メディアグランプリ

背後のオバケ

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:野呂桜子(ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
先日、友人が人生初めての「雑誌」を出版した。
人生一度は、本を出版してみたいと思っていた私はうらやましかった。
私もいつか本を出版してみたいなぁ。
心の中からポワッと期待の火が灯った。
 
ある日、友人が出版した雑誌を買いに、本屋さんへ立ち寄った。
町家を改造してつくられた本屋さん。ガタガタと扉をあけると古い家屋の木の香りに、本の香りが混ざりコーヒーの香りが霧のように漂っていた。
 
なんか、いい香り。ついつい、深呼吸をする。
友人の雑誌を見つけて購入し、注文したコーヒーを飲みながら雑誌を目にする。
ふと、目の前のスクリーンに映像が映る。眼鏡をかけたツルツル頭の男性がホワイトボードにガツガツと殴り書きながら講座らしきものをしていた。
どうやらライティングのセミナーらしい。なるほど、友人もこれに参加したのかな?
このテンポと熱気のセミナーなら面白そうだな。
文章が得意でない私にも「できるかも」が発動していた。本屋を出るときには私の手には先ほどのスクリーンの中のツルツル頭の男性が開催しているライティング・セミナーのチラシがあった。
申込が完了し、ついにセミナー初日がきた。このセミナーは全国展開していて各店舗での直接参加とオンライン参加があるが、以前立ち寄ったときのお店の雰囲気が心地よかったのでセミナーの日はセミナーDAYと名付けてゆったり現地で受講しようと決めていた。最近、なにかと外出が減った私にとっては外の空気を吸って気分転換できる最高の人もなりそうで楽しみにもしていた。
 
しかし、このセミナー。私にとっては最初から大きな難関があった。
それは宿題だ。
毎週2000文字の文章を書く。今まで、SNSなどで発信はしてきたが書き続けることをせずに気の向いたときにしか書くことができない私にとって、これは大きな壁であった。
1日目のセミナーが終わり帰路でバスを待つ。今日のセミナーで先生の言葉が頭の中でささやく。「難しい漢字や言葉は使わない」「小学生が読めるレベル」「最後まで読んでもらえる」「何回落ちてもいい」
ふふふ……。
「私にもできるかも」が発動する。
「最後まで読んでもらえる」記事ってわかる気がする。それって私が気が付いたら最後まで読んでいるやつや。私は文章も文字が多いと目と頭がシャットダウンしてしまうのだ。
だから、私が読めたら、他の人も読めるかもとおもうのである。要は読みやすくて楽しい文章である。
とはいえ、それを思うと「何を書こう」……
 
そう。この日から私の背後には「何書こう」オバケが四六時中、付きまとうようになった。
これが背後にいると落ち着かない。こいつがささやいてくるのである。
「何が面白いと思う?」「みんなどんなこと書くのかな?」「ササっと書いちゃえば?」
「自分で小説書くのか?」「過去の体験書いたら?」モンモンとする。
先生は「なんでもいい」と言っておられたけど「なんでもいい」ほど困るものはない。
夫に夕食何がいい?と聞いて「なんでもいい」と帰ってくるのと同じだ。
「なんでもいい」と言いながら「じゃあ、カレーにするわ」といえば「カレーなん?」って
「なんでもいい」って言ったやん!とよくある光景である。
とりあえず、ここは先生の「なんでもいい」を信じてみよう。
今日は12月26日。提出の1月3日までは8日間ある。今日から取り掛かってみよう。
と気が付いたら12月27日。1日経過している。
今日こそ、明日こそ……と時はあっという間に進む。
「ダイエットは明日から〜」という言葉を思い出す。同じやん。
 
う~進まへんっ。
 
さらに今は年末。大掃除に神社へのお礼参りとバタバタやし、なおかつ
12月31日からは夫の実家へ帰省するし準備も大忙し。セミナーから何日たっただろう。この間にも背後には「何書こう」オバケはよくしゃべってくる。
空港に向かうバスの中でも、飛行機の中でも、トイレの中でも。
ホントにうっとうしくなって提出は次回からにしようかな。と気持ちが揺らぐ。
時計を見る。
締め切りまで24時間切っている。ワオ……。
 
こんな時、また「何書こうオバケ」が背後から話しかけてくる。
「はよ書きやぁ」「おもろいの書いてやぁ」「おもろいもん」「おもろいもん」「最後まで読んでもえらえるのやでぇ」
次から次へと、ほんま、うっとうしい奴や……。こいつ。
 
たしかに目標は「最後まで読んでもらえる」文章である。しかし、その前にチョット「何書こうオバケ」とちょっと話をする必要がある。
なあ、なあ。
「何書こうオバケ」さん。言ってることはわかるし、私も最後まで読んでもらえる文章が
書けるようになりたいねん。そんでもって、おもしろいもんも書きたいねん。でもな、私は文章得意ではないねん。それにさ、先生も16回あるから沢山落ちてもいいって言ってたやん。だから、まずは「やるかやらへんか」が大事やと思うねん。だから、今回は初回やし、提出することを目標にしいひん?今の私は「数をこなすこと」も課題やと思うねん。どやろ?
 
すると「何書こうオバケ」が言った。
ええんちゃう?まずは「やるかやらないか」を自分で決めてすることや。
 
そやな。ありがとう。残り時間あとわずか。
文豪は毎日5000字書いていると聞いた。
それに比べたら1週間で2000字。
やってみるわ。
 
そして私は、完成させて四苦八苦しながら文章を提出した。
新しいことのチャレンジの一歩目であった。
 
 
 
 
***
 
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2022-01-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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