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友達から「癌になった」って電話があったとき


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記事:長谷川徳子(ライティング・ライブ大阪会場)
 
 
「友達から『乳がんになった』って電話があったんやけど……、何をしてあげたらいい?」
 
9年前に乳がんになった私には、こんな相談がたまにやってきます。
 
私自身もがんサバイバーですが、14年前、私の父も胃がんで手術と抗がん剤治療を受けました。だから、その相談をしてくる時の、当事者ではないけど、家族や患者に対して、「どうしたらいいかわからない~!」という動揺した状態を私も体験したつもりです。
 
 
父はひどい腰痛で入院したことがある以外、病気とは縁遠かった人でした。最近胃の調子が悪いから、「念のために」とかかりつけ医に勧められた検査で、がんだと診断されたと言われた時、母は泣き崩れ、私は一言も発することができませんでした。
 
その診断を聞いてから、「父が死んだらどうしよう?」「どうかまだ連れて行かんといてください!」と毎日仏壇の前で泣きながら手を合わせてました。父も気丈な人で、泣き言一つ言わなかったので、私が何をしているときでも、気を緩めた瞬間から涙がボロボロと勝手にこぼれてくるので、実家にいるときとまだ幼児だった娘と一緒の時はすごく気を張って生活をしていました。
 
父は自営業だったので、2週間ほどのお休みをいただくことについて常連のお客様には事情を説明する必要があり、父の病名を伝えると、結構な割合で、「うちの父も」「うちの叔母が」「義理の父が」と言われ、そのあと、「今も元気にしてるから大丈夫よ」と続きました。
 
それをきいて、「ガンって不治の病ちゃうんや」と思ったときに、少しだけほんの少しだけですが、安心したことを覚えています。
 
そして、父の入院初日、看護師さんから翌日の手術のための説明を聞き終えた私達に、隣のベッドのおっちゃんが、声をかけました。
「あんた、明日、胃、切るんか~?」
「それ何回目や?」と。
 
「はぁ? 何回目って言うた? 何回目って何? それ、どういう意味なん?」
 
と私はその言葉の意味をつかめずに黙っていました。が、父はあっさりと「初めてです」と答えました。
 
すると、
「初めてかいな、初心者やな~。おれはな、今回で6回目で、1回目が胃がんで胃の三分の一取ってな~、2回目は~、3回目が~」と、そのおっちゃんは、ドヤ顔で延々とガンについての歴史を語り始めたのでした。
 
その話を聞いて、「ガンって5回なっても、生きれるんや(=生きることができるのか)」と、妙に安心したのを覚えています。
 
 
 
3年ほど前、年賀状のやり取りが続いていただけの昔の同僚から数年ぶりに電話がありました。彼女は私のブログをチェックしていて、私が乳がんになったことを知っていて電話してきたのでした。
 
「こないだ検診で乳がんって診断されてさ~、そう診断された私よりも、実母と旦那が動揺してて、わーわー言うて大騒ぎやから連絡してん~」
という内容の電話でした。
私がどんな診断をされたか? どんな内容の治療を受けたか? 費用はいくらかかったか? 等々を話したあと、彼女が、旦那さんに言うた一言がこれでした。
 
「ほら! 乳がんでリンパ節にも転移してた長谷川が、今でも生きてるんやから! 私も大丈夫やろ!」
 
 
「ガンになった」と相談してくる人すべてが、必ず大丈夫です! なんて言うつもりは、全くありません。正直に書きますが、抗がん剤やびわの葉などの民間療法の話をしていた同病の友人は、亡くなりました。こう書いている私自身だって、もう二度と再発しない! とも言い切れません。
 
でも、がん患者家族としても、がん患者としても、その両方の経験を持つ私には、癌になっても今を生きてる人の話を聞くことは、救いだったような気がします。ずっと、ずうっと先まで何の光もない真っ暗で深い闇にいるような、そんな気持ちになったときに、「ガンになっても生きている人がいる」ということが、一筋の光だった気がします。
 
 
「私自身も親族にも、がんサバイバーなんか居ない私はどうしたらいいの?」
 
そう思ったアナタは、ガンになっても生きてる人、結構いてるらしいよ~という情報とともに、話を聞いてあげてください。そして、一緒に泣いてあげてください。
 
私は、親にも子どもにも言えなかった泣き言を友人に大泣きしながらぶちまけました。その時のことは、一生忘れることはないと思います。
 
 
何をしたらいい? 何かできることある? 話聞こうか? って、そう言ってくれる友人が自分にいること、それだけでも十分に心の支えになりますから。
 
大切なお友達が術後元気に復活することを心から祈っています。
 
 
 
 
***
 
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2022-04-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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