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アップルストアでの体験、お姉さんが教えてくれたこと


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記事:izumi(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
「お客さまのお話を聞いたら、普通のアイパッドで、じゅうぶんです」
私はアップルストア直営店で、店員のお姉さんから言われた言葉に拍子抜けしていた。
 
初めてのアイパッドが欲しくて、アップルストアに相談にいった時の出来事だ。
「お客さまのやりたい事はなんですか?」
店員のお姉さんは、質問してきた。
 
私はやりたい事を話した。
うーん。やりたいこと….…。
今持っているスマートフォンは、家でインターネットしたり、映画みたりするには小さいと思っていて。
習い事で文章を書いて、ワードで提出する事がある。
アイパッドとパソコン、両方の役割を出来るように使いたい。
 
インターネットでアイパッドについて調べていたので、少し基礎知識はあった。
だけど、機械音痴なため、何がいいのかよく分からない。
アイパッドプロという、アイパッドの最上位モデルで、お値段も10万円弱していたが、絶賛している人が多かった。
パソコンのように使いたいなら、アイパッドプロという意見もよくみた。
なので、一番いいモデルかその一つ下のクラスを、勧めてくるだろうなと予想していた。
 
私は「パソコンみたいに使いたいなら、アイパッドプロを買って、別売りのキーボードとワードソフトを買った方がいいか?」と相談した。
お姉さんの答えは「お客さまのお話を聞いたら、アイパッドプロは必要ありません。普通のアイパッドで、じゅうぶんです」だった。
いろいろな種類があるけど、エントリーモデルの普通のアイパッド? とすぐに状況をのみこめなかった。それでも、お値段は4万円はするなあ……と思った。
 
「アイパッドはキーボードがついていないから、別売りのキーボードとワードソフトを買ったらいいの?」
と聞いたら、「Pages ページズという無料アプリがあって、書いた文章をワードで変換できます。別売りのワードソフトを、買う必要はありません」
実際に、ページズをこんな風に使えるんですよと教えてくれた。
 
「こちらでキーボードも売っていますが、お値段が高いので、自分に合った使いやすいものを買った方がいいかもしれません」
インターネットで、キーボードの特集記事を見せてくれた。
「こんなに色々な種類のキーボードがあります。これを参考にして、家電量販店で見てみたらどうですか」と提案してくれた。
 
このお姉さん、商売気がない。グイグイこなくていい感じだ。
私の話しを聞いて、お値段の事を考えて、何が合うのかを教えてくれる。
親切さに感動して、おすすめしてくれたアイパッドを買いますと言おうとしていた。
 
だが「これだけアイパッドをおすすめしておいてなんですが、エントリーモデルは人気があって、公式ストアでは売り切れています」と言われた時には驚いた。
心の中で「売り切れてるんかい!!!」とつっこんだ。
楽天や、アマゾンの在庫をすぐに調べてくれて、「やはり、在庫がないから通常より高くなっています。今は買わずにいた方がいい」と教えてくれた。
 
そして、アップル公式ストアで在庫がない商品を買うための、マル秘テクニックを教えてくれたのである。
「アップルストアの開店は10時からです。もし数台店舗在庫がある場合、9時50分には公式ネットストアで在庫が補充されます。そのタイミングで商品受け取りを店舗にして、決済まで出来たら買えます」
へーそんなテクニックがあるのかと感心した。
何も買わずお店を出ることになったが、お姉さんは笑顔で見送ってくれたのだ。
 
アップルストア、家電量販店に行き、何も買わなかったが、すがすがしい気持ちでいれた。
なぜかというと、私の気持ちに寄り添い、考えてくれたお姉さんの提案が嬉しかったからだ。
在庫がないからと、他の値段が高い商品を勧めてこなかった。
アップル以外の商品で、自分に合うものを使ってくださいと、提案してくれたのである。
 
アップルストアのお姉さんは、まるでカウンセラーだ。
やりたい事と、それに対してどれを買ったらいいの? と機械が苦手で分からない私の気持ちに寄り添ってくれたのが嬉しかった。
 
値段が高い商品は、それなりに機能がよくて、周りも絶賛していて欲しくなる。
実際YouTubeでアイパッドプロを使ったレビューを見て、欲しくなった。
だけど、私には必要ではない。
「相手の立場に立って、考えて行動するとはどういうことか?」
それが出来ると、相手がとても嬉しくなると実感できた。
 
人は誰もが自分中心で、自分の目線で物事を見ている。
毎日一生懸命生きていて、相手の立場になんか立ってられないよと思うのが普通だろう。
だけど、少しだけ相手が何を考え、希望しているかという事に目を向けてみたいと思う。
 
この経験があってから、以前より相手の立場を考えて行動するようになった。
いつも出来るわけではないので、成功した時には、経験値1アップだと心の中でガッツポーズする。ちょっとしたゲーム感覚だ。
 
たとえば、仕事で社内の人に無理な依頼された時。
無理だなと思っても、すぐに断るのではなく、出来るか調べてみる。
その結果、出来なかったときの断りかたを、いつもと変えてみた。
「すいません。もともと無理なんです」というのではなく「力になれなくて、すいません。大丈夫ですか」というと相手も「こちらこそ無理なお願いをしてしまいました。ありがとう」と雰囲気が悪くならなかった。
無理なお願いは何か事情があって、依頼してきているんだろうなと思ったからだ。
 
ちょっとした思いやりで、相手も自分も、気分がいいもんだ。
こんな時は心の中で、成功だ、経験値1アップとガッツポーズしている。
たった1アップでも、塵も積もれば山となると信じているのだ。
 
 
 
 
***
 
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2021-09-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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