メディアグランプリ

地球に安全な場所はもうない


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記事:リヒターけいこ(ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
日本に帰国すれば浦島花子のような私は今、「覚悟」を決めて毎日を
過ごすようにしている。その「覚悟」とは、いつ、どこで、何があっても
悔いを残さないように生き切るということでもある。
 
それは絶対に安全の場所なんて世界にはもうない、ということをこの一生で
実感したからに他ならない。
 
現在57歳の私は20歳まで日本で育ち、以降37年間を海外で暮らしてきた。
この2年間で向き合ってきたのは、10カ国での体験以上の世の中の変化と命のはかなさ、
そして明日は我が身というこの現実であった。
 
 
最初は3年前のある日、私の心にふと
「自分はなんて幸せな時代に生まれたんだろう」という、訳のわからない感謝の
気持ちが浮かんだことがあった。
世界の歴史を見てもわかるように、人は常に争いを繰り返し、そして薬病と戦ってきた。
日本の戦後生まれの私はそのどちらも知らず平和な時代に生きているんだ、
ということが当たり前でない、とその時気づいてしまったのだ。
 
……するとまもなくコロナと言うウィルスが出現した。
武漢から世界中に蔓延し始め、ドイツに住む私たちにもすぐに影響が及んだ。
2年前の3月11日にドイツで計画していた東日本大地震被災児支援のチャリティコンサアート。
日本から3人のピアニストが来るはずだったのだが、老人の多いこのドイツの街に
もし感染者を出してしまった時責任を持てないという気持ちで、1年間かけた計画を
泣く泣く断念したことがある。
 
以降ドイツでは何度もロックダウンという信じられない展開になり、人との接触が途絶えた。
毎日ニュースを聞き逃さないようにしていた夫はワクチン接種開始前に感染。
私は内心嫌だと思いつつ3回までワクチン接種を受けた。
 
この2年間日本に帰らずにいたのは、到着時の長期間隔離と、80歳の母の
ワクチン未接種が理由だったけど、帰国するぞ、と決めた途端今度は戦争、である。
もうどうしようもない。
果たしてちゃんと帰れるのかが危ぶまれる状態なのだ。
友人は翌日の出発を控えていたのにロシア上空が飛べないという理由から
急遽ANA便が10日間キャンセルになった。
 
 
 
それにしても、私と夫の人生は映画のようにエンタテーメント性が豊かであった。
よく夫と、本が何冊も書けるね、と言い合っている。
 
10年前の上海滞在時にはSARSで小さい子供たちとドイツに避難、
ジャカルタでは洪水とテロ爆弾の恐怖に怯え、ソウル滞在中には
東日本大震災が起きて、日本と家族を案じた。
以前インドネシアで登った山の数々はここ数年で噴火してしまった。
 
 
世界のあちこちで難を逃れて、ドイツの静かな田舎暮らしに定住して4年。
こんなに安全な場所が他にあるのかと幸福感に浸っていたが、間違っていたらしい。
TVでは毎日ウクライナの悲惨な状況が流れ続け、周りでは支援物資を届けることや
難を逃れてきたウクライナの人々を受け入れ、ベッドと屋根を提供する
人たちが多い。
 
 
だからわかる。絶対の安全の場所なんてもうなくなったのだ。
いつ水害に襲われるか、ハリケーンで飛ばされるか。
考えてもみれば、すでに25年前には後は元副大統領が世界に警告するために
「不都合な真実」という映画を世に出したけれど、
経済優先してきた世界は一体何をしてきたのだろう?
 
 
世界が一団にならないとなし得ないよう地球の大問題を後回しにしたわけだ。
今までちゃんと警告してきた科学者たちがいたにもかかわらず
私たちは何とかなるだろうと軽視してきたのではないだろうか?
 
 
 
人の歴史は繰り返す。さて問題はここからである。
では私は今どうすればいいのか?
 
 
ドイツ人たちのように論議を醸しても、議論は現状は変えられない。
もしウクライナに核が落ちたらどうするか?
逃げても無傷でいることは不可能だ。
 
 
だからもう決めた。足掻いても仕方がない。
ワクチンを打った時も、その裏を知っていたけれど私はあえてこの地で受け入れられる
ための選択をした。寿命が短くなろうとも、それはこの時代に生きている個としての
人生を受け入れるしかない。
頑としてワクチンを打たないで暮らしている友人は、家族全員が死んだとしても
それでも残って生き続けたいのだろうか?
 
 
こんな時に、人生を振り返っておくのは悪くないと思う。
振り返って改めて、どれほど自分が幸運だったかに感謝している。
 
定年した夫と毎日一日中夫と暮らす初めての経験も、コロナ禍という前代未聞の
状況が、気づきと感謝を深める手伝いをしてくれたようだ。
 
日本の家族と会えない日々も、今はただで毎日声が聞けて顔も見ることができる。
この2年でそれまで以上に大勢の人たちと繋がって交流してこれた。
オンラインで始めた仕事に打ちこんで、自分の仕事として誇りに思えることを
続けてこれた。
 
逆境の中で見つけた新しい自分と出会えた!
 
そうなのだ。明日何があっても人生に悔いはない。
そして明日も同じように、瞬間瞬間を愛しく大切に味わいながら過ごすだろう。
自分の時間。
自分の心。
 
 
自分と向き合うことが、今あるこの私という命を大切にするということだと心から思う。
 
 
 
 
***
 
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2022-03-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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