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こどものショートステイ

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記事:忠内 樹(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
初めて「ショートステイ」という言葉を聴いたとき、ホームステイの一種かなと思った。深く理解していなかったが、ショートステイ里親の普及団体と関わったことで「こどものショートステイ」について知る機会があった。忘れないうちに記事にすることにした。
 
「ショートステイ」は福祉や介護において、短期間、施設に入所するサービスのことをいう。保護者・介護者が、病気、冠婚葬祭、仕事、旅行、疲労などの理由で、一時的に養育や介護をできない場合に利用するケースと、要保護者・要介護者の生活能力の維持向上に必要な場合に利用するケースがある。
 
高齢者が高齢者施設に入る、デイサービスを利用するというのは、高齢者自身が嫌がるケースはある。私の祖母は行くのを嫌がっていた。ただ、実際に行ってみるとそうでもないらしい。話し相手がいることがいいらしい。始めは行きたくないと言っていたが、最近ではデイサービスの日を楽しみにしている。そのおかげで介護をしている叔父も一呼吸つけるようになり、お互いストレスでぶつかり合っていたのが減ってきたという。尖ってぶつかり合っていた石が川の流れによって丸くなるようなそんなイメージだ。尖っている石は尖っているからこそ、ぶつかり合うと傷つけあう。一方で、丸い石はぶつかり合ってもそこまでお互いを傷つけない。祖母は生活能力向上につながり、叔父は介護疲れの軽減につながった。
 
高齢者のショートステイはイメージが沸いたが、「こどものショートステイ」というイメージはもともと持っていなかった。
 
新型コロナの感染拡大に伴い、外出制限がある今、家庭で親子一緒に過ごす時間が増えているのは事実だ。報道でも育児疲れに関する報道はコロナ前よりも増えている。今まで以上に長時間一緒に過ごすことで、親も子も我慢をし始めたり、逆に感情をぶつけあったりする機会が増え、ストレスが高くなっているのかもしれない。せっかく一緒にいられるのに、その時間がストレスになるほど、お互いが辛くなってしまうのではないか。これでは尖った石同士のぶつかり合いである。親も子も傷ついてしまう。
 
ストレスの高い親が家庭の外でどういう態度をとるか。ママ友やパパ友とのお喋りでストレスを発散したり、自分時間をうまく創り出して平静を取り戻したり、工夫ができるといい。その工夫を子が真似ることができる。一方で、うまくストレスと付き合えず、結果、その沸点のまま周りにもぶつかってしまっていたらどうか。ちょっとしたレジ待ちのトラブルとか、運転中の舌打ちとか、ストレスをうまく消化しきれていないのかもしれない。そんな親を見たら、子はストレスがあるときは舌打ちすることを真似してしまう。
 
こんなときに「こどものショートステイ」を大人が知っていて、気軽に紹介したり、使えたりすると、親子がぶつかってもストレスにならず、傷つかない関係性になるのではないか。
 
「こどものショートステイ」は、親が物理的に深呼吸する時間を作れ、上流から下流に流れていくことのきっかけになる。親が育児放棄しているという見方があるようだが、育児を続けていくためにも必要な時間だと考える。風邪をひいたとき、そしてワンオペが強いられるとき、高熱なのに台所に立てるだろうか、自由奔放な子の相手をできるだろうか。そんなときに、自分の負担にならず、育児を任せられる環境があれば、親も休まり、回復も早まるだろう。
 
一方で、子はどうだろう。場所見知りするだろうし、知らない大人だと人見知りもするだろう。ただ、上流にとどまるのではなく、下流に進むという選択肢が見えると、変わるかもしれない。違う大人と過ごすことで、新たな知恵を習得し、生活能力の向上につながるきっかけになりそうだ。
 
昭和のホームドラマのようにお隣さんと気軽に交流していたら制度を使うことはない。核家族が増え、共働きが増え、ご近所付き合いも昭和の頃ほどではないからこそ、制度が作られてきたと考える。親子であっても、血がつながっていても、親は親、子は子、別人である。お互いを人として尊重しあうためにも、お互いが自分を大切にする時間、自分が大海原に出るために下流に行く勇気を持てる時間が必要だ。
 
「こどものショートステイ」は保護者に理由があり子を預けられる制度のことである。都道府県や市町村によって運営は異なるが、病気等で一時的に養育が困難なときに宿泊を伴う一時預かりをしてくれる。預かってくれる場所は児童養護施設であったり、協力家庭であったり様々だが、この制度がもっと知られ、運営しやすくなることで子育て中の親への負担は軽くできると思う。また、受け入れる側の大人の姿勢次第で子が上流から下流に流れていくか、上流にとどまるかが決まってしまう。そのためにも協力家庭向けに研修が提供されているのだろう。
 
周りの目を気にすればするほど、他人を頼りにくいと思う。日本はそういう文化があると思う。ただ、それを気にすれば気にするほど、自分らしさも失っていき、人生は楽しくなくなる、そんな気がする。誰もが上流から下流に流れ、自分らしく大海原に飛び出す、そんな人生であっていいはずだ。
 
 
 
 
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2021-09-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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