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日本全国を旅して、残る1県になった私の反省点


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記事:いとうけんご(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
国内旅行に行くとしたら、どこに行きたいですか?
と聞かれたら、どこと答えますか? 沖縄? 北海道? 関西? 九州?
 
今まで仕事で日本全国を旅してきて、残るあと1県になった私は、どこも魅力的だとは思うが、やはりその行ったことの無い最後の1県を挙げるだろう。
 
なぜ私は、そんな全国を旅できたのか?
 
小さな頃から旅行は好きで、旅番組や地図を見るのが好きだった私は、実家が商売をしているせいで、なかなか休みが取れず旅行に連れて行って貰えなかった。
 
たまに行くのは、近くの川や湖に魚釣り、隣県あたりの名所に日帰りで行くぐらい。祖父母が見かねて温泉とかに連れて行ってくれたりもしたが、それも稀だった。
 
成長するにつれ、修学旅行や友人と泊まりがけで海水浴やスキー旅行など、旅行の楽しさを知るようになり、子供の頃の反動なのか、ますます色々な場所を旅したい欲求が大きくなった。
 
そんな気持ちを持ったまま大人になり、音楽関係の仕事に就くことになる。
音楽関係となると、全国津々浦々でのコンサートやライブ、イベントや営業などがあり、家に居ることのほうが少ないくらいに、移動、仕事、移動、仕事の毎日が待っていた。
 
そんな毎日は、忙しくて大変だと思うだろうか?
いや反対に、夢のような、毎日が旅なのだ。
 
日本列島の白地図に、どんどん行った都道府県を塗りつぶしていく感覚。
さながらスタンプラリーのような達成感と、国盗りゲームのような攻略感が相まって、毎日が楽しくて仕方なかった。
 
半分くらいの地図が塗りつぶされてきたとき、仕事の旅から帰宅すると家内が聞いてきた。
 
「いろんなところ行けて良いなぁ。今回行ってた所はどんな所だったの?」
 
東北のある県に行っていた私は
 
「そうだね〜、すごく寒かった。でも名物の鍋が美味しかったよ」
 
「そうかぁ、そこはどんな感じの街だったの?」
「街かぁ〜、街ねぇ〜、そうだなぁ〜」
 
そこで、先ほどまで居た街を思い出そうとして、はたと説明に困ってしまった。
 
あれ? どんな感じの街だったかな?
駅前は駅ビルがあって栄えていて、商店街があって、大きな歩道橋があって、
ホテルは駅前で、お土産物屋さんがあって、人通りは多くて……。
うまく説明できない。というか、どこの街の駅前も大概そんな感じだ。
 
全国を旅しているのはいいが、駅や空港から宿のホテルへ入り、仕事に向かって移動。
仕事が終わると宿に帰り、近くでご飯を食べて、次の朝また別の街に移動。
どこに行っても行動はほぼ同じパターンだった。
 
それに気がついた瞬間、今までの旅を顧みて愕然とした。
 
何県や何県に行ったはいいが、それは行っただけなのだ。
スタンプを押して、地図を塗りつぶしていただけなのだ。
 
「これは旅なんかじゃない!」
 
なんて、勿体ないことをしていたのだと、反省した、いや猛省した。
なかなか行きたくても行けない都道府県に行っているのに、その場所を見たり知ったりできる折角の機会を全く逃していたのだ。
 
それからというもの、私は生まれ変わったように行動的になった。
 
その街に行く前に、訪れたい名所や施設。名物の食べ物屋、土産物屋を下調べして行った。
普通の旅ならば当たり前の事だが、仕事絡みだと観光をするという思考が無かったのだ。
 
次に到着したら、自由行動の出来る時間を把握して、その時間で行ける範囲の観光をした。
空き時間はもちろん、次の移動出発の時間前にも、朝早く起きて街を散策してみた。
 
するとどうだろう、その街の特徴や良さをどんどん吸収できるようになった。
その証拠に、帰宅して家内に「今回の街は良かったよ、古い町並みと柳並木が駅前から続いていて、そこで食べた素朴なお餅が美味しくて……」と、事細かく説明できるようになっていった。
 
その街に全国的に有名な名所があれば、是非観に行ってみて訪問した実感をしてみるのも良いし、ただ街を歩いてその街の空気に触れ、町並みや人々の暮らしぶりを感じるのも良い。
 
私が行動的に観光をするようになってから、また全国の半分を仕事で回った。
以前と違い、どの街も特徴があって楽しい。北の町、南の街、都会の街、田舎の町。
何気なくではなく、ちゃんと目的を持って旅をすることで、写真やビデオを撮って残すように、記憶にも鮮明に残るようになった。
 
そんな中、楽しい旅の楽しみを見つけた。
 
旅に行くといつもお土産を買って帰っていた。大抵は駅ナカのお土産物屋さんや物産店で、その土地の名前や名物が入っているクッキーやせんべい、和菓子などを購入することが多かったのだが、ある時から別の場所でお土産を買うことにした。
 
それは「スーパーマーケット」
 
それは、たまたまだったのだが、ホテルで食べる惣菜やお菓子、飲み物を買うために宿近くにあったスーパーに入った。
 
何かの商品がどこにあるのか聞くために、ベテランぽい店員の女性に聞いてみた。
すると、親切に商品の場所を案内してくれる道中に。
「あれ〜? お客さんどこから来なさった? 東京から? そりゃ遠いとこから〜」
と、とても人懐っこい笑顔で話しかけてくれた。
 
私が「ここでしか買えない、ご当地の食材や調味料みたいなのもあるんですか?」と聞いたところ、店員さんの目がキラリと光った気がした。
「そりゃ〜美味しいもんがたんまりあるよー! コレコレ! これなんか美味いよ!」
他の店員さんも大声で呼んで「○○さ〜ん、他に東京で買えない美味いもんなかったかー?」
楽しそうに、色んな商品を紹介してくれる。
 
なんだか、すごく嬉しい気分になった。
なんだか、すごく温かい気持ちになった。
 
名物や名産品のお土産も大いに結構だが、もし、旅行に訪れた街にスーパーマーケットがあれば、是非ご当地の商品を買ってみてはいかがだろう。その時はベテランぽい店員さんに、お聞きになることをオススメする。
 
仕事や私的な旅行もあわせて、全国46都道府県を旅できたことは、本当に人生の財産のような気がする。もちろん旅の価値は行った場所の数ではない。近くても遠くても旅人の心を豊かにすることに変わりは無いのだ。
 
残す1県は、四国の高知県。
鰹タタキに皿鉢料理、よさこいに桂浜に坂本龍馬。
下調べも完璧にして、是非、いや絶対に訪問する!
これまでの旅のノウハウを全て駆使して、完全なる制覇を目指したい。
 
 
 
 
***
 
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2022-01-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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