいい。
 
お笑い芸人、オードリー若林さんの著書を読んで、とても共感した一節があった。
「ゆったりとした時間はかえって奴らに隙を与える」
「没頭によってネガティブを体外に排出する」
 
つまり、ゆったりしたり無理やりポジティブになるのではなく、「没頭する」ことで、ネガティブから一時退避することができるのだと思った。
 
逆切れしたり、漫画を読んだりしながらも、新規のお客さんへのプレゼンはそれなりにうまくいった。
 
「ぜひこれで進めてください」
 
そう言ってもらえることができた。
 
もちろん、自分がネガティブ人間ということは出さない。お客さんを不安にさせるからだ。ましてや、考える準備だとしても「逆切れ」したり、漫画に「熱中」したことは絶対に表に出さない。
 
表には出さないけれど、心の中で、Hunter×Hunterの作者にとても感謝する。次の巻が出ることを心待ちにして。
 
引用:若林正恭「社会人大学 人見知り学部 卒業見込み」(角川文庫)
 
 
 
 
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2021-08-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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