信頼関係という積み木をどうつむき?
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:島田惇史(ライティング・ゼミ8コース)
手先の器用さ、集中力、バランス間隔。それらを子供の頃に補わせてくれたもの。
そう、それは積み木である。遊んだことは誰でもあるザ! ベスト・オブ・玩具!
家や車など、バリエーションは様々。ひとつひとつの積み重ねが大事で、大きく積むこともできれば、変な組み方をすれば崩れてしまう。
人との関わりも似たようなものだと感じる。
とある患者さんとの話しである。
その患者さん(Aさん)は虫歯の治療を希望され来院するようになった。もともとAさんの旦那さんが長く通院されており、旦那さんの紹介だった。
治療をする際、顔にタオルを置いて患者さんの顔に水がかからないように工夫をしている。
Aさんの治療の際も勿論タオルかけていたのであるが、横に介助としていたスタッフがタオルの位置を少し修正していた。
あとからなぜ修正していたのかを聞いてみると、顔とタオルとの間に隙間ができていて、そこから光が入って眩しいかなと思って修正したと言っていた。
私自身、そのスタッフにタオルを修正してねとお願いしたわけではなかった。
今まで患者さんからそのようなことを言われたこともなかったので、そんな必要はあるのかなぁとその時は感じていた。
ただ少なくとも患者さんを気遣っての行動なので、特に何も言わなかった。
Aさんの治療が終わった後、スタッフとAさんが話していた。
「タオルの掛け方、いつも優しいですよね。いつもそう思っていました、ありがとうございます!」
「えー、そうなんですね! ありがとうございます!」
私は、まさかタオルの掛け方でここまで感謝してもらえるのだなと驚きもしたし、スタッフの行動に感心した。その後Aさんがお会計を終わらせ、帰った後のこと。
暫く時間が経過してからAさんが病院に戻ってきた。
「お世話になりました、良かったらどうぞ!」
と言われてお菓子を頂いた。
たまたま受付にいた自分が対応したのであったが、わざわざそこまでしてくれたことに正直驚き、すぐお礼の言葉が出てこなかった。
患者さんからの感謝の言葉と一緒にお礼のお菓子や食べ物を頂くことがある。
突然そのようなことがあると、今日は何かあるのではないかと、勘ぐってしまう私の性格の悪さがあるが、とても感謝しているしまた頑張ろうという活力になる。
感謝の形は様々である。
言葉で「ありがとう」でも私は充分に感じるが、そこに物が加わってくると、より嬉しく感じる。
また、私の担当した別の患者さんからも感謝を形にしてもらった。
その患者さん(Tさん)は、体が不自由であり、とても怖がりな方であった。
痛みのないようにいつも麻酔をして対応していた。麻酔を必要としないような内容でもとても怖がりであることから、必要がなくても麻酔をしてから対応していた。
「いつも迷惑かけてごめんなさいね」
「いや、いや。大丈夫ですよ。何かあったらすぐ言ってくださいね」
と話し、なるべく相手の不安をとってあげた。
体が不自由であり、歯科治療を怖がっている患者さんであったが、なんとか治してあげたいという想いで対応していた。
そして治療が終了して帰ったあとのこと。
「いつもお世話になっているから、よかったらどうぞ」
と言いながら、果物の詰め合わせを持ってきてくれた。
受付のスタッフが対応していたので、自分は対応出来なかったが、ありがたいな思う気持ちとまた頑張ろうという気持ちになれた。
相手からの感謝はときに想像がつかないものである。
AさんやTさんにとって、自分の口の中を治療してもらった感謝の気持ちだけでわざわざお菓子や果物を買って来てくれたわけではないように思える。私やスタッフが行ったタオルの掛け方や気遣いの様にこれはやった方がいいかな、とか、こうしてあげたら喜ぶかなという気持ちが、患者さんからの想像以上に大きな感謝を生み出したはないかと思う。
そしてそれは、お礼の品という物だけの関係ではない。まさに信頼というものが確立された証拠なのではないかと思う。
感謝から生まれる信頼関係は、積み木のようなものである。
小さく重ねた積み木はやり方次第で、いくらでも大きくなるし、なかなか崩れない。ただ、下の層がしっかりしていないとすぐ崩れてしまう。
信頼関係もそうである。しっかり積み上げたように思えても、ふとしたことで崩れてしまう。
相手からの感謝の気持ちが現れたのは、まだ積み木で言うと下の層が出来たばかりなのかもしれない。
私は信頼の積み木を積んだが崩してしまったことがある。その時は、ただ謝ることしかできなかった。そして、その後はどうするか? また小さい信頼の積み木を一つ一つ確実に積んでいくしかない。焦って高くしようとすると、途端に崩れる。
だから確実に積むのである。よく相手を診て気を配り、よく話しを聴くことで信頼を回復させていった。
これから信頼という積み木をしっかり地盤を築きつつ大きく積み上げていこう。小さい積み木でも、コツコツと積んでいけば、いつか大きなものになる。
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