オンライン診療が進まない
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記事:奥村洋介(ライティング・ライブ福岡会場)
「オンライン診療? 興味ないね」
4月に開院した友人が答えた。
開業医100人にアンケートしても67%が検討するつもりが無いと答えている。
コロナが広がり、人が多い場所に行きにくい。
新規陽性者数が全国で毎日4万人増えている。
本人や家族がコロナにかかったという話も身近に聞くようになった。
いつ自分がコロナになってもおかしくない。
病院の待合室は、人が多い。
座席シートには、間隔をとって座りましょうと書かれているがそれでも気が引ける。
コロナ患者と同じ空間に遭遇したらどうしようなどと考えてしまう。
街の中心地にある人気の整形外科も、以前より人が減ったような気がする。
定期的に通っていた歯医者も、なるべく回数を減らしていきたい。
オンライン診療になると、不安がなくなるのにと感じている。
世界では、規制緩和が進み オンライン診療が広く普及している。
アメリカでは6割、イギリスでは7割、フランスでは5割がオンライン診療だ。
コロナ前には、オンライン診療にいろんな規制があった。
フランスでは、直近1年間に1回以上の対面診療が条件にあった。
現在は、対面の要件を解除されている。
アメリカでも、民間保険では州内の病院のみという受診条件であった。
現在は、州外の病院でも保険が大丈夫ということになった。
日本でも規制緩和されている。
初診は対面であったのが、今では初診からオンラインでもよくなった。
それでも日本の普及率は15%で止まっている。
初診から診療できるは6%という低水準で、海外の普及率とは比較にならない。
オンライン診療では、年中無休、いつでも受診可能だ。
医師が処方薬を必要と判断すると、Web上で処方箋を患者に発行できる。
患者はその処方箋を持参して薬局で処方箋薬を購入するこができる。
中国ではグットドクターというアプリが人気だ。
以前は著名医師の診察を受けるのに、何日も待たされていた。
グットドクターを使えばアプリから著名医師を予約することができる。
また24時間いつで専門医に相談することができるようになった。
利用者にとって格段に利便性があたっている。
「診療報酬が魅力的ではない」
友人はオンライン診療に取り組まない理由を答えてくれた。
日本の診療報酬制度では、診療項目ごとの価格設定がガチガチに固められている。
対面診療よりもオンライン診療は診療報酬が安い。
診療項目によって1回あたり数百円から2,000円近い減収になる。
これでは、オンライン診療をやる気にならない。
努力に見合った収入が見込めないので、導入するメリットがないからだ。
オンライン診療が広がった世界では、医療が治療から次のステージに移りつつある。
「治療から予防へ」、「デジタルヘルス」、「個別化医療」への移行だ。
未病・予防へのシフト。
デジタル・AIなど最新のテクノロジーによる病気の解明、医薬品の開発。
病気の因子を解明し、個々人に最適な治療法を提供する。
などである。
アメリカでは、製薬大手はオンラインの診療技術を利用して新薬開発を進めている。
中国では、診療データを集約して感染症対策に利用している。
アマゾンも、オンライン薬局を開始して、医薬品のプライゲートブランドを手掛けている。
会費を払うプライム会員には早期配送や特別割引が適用になる。
アメリカや中国では、ヘルスケアのユニコーン企業が多数登場している。
日本では、ユニコーン企業は0だ。
対面診療の電子カルテですら仕様が統一されていない。
データの共有化でも後れを取っているのが現実だ。
そんな医療業界に私が何をできるのかを考えてみた。
病院には紙が多い。
保険請求するために、紙の保存が必要だ。
問診票は、紙に記入している重要な個人情報だ。
ワクチン接種のための申請書など、何枚紙に記入して病院へ提出しただろうか。
DXに詳しい医師の友人と、カルテなど紙の書類を電子化することに挑戦することにした。
紙が無くなれば、病院には保管作業がなくなる。
患者にとっても、スマートフォンで入力できるようになれば、時間の節約になる。
病院と患者の双方メリットが実現する。
医療の問題点はどこにあるのか、仮説をたてることができた。
私は、その問題点を、どのようにかえることができるのか動いてみることにする。
自分でできることからはじめて、世の中を変えていきたい。
***
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