小3の娘の恋愛事情メガホン
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:若林麻由(ライティング・ライブ福岡会場)
ある夜、夕食を食べた後、小学3年生の娘と二人でたわいもない話をしていた。
すると突然、なかなかの話題をぶっ込んできた。
「私、今、同じクラスに好きな人がいるから、いつ告白するか、友達に相談してて」
えーーー!!!
何なにナニ?!!!
いきなりの恋バナ、キターーー!!!
娘とこういう話をすることを夢見てはいたが、それはある日突然、思いもよらないタイミングでやってくるものだ。
そして想像よりもはるかに時期尚早だ。
こ、こ、これは、根掘り葉掘り聞きたい。
普段の仕事でやっているカウンセリング魂に、急にスイッチが入った。
まずは単刀直入に、最初にふと思った疑問を。
「ていうか、自分から、言うの?」
「え? だって、私が動かないと、何も始まらないじゃん?!」
……絶句!!!
もうこれは、メガホンで叫びたい。
大声で主張したい!
『世の中の結婚したいと思ってる方! もしくは彼氏彼女欲しいけど、なかなかできないと言っている方! 今の言葉、聞きましたか〜?!』
答えは小3女子が持っていた。
自分が動くこと、一択。
それに勝るものはない。
「ちなみに、その子のどういうところが好きなの?」
ここはまず抑えたいポイントである。
「優しいところ。氷オニの時とか、捕まったら助けるからね、って言ってくれる。逃げてるときに、オニにタッチされたら、氷みたいに固まらないといけないんだけど、その時に、ほんとに助けてくれるんよ」
うーわ。それはカッコいい。
優しさもありつつ、有言実行の男らしさ!
素敵なパーソナリティーを持ち合わせたオトコマエ男子だ。
よし! がんばれ、娘!!
俄然、応援体制に入った。
「相談したお友達は、なんて言ってるの?」
「いつ言うのがいいか、一緒に考えてくれてる。お昼休みか、学校終わってからか。周りに人がいない時がいいと思うんよね」
きゃーーー! もうなんか、本格的だ。
「そうね、確かに、二人になれたときに言ったほうがいいかもね」
これはうまくいくように、スイッチどころか、お母さんは、前のめりの前傾姿勢だ!
「手紙に書くほうがいいかな〜とか考えてたんだけどね、でも、直接言ったほうが伝わるかなって思って」
これは!!! 2回目のメガホン!!
『恋愛を望んでいる皆さま! 聞きましたか〜?!』
今の世の中、SNSとかLINEとか、簡単にやりとりができることがメリットでもあるけれど、この簡単さがデメリットでもある、と思ってしまう。
私はつい手軽なものに頼ってしまう。
だが、伝えたい気持ちを、そのままの鮮度と表情を保ったまま、相手に届けることはなかなか難しい。
逆も然りで、もしかしたら、ニュアンスをはき違えて受け取ったこともあるかもしれない。
大事な話でなければそれでいいのかもしれないが、
大事な話ならば、やはり、会って、顔見て、伝えることが、一番伝わる、と思う。
小学生だからこそ、手段が、会うか手紙かしかない、というのが、いい!
その二つの選択肢の中でも、会って伝える、という選択肢を選んだことに拍手したい。
「その子、友達とふざけてる時もあるけどね!」
うんうんうん、それくらいがちょうどいいわ!
好きな人がいるっていうだけで、学校に行くのが楽しくなるもんね!
「頑張ってね! お母さんも応援してる!」
そして、数日後、学校から帰ってきて早々、報告を受けた。
「私がね、〇〇くんのこと好き、って言ったらね、そう言ってくれて嬉しい、って言ってくれた」
「わああ、よかったね〜!」
「今はまだ小学生だから、付き合ったりとかはないけどね。でも、中学生になってもお互い好きやったら付き合えるかもね、って話した」
「なるほど〜。じゃあ今は、お互いの気持ちを確認して、両思い、みたいな感じ?」
「うん、そう! じゃ、友達と約束してるし公園行ってくる〜!」
とランドセルをおろしながら、元気よく外に飛び出して行った。
娘は行動した結果、完全なるリア充女子のポジションを獲得した。
娘との会話を頭の中で反芻しながら、日常の自分に置き換えて考えてみた。
自分から行動する、ということができているだろうか。
自分の気持ちを直接伝える、ということができているだろうか。
うーん……。
胸を張って、はい! こんなことやってます、できてます! という事柄が一向に思いつかない。
ついつい、恋愛を求めている方に向けて、メガホンを持ったが、
完全に、娘の受け売り、だ。
まるで自分の手柄かのように。
まずは家庭から、と思った私は、
朝起きての第一声、主人にかける言葉を変えてみた。
「今何時?」だったのを、
「おはよう大好き今何時?」に変えた。
主人の返しは「6時だよ」「7時だよ」と、時間のみで変わらない。
それでもお構いなく続けていたら、
なんと、何も言わずとも、毎日洗濯物を畳んでくれるようになった。
え、なんか、すごい副産物なんですけど。
娘との会話は、実は、
これからも夫婦として末永く仲良くやっていく秘訣を教わる、という、私にメガホンが向けられた一件だった。
***
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