アホはアホ
記事:のんさ~ん! さま(ライティング・ゼミ)
その瞬間、私は自分がアホであるかもしれない、いや、たぶんアホであるだろうと気付いてしまった。
今日はある会社の面接日であった。初めてにしては昨日の友人との練習の甲斐あってか、しっかりと発言できたように思う。サークル活動でのエピソードは我ながら目をキラキラさせて話すことができ、面接官も良い反応を示してくれた。しかし、最後の最後でやらかした。十年後の自分はどうなっていたいか聞かれ、全く答えきれなかったのである。
「え~、え~、表現者……?」
そこから私に対するアドバイス講座が始まった。あなたは本当に印象も良いし、いい人だが、自己分析をもっと深くやるべきだ、と。自己分析のための一押しの就活本をパソコンで検索し、表示までして私に示すところまでしてくれた。私は、「わかりました! ありがとうございます!」と真面目に返答していたが、内心はたくさん自己分析していたのになぁ、とさすがに落ち込んだ。帰り道、いろいろなことを考えていた。そうか、自己分析の仕方が甘かったのだ、もっと具体的なビジョンを立てるべきなんだ。とか、こう言えばよかったのかもしれない! なんであの時このことまで思いつかなかったんだろう、でもそれが面接だよな、よし、勉強になった、どんどん受けて、慣れて成果を出していこう、とかである。しかし、何か引っかかっている、気付いているのに気づかないふりをしている。なぜ面接がうまくいかなかったのか……
そう、そりゃそうだ。私には別の夢がある。10年後のことを聞かれたときに、本当の私のビジョンを語ってしまったら、その企業とはかけ離れた未来像であるため、絶対に受かるはずがない。
その夢とは、表現者として人に夢や感動を届けること。あ……面接のとき言いかけとるやないかい(笑)それはともあれ、ここでの表現者とは、体と言葉で表現すること。「体で」とは演技やダンス、ミュージカルなどで表現したいと思っていて、「言葉で」とは文章やポエムとか、歌とかさらには本もいいなぁ、なんて思っている。そのために、今、自分にできることを一生懸命やっている。就職活動は自分のことを深く、深く、これまでにないほど深く考える機会で、様々な企業と人とそれらの考え方を知ることができる。さらに、自分のことをこうやって面接で伝えていかなければならない。だから、たくさんの学びを得ることのできる自分にとって必要な経験だったと思っていた。しかし、毎度毎度合格をもらうためには、何かしらの嘘やごまかしをしなくてはならない。そんなこと、私にはできるはずがない。そんな器用さを、持ち合わせていないのである。私は大学を卒業したら、本格的にミュージカルを学びたいと考えている。だから、10年後何をしているかなんてわからない。今やりたいと思うことに、まっすぐに向き合っているだけだからわかるはずがない。落ちぶれているかもしれないし、結婚しているかもしれない、有名になっているかもしれない……いつだって自分の好きなこと、自分にできる、そしてやるべきことをやっていれば、それが私の本望なのである。
その瞬間、私は自分がアホであることに気づいてしまった。
それは、がばいばあちゃんの教えを本にした島田洋七さんのいうアホが引き金となった。
アホがいるから頭のいい人がいる。
頭のいい人がすごいね~って褒められるのはアホがいるおかげです。だから頭のいい人はアホに感謝せなあかん。でも逆にアホばかりでも社会が回らない。世の中はアホと頭のいい人両方いるからうまくいくんです。
アホは平和で幸せだ。あの人は世の中のことを何もわかってないと言われるかもしれないが、わからない方がええこともいっぱいあります。
アホな生き方はおもしろい。アホはネタになるから。頭のいい人ばっかりだと政治問題やら、環境問題やら、戦争の話やらでつまらんぞ。その点アホはそんなことわからんから、ぼーっとしているだけで場がなごんたりするし、変なこと言えば、それは勘違いだよと言われ、みんなでわーっと笑えるんです。
アホはアホ。そうとしか言いようがない。
でも、がばいばあちゃんと洋七さんには「アホなんて」ではなく「アホだからこそ」で溢れています。
「アホだからこそ」が大切なのかもしれません。
私にとっての「アホだからこそ」……
そして、自分がアホであると気づいてしまった理由……
それは、何にでも挑戦できるということ。
アホは、一般常識、いわゆる現実問題というのを十分に考えることができません。これはこうなってこうだからこういうリスクがある、とか。さらに、失敗しても、なんでなんでなんで……と自分を追い込みすぎるようなことはせず、いろいろ考えた末に、あぁ、私にはあんまりあっていなかったんだな、くらいに考えるんです。結局のところ、寝たら忘れてすぐケロッとしてしまいます。だからこそ、次も懲りずに頑張れるし、(自分が努力してることにさえ気づいてないことも)自分の可能性の幅を自分で狭めようなんて到底できないのです。だから、私のように、自分でも無謀だと思ってるようなことに立ち向かっていけちゃうのです。
なんでしたいの?なんの意味があるの?そもそもできるの?なんて深く考えすぎることはありません。逆に、やりたいからやってみる! で、できるようなことも案外多かったりするのです。正真正銘のアホですな。いや、これはもう、アホにしか考えつかない生き方なのかもしれません。
だから私は
アホはアホなりに全力で生きることが1番だとおもいます。
頭のいい人が効率よく事を為していくよりも、アホがアホなりに必死に頑張ってる方が、この子も頑張ってるんだ、私も頑張らないと! って勇気をもらえそうではないですか?? アホにはアホなりの役割があるんですね。
そして、人生そんなもんではないかと思うのです。
アホから人生の話まできちゃったよ……(笑)
私の最近1番のアホは、
落ち込んだ時のへこたれ方がわからず、どうすればいいのか友人にLINEで尋ねたこと。
アホも悪くないなぁ。
《終わり》
***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
【天狼院書店へのお問い合わせ】
TEL:03-6914-3618
【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
【天狼院のメルマガのご登録はこちらから】
【有料メルマガのご登録はこちらから】