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私がセラピストになりたかった本当の理由


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:飯髙裕子(ライティング・ゼミNEO)
 
 
「もう続けていくことができなくなりました。辞めさせていただきます」
送信ボタンを押すと同時に真っ白になった画面を見て、重い足かせがガチャリと音を立てて外れたような気がした。私のもとに残ったのは高額のローンだけだというのに……。
 
その半年前、私はあるセラピストのブログを見ていた。
体験セラピーを受けて、自分もセラピストになったというものだった。
私は、カウセンラーの通信講座を受けたり、セラピーの勉強を始めたところだったので、その内容がとても魅力的に見えて体験セラピーの申し込みをしようと思った。
セラピーは、その種類も多く、特に公的な資格が必要ないものもあって、最近女性に人気の仕事であり、起業する人も多かった。
私もそんな一人であり、雇用されて働ける時間がそんなに長くはないことも気持ちに焦りの拍車をかけた。
起業の知識もなく何とかなるだろうという甘い考えであったと思うがその時は将来の不安でいっぱいだった。
 
体験セラピーはなんだか不思議な感じだった。
自分の中に閉じ込めていた気持ちが抜けていくようで、しかもとても簡単なやり方は私にもできるかもしれないという錯覚を起こさせた。
巧みな話術に引き込まれて、「セラピストとして活動する講座に申し込みをしますか?」
という誘いを断ることができなかった。その金額に一瞬胃のあたりがざわっとしたにもかかわらず、私は契約書にサインをした。
ちょうどその翌日が私の誕生日という日だった。
 
そんな甘い考えで始めた起業は、月給をもらわないサラリーマンのような感じだった。
個人事業主と言われながら、毎日の連絡とFACEBOOKの投稿を、平日の仕事をしながら、言われるままに必死でやり続けた。
他人の敷いたレールの上を走っていることに違和感を感じていたが見ないふりをしていた。そうしないとくじけてしまいそうだったからだ。
休日には起業家の集まりに顔を出し、今までの私には考えられないような行動の変わりようだった。けれど、初めて会う人に笑顔を作り話す私を、納得いかない表情で見つめるもう一人の自分が時々見え隠れした。
 
3か月ほどしても、何も進展はなく同じころに入会して、頑張っているメンバーがどんどん進んでいるような挫折感と不安を感じ始めていた。
 
違和感を感じていながら自分が間違えたと認めたくなくて、決めたことをあきらめたくないという思いにすり替えていた。
 
もうすぐ半年になろうかという頃だっただろうか。
今まで、毎日欠かさず投稿をし、特別なミーティングにも参加していたメンバーの何人かがあまり見なくなったことに気が付いた。
「どうしたんだろう?」そう思っても基本的にお互い連絡を取り合っていたわけでもなくその理由もわからなかった。
そんな私のもとに一通のメッセージが届いた。
 
「飯髙さん頑張ってますね。何か困ったこととかありませんか?」
同じころに入ったメンバーの一人だった。
最初私にはその言葉をどう受け取っていいのかわからなかった。けれど、違和感も不安も大きくなっていた私は自分が不安を抱いていると彼女に伝えたのだった。
その返信は、自分でも意外なほど驚きよりも納得感のほうが大きかった。
最近見かけなくなった人たちの多くはやめていた。
その時初めて私は、自分の起業に対する甘さと間違いを認めざるを得なかった。
誰かの力になりたいという名目を掲げて私は自分が救われたかったのだと気づいた。
セラピストになりたかったのはその理由が欲しかったからだった。
このまま続けることはもうできなかった。
 
まるで散歩が嫌いな犬がリードで無理やり引きずられているようなそんな状態に私は心も体も疲れ果てていた。
辞めよう。そう思った。
 
退会メールを一方的に送信し、FACEBOOKもアカウントを変えて本当につながりたい人だけに友達申請をした。
 
休日のバイトを探して、目の前のことを解決するために、私はただただ、必死に働きそしてセラピーの勉強を一からやり直し始めた。
 
そうしているうちに不思議と、思わぬ収入があったり、自分に必要な人たちとのつながりができたり、少しずつ自分のやりたい形もはっきりしてきた。
見えない未来の不安は無くなり、今自分がするべきことに違和感も辛さも無くなった。
 
そう、私に必要なことは、タイムマシンのように未来や、過去をさまようことではなく、今を生きることだったと分かったからだ。
そんなかけがえのない人たちとのつながりから私はライティングゼミに出会った。
自分としっかり向き合うことで、自分に必要なものが見えてきたのだろう。
これからも、本当に自分がなりたいセラピストを目指して一歩ずつ歩いていきたいと思う。
 
 
 
 
***
 
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2022-04-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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