メディアグランプリ

彼氏中心で生きていた恋愛こじらせまくり女子から、卒業する話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:園田 美穂(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
『みほがいなくても、幸せなことに気付いた! 別れよう』
 
え! ! ! !
なんで! 急に? 私? なんかした? どういうことーーーーー! ! !
 
夜中届いた彼氏からのメッセージ。突然過ぎて意味が分からず何度も何度も文字をたどったが、どこからどうみても私は振られている。しかも、なかなかのデリカシーのなさだ。今考えると、なんでこんなに執着していたのだろうと思うのだけれど、その時はそんな余裕もなく、ただただ振り落とされないようにしがみつくことに必死だった。
 
「え、なんで? なんか嫌なところあった? 料理できる人がいい? それなら料理教室にも通うし、もっと頑張るよ? 好きな人できたとか? 今は二番目でも私は頑張るし大丈夫! ね? 一回話そ?」
 
こうやって改めて文字に起こしたら、粘着具合に拍車がかかって自分でもちょっと恐ろしい。こんなラインがきたら速攻でスクリーンショットとって『見て、やばくない? 怖すぎ(笑)』と、ネタとして提出されヤバい女選手権、決勝戦突破だ。恋愛が全て! 彼氏命! だったあの頃の私は、まさに絵に描いたような『恋愛こじらせ女子』だった。
 
今振り返ると、恋愛がうまくいかなかった根本的な原因がいくつかあったのだと思うのだが、その中のひとつを、私はあるコラムで発見していた。
 
 
恋愛がうまくいかない女の特徴『趣味:彼氏』
彼氏と1ヶ月のシフトを共有していないか? 連絡をすぐに返していないか? まさか今日の昼ごはんを、友達との写真付きで送ったりしてはいないだろうか? そんな女はすぐに飽きられる! 自分の没頭できるものを今すぐ作れ!
 
全部が当てはまり過ぎて、食い入るように見ていた。彼氏中心で生きていた私は、朝起きて彼氏から連絡がきているかどうかでその日のテンションが決まるし、返事がこないような日には、取り憑かれたように何度も何度も携帯電話をチェックする。ランチに行けば、友達と一緒に撮った一番盛れた写メを、頼まれてもないのに送りつけるし、休みの日は彼氏とのスケジュールが最優先事項だ。とにかく彼氏、カレシ、kareshi、なのだ。怖〜い怖〜い話(笑)
 
そりゃあ、こんな金魚のフンみたいに後ろからずっとくっついてくるような女、鬱陶し過ぎて切り離したくもなるのも十分分かる。私も好きでフンをやっているわけではないし、フン生活もなかなか疲れるのだ。それにただ、他に興味のあることが見つからなかったというのも多少なりともある。と思う。だから私はフンからの卒業を心に誓い、趣味作りに励むことにした。
 
 
とは言ったものの、生まれてこの方趣味という趣味が出来たことがなかったし、彼氏のことしか考えてこなかった私は、この趣味作りというものにかなり苦戦した。友達に誘われるがまま、ボルダリング、キャンプ、読書会、料理など色々なことに挑戦してはみたが、まあびっくりするくらいはまらない。というか、そんなことをやっている時でさえ、頭の中は彼氏のことでいっぱいだったのだ。やっぱりもう、趣味彼氏化現象は避けては通れないのかと半ば諦めかけ、ベットに倒れ込んだ。
 
 
脱力感で携帯電話を開き動画をスクロールしていると、なんとなく目に止まった一本の動画。それが『ヨガ』だった。
 
親指でポンッとクリックし、動画を再生してみた。森の中で清らかに流れる水のように、心にスーッと入ってくる声がとても心地よくぼーっと見ていた。その自然に通る声に導かれながら、落ち着いた音楽に乗せられて、外に向いた意識が少しずつ自分の呼吸に集まってくるのを感じた。
気付けば身体が動き出し、ヨガのポーズを真似していた。指の先まで感覚が巡ってくる。頭、手、腰、足。一つ一つ確かにそこにあって、その感覚を確かめるようにゆっくりと動かした。
 
足を少しずつ伸ばしていくと、なんとなく右足が重い感じがする。今日の出来事を辿っていくと、仕事で階段を何回も往復したことを思い出した。その右足を優しくそっと労るように、少しずつ丁寧に伸ばしていく。
 
 
ゆっくりと目を閉じる。
 
 
ひとつ。またひとつ。呼吸をするたびに身体の力が抜けていき、心臓の音が心地よく鳴り響くのが聞こえてくる。うっすらとした意識の中で、確かに『私』を感じていた。
 
 
「今日も一日頑張ったご自身の身体に、感謝の意を込めて」
 
 
その動画から流れる優しい言葉に、じわじわ奥の方から熱いものが湧き出て、なぜかぽろぽろと涙が溢れ出した。
 
 
 
もしかしたら、趣味なんて作らなくていいのではないか? 何かで気を紛らわすことや、何かに没頭すること。そんなことが、恋愛がうまくいく理由ではないのかもしれない。 ただ私を見て欲しかった。大切にして欲しかった。もっと分かって欲しかったし、頑張っていることを認めて欲しかった。そして、もっともっと愛して欲しかった。彼氏にではなく、私。私自身にだ。
 
このままじゃだめなだ。こんな自分じゃ認めてもらえない。彼氏が理想とする自分ばかりを追い求め、そして演じ、追われるには、愛されるには、求められるには。そんなことばかりを考え続ける。
 
愛されたい。大切にされたい。でも本当は、私が一番私のことを否定し、ありのままの自分を受け入れられずにいたのかもしれない。
 
自分の身体に寄り添い、自分の心を大切にする。頑張っている自分を誰よりも認め、労う。そして自分自身を大切に想うことが、何よりも愛される方法ではないかとヨガを通して感じている。
 
 
そして私はやっと、金魚のフンから卒業した。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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