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憧れのテント泊デビューしたら泣いた日

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:izumi(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
「うわあ~テントの中は、こんなに居心地がいいものなのか」
私はテントの中で、リラックスして寝ころんでいた。
 
数年前から山に登って、自分のテントで泊まるという夢があった。
山岳用のテントなど全ての荷物をリュックに入れて歩き、キャンプ地にお金を払って、テントを張って泊まるスタイルだ。
 
チャレンジしたいが、なかなか行動に移せずにいた。
今年も憧れのままになると思ったが、テント泊デビューするきっかけがあった。
テレビで見る、コロナウイルス関連のニュース。
数年前は、毎日マスクして生活するとは、思いもしなかっただろう。
こんなご時世、いつ何があるか分からない。
今日が一番若いのだと思い、やりたい事は出来るうちにしようと決意した。
 
「テント泊を実現させよう!」
 
装備はある程度持っていたため、テントを購入した。
テント泊に慣れた友達から、近くの山で練習した方がいいと教えてもらい、一緒に山の頂上にあるキャンプ場を予約した。
 
当日に歩きはじめると、登山口から頂上まで、1時間半の道のりがつらくて仕方がなかった。
テントなどが入っているリュックが重くて、思うように登れないのだ。
「重いリュックで歩く練習をしている」と友達から聞いた時はピンとこなかったが、実際に経験すると、練習の必要性を感じた。
 
キャンプ場に到着して、テントを張った。
テントの中に入り、マットをひき、寝袋を敷いて自分の部屋を作る。
居心地がよい、自分の部屋になっていった。
広さは1人寝転んで、荷物をおける余裕がある。
テントの中で、ごろんとあおむけになってみた。
「なんだか、めちゃくちゃ居心地がいい」
 
寝ころんでいると、テントは子供の頃に遊んだ、秘密基地のようだとふっと思った。
押し入れを秘密基地にした思い出が、よみがえったのだ。
自分の部屋がまだない私にとって、秘密基地はプライベート空間で、子供の頃から狭いところが落ち着くと感じていた。
テントという、秘密基地が自然の中にあるなんて、最高じゃないか。
 
山によく登る友達に、なぜテント泊にするのか? と聞いたら「山小屋が混んでいる時は、知らない人が隣りで寝るので、なかなか寝付けないから」だった。
私は友達の答えに共感できた。
山小屋は、相部屋のため混んでいる時には、知らない人がすぐ隣りに寝る場合がある。
そんな時寝相が悪い私は、ゴソゴソ動いてしまうため、隣の人に申し訳なく思っていたのだ。
テント泊だと、1人のため寝相が悪くても、気を使わなくて済む。
 
テントから顔を出すと、自然が見えるのがいい。
自然を見ながら、ボーッとしているだけで、幸せな気持ちになる。
リラックス出来るのは、自然の中にいるだけで癒やされる、森林浴の効果があるからだろう。
重い荷物を持って、山に登ったご褒美だ。
 
夜に満天の星を見れた。
山で見る星は、都会で見る星とは全然違う。
キラキラと輝く星までの距離が、いつもより近く見えて、手を伸ばすと取れそうな感じがする。
 
前に星空を見たのは、いつだったのか?
毎日会社から帰る時に、夜空を見る余裕はなかった。
夜空一面に広がる星を見ると、自分の悩みはちっぽけなものに感じたのだ。
星空はどこまでも境目がなく広がっていて、終わりがない。
そんな中にいる私は、自然界のほんの一部だと感じた。
 
こうすべきだという狭い考え方から、もうちょっと視野を星空のように、広く持った方がいいのではないか。
仕事やプライベートを、要領よくこなしたいと思っていたが、失敗してもまた違う方法を探せばいい。
何者でもないちっぽけな自分を認めると、自然に涙が出てきて、悩みはどこかに飛んでいった。
 
夜は寝ていると、ビュービューした風の音で、何度も目が覚めた。
建物の中にいる時より、より身近に自然を感じられる。
一度だけ、聞いたことがない動物の鳴き声がして怖くなったが、気づいたら寝てしまっていた。
朝は鳥の鳴き声で起き、はじめて見る鳥がいることに気づいた。
非日常の場所にいて、自然の中で寝ている感覚が最高だ。
 
家でお風呂に入り、布団で寝ると思わず「うわー。布団最高」とつぶやいていた。
家、お風呂、布団があるのは、あたり前だと思っていたが、テント泊するとありがたく感じる。
いつもの私であれば、こんな発想はなかったはずだ。
不便な生活を知っているから、便利な生活がありがたいと思う。
大自然に魅せられて、これからテント泊がもっと好きになるだろう。
 
リュックに衣食住を入れて背負い、必要最低限の持ち物で日常と比べると不便だけど、その苦労を楽しむ。
星を見てちっぽけな自分を感じたり、自然の中で寝る非日常を経験出来る。
 
これからテント泊で、どんな新しい体験が出来るのだろうかと、考えただけでワクワクする。
デビューしたばかりなので、未経験のことがたくさんあるはずだ。
山のよい面ばかりではなく、自然のこわさも理解して、経験値を積んでいきたい。
 
 
 
 
***
 
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2021-10-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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