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少女漫画のヒーローにギュンギュンな女がゴリゴリゴリラと一緒にいる理由



記事:のんさ~ん!(ライティング・ゼミ)

「ゔぅぅぅぅぅ、やばいやばいっ。泳ぐ泳ぐ、うははははは……(ドタバタ)」

あなたは、この状態がどのような状態であるのか想像できるだろうか? おそらくほとんどの人が、意味が分からないというだろう。もしこの状態に共感してくれる人がいるのなら会ってみたい気もするほどだ。これはもちろん私自身の状況で、泳ぐの意味とは? 苦しんでるのか楽しんでるのか、どっちなの? と、気になるあなたにお答えしようと思う。

これは私が、キュンキュンを通り越してギュンギュンしてしまったときに陥る状態なのである。

例えば、少女漫画の「ストロボ・エッジ」で私は時折この状態に陥った。主人公の仁菜子が学校一の人気者である蓮君に初恋し、日々奮闘していくピュアな恋物語なのであるが、私は、修学旅行の途中に転んだ仁菜子に服を貸した蓮君が、だぼだぼの洋服姿の仁菜子にキュンとしているシーンやその長い袖を蓮君が後ろから包み込むように腕まくりをしてあげるシーン。さらには、蓮君が仁菜子を壁ドンして自分のことをどう思っているのか問い詰めるシーン。ギュンギュンするシーンはキリのないほどたくさんあるのだが、私はそんなシーンに出会うと、冒頭のセリフを言いはじめ、うつぶせの状態で漫画を読んでいる私の足がバタ足をはじめ、さらには手までクロールをするように動き出すのである。もう、ギュンギュンしすぎてどうすればいいの~状態である。そんな私の様子を見て父は、「泳ぐな(笑)」とツッコミをいれてくれる。この感覚は言葉で表すことはできないのだが、全然嫌ではない。むしろ、幸せすぎて苦しい状態である。この感覚を求めるためとは言わないが、だから私は少女漫画が大好きなのである。少女漫画で泳いでしまうほどの物語に出会うことが大好きなのである。そして、とりわけそうなってしまうのは、コテコテの少女漫画であり、かっこよくて爽やかな、女心を鷲掴みするヒーローが存在している。こんな人が現実にいるはずはないと頭では分かっているが、こんな人がいたらいいなぁと思ってしまうのは私だけではないのではないか。

しかし、私の現実はこうである。大学に入学し、どんな出会いがあるのかウキウキしていた私。大規模なサークルにも入った。そんな中で私の特別な存在となった人は、かっこよくて爽やかで、みんなの人気者で……という人ではあるはずもなく、むしろ私が一番苦手なタイプの人だった。見た目はチャラ男。髪は長いし、金髪。サークルの中のイケイケ? みたいな人とつるんでいる騒がしい人。そんな人とは関わることはないと思っていた。なぜなら、私が元々男の人とはあまりしゃべらないほうだし、キラキラした女の子たちともそんなに仲が良かったわけではないからである。イケイケの世界とは程遠いマイペースな世界に住んでいた私が一番関わることのない類の人で、サークルに入って最初の夏が来るまでほとんど知らない、関心がない人だったのである。もちろん相手方も私と同じように私のことなんて知る由もなかっただろう。お互いサークルの「同じ学年の人」だったのである。

それが心機一転したのは、夏休みに同期のサークルメンバーでカラオケオールをすることになったことである。私は全くカラオケオールというものをしたことがなかったので、これが大学生か……と思うとウキウキが止まらなかった。そんな中、彼も当然参加していて、様々な歌を歌って周囲を盛り上げていた。私も最初のほうはノリノリであったのだが、親の教えによって規則正しい生活が体になじんでいる私は、午前1時ごろが限界だった。自然と目が閉じていく……そんな時に声をかけてくれたのが彼だった。
「ここで寝ていいよ」
私のためにスペースを空けてくれて、そういってくれたのである。私はというと、眠すぎて寝ぼけた声で「うん」といっただけである。その出来事があってからは、イメージが変わった。以前より話しかけてくれるようになったし、私も意外と怖い人ではないのかもしれないという想いが芽生え、フランクに話せるようになったのである。それからなぜか、どんどん親密な中になっていった。というのも、かなり猛アタックされていたのだ。彼は、黒白はっきりしていて、好きな人がいなければ、みんなと仲良くする世当たり上手だが、一度気に入った人には全力でアタックするらしい。私も戸惑いつつ、でも、素直に思ったことを伝えてくれていたので悪い気はしておらず、むしろもっと彼のことを知りたいと思うようになっていた。そんなこんなで、友達から恋人へ、という何ともありきたりな流れでお付き合いが始まったのだが、わかったことは一つ。彼は、ゴリゴリのゴリラである。バナナが大好物で、筋トレバカなので胸板が厚い。顔は堀が深く、濃い。鼻がでかくて足が短い。男友達が多く、顔が広いため、周囲からもゴリラ呼ばわりで、ゴリラのまねをよくしていた。それが本当に似すぎていて、爆笑ものである。でも案外心は繊細なところがあり、見た目に似合わず傷つきやすい。正真正銘のゴリラなのである。ここまでゴリラ呼ばわりするとかわいそうに思えてくるが……(笑)

なぜだろう。私はずっと少女漫画の中のヒーローが理想のタイプだったのに、なんでこんなゴリラのことが好きなのだろうか? 落ち着くのだろうか? 楽しいのだろうか? もちろん彼に対して、ギュンギュンして泳ぐことは全くもってない。恋というものは、キュンキュンするものではないのだろうか? それとも、これが現実の恋というものなのだろうか。あいにく恋愛マスターでもない恋愛ビギナーの私は、彼のド直球の押しに負けて付き合ってしまったのかもしれない。でも、今までいろんな壁があったけど、乗り越え、ゴリラと一緒に過ごせていることに幸せを感じているのである。そこで私は理解した。テレビを見ながらキュンキュンしていた私に「現実はお父さんよ」と言っていた母の言葉を。

それでも私は少女漫画に出てくる蓮君とか、風早君とかそういった人にギュンギュンする。イケメン俳優を見ても泳ぎだす。そこは何ら変わっていない。本当の意味で理想と現実を受け止められるようになったのである。もっと言えば、理想と現実をこなしているのである。恋の形態は人によって様々であるが、私は理想と現実を切り分けた、母と同じ恋の形をたどっているんだなと思う。そしてそれも全然悪くない。なぜなら、どっちの世界も楽しめているのだから。

理想に感謝、現実にも感謝。

 

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2016-07-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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