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ぬか床のいる暮らし


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記事:近藤南(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
「今日はセロリが出来あがってますよ。大根は、まだ若いから明日にしようね」
 
これは、つい先ほどぬか床と交わした会話である。
ぬか床と同居してもうすぐ2年。夕飯の前菜は彼女に選んでもらうのが定例となっている。
 
彼女と出会うまでは、慢性野菜不足の生活を送っており、いつも口内炎に悩まされていた。今は、彼女の献身的なサポートのおかげでQOLが劇的に改善されている。
 
 
ぬか床生活。
地味だが本当におすすめなので、今日は彼女との馴れ初めと、その魅力を余すところなく紹介したい。
 
 
時をさかのぼること2年と少し。仕事に身も心も捧げて、いわゆる「社畜」だった私は、非常に偏った食生活を送っていた。朝はコーヒー、昼は仕事の試作品(しかもお菓子)、夜はコンビニ、という具合である。
 
彼女の事を知ったのは、とある雑誌の特集記事だった。いろんな、ちょっと変わった趣味にハマる女性の特集だったと思う。曰く、ぬか漬けにハマった「ぬか女」なる女性が増殖中らしい。
今は手入れの楽なぬか床がたくさん出ていて、気軽に始められる。
ぬか由来の乳酸菌やらビタミンも摂れる。
その上、混ぜたり、足しぬかをしたりして世話するうちに、まるでペットに対するような愛情まで育まれる。
良いこと尽くめだと言うのだ。
最後の利点は全く信じていなかったが、「野菜不足の解消にいいか」くらいの気持ちでその日私は人生で初めてスーパーのお漬物の素コーナーに向かい、彼女と出会った。そして、雑誌の主張の通り、しっかりと愛情を植え付けられてしまった。
 
 
さて、ぬか床生活を始めるにあたり、必要な準備を2点お伝えしたい。
 
1つは、漬ける材料。
彼女は懐が大変に深いので、基本的にはどんなお願いも受け入れてくれる。つまり、どんな素材もおいしく漬かる。
ただ、春にはお花見に行き、夏には海に行くと人間関係が長続きするように、その時々の旬のものを取り入れるのがやはり良いと思う。
 
野菜がマンネリ化してきたら、ゆで卵やチーズもおすすめだ。
ゆで卵は、半熟であれば、とろりとした黄身と程よい塩味がマッチしてなお良い。ただ、ぬか床の中で白身の堤防が崩壊すると、彼女との関係はもはや修復不能となってしまうので、トライされる場合は、タッパーなどに取り分けて別に漬けることをおすすめする。
 
もう1つは、冷蔵庫のスペースを確保する事。
冷蔵庫? と思われる方もいるかもしれない。
なんか、おばあちゃんが持ってそうなツボに入れて流しの下の棚に入れておくのではないか? と。私もそんなイメージを持っていた。
だが今となっては断然、冷蔵庫での共同生活をおすすめする。
お互い、もういい大人である。四六時中べったり一緒という訳にはいかない。
冷蔵庫保管であれば、多忙なときは2、3日に1回連絡を取る(ぬかをかき混ぜる)くらいでも問題ないのだ。
ちょっと冷たいようであるが、これも長続きする秘訣だろう。
 
 
以上のコツを押さえれば、あとは実践あるのみだと思う。
同じ食材であっても、その時のぬか床の機嫌や、漬ける長さによって味が全然違うから、またそこが面白い。彼女にはまだ自分の知らない表情があったのかと、はっとさせられる。
 
 
さて、長く一緒にいると避けて通れないのが、喧嘩だ。おざなりに接してしまうと、聖母マリアの様な彼女もさすがに不機嫌になってしまう。
具体的には、ちょっと酸味が出たり、味がぼやけたりしてくる。
   
酸味が出たときには、トウガラシなどの香辛料を入れるとものすごい生命力で酸味を撃退してくれる。いつでもコンディションを健やかに保ってくれる魔法の粉も売られているので、適宜使用していただきたい。
ちなみに、魔法の粉は「ぬかみそからし」なるもので、普通にスーパーのぬか床の横に売られているのでご安心を。
 
味がぼやけたときは、ぬかを足して数日放置する。心配で構いたくなるが、ぐっと我慢。
それだけでいつもの彼女に戻ってくれる。
やはり何事にも適度な距離感が大事ということなのだろう。
 
 
こんな感じで、はじめはしょっちゅう喧嘩もしたが、2年の月日を経て、今はいい関係を築けていると思う。
これからも、彼女には是非末永く私の食生活をサポートしていただきたい。
 
 
最後に1つ告白を。
 
今の彼女は、実は2代目である。
1年ほど前に引越をしたのだが、その時に泣く泣く先代とはお別れしてきた。
悲しい別れだったがここで学んだこともある。
生まれ育ちの異なる(違うメーカーの)ぬか床は、全然風味も違うのだ。
冷蔵庫のスペースに余裕のある方、色んなぬか床試してみたい! という方は、複数のぬか床を使い分けてみるのも、楽しいと思う。
 
ま、私は今の彼女一筋だから浮気しないけど。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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