人魚姫になんてなりたくない!
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あるところに,一人の少女がいました。その少女エイミは,本当は人間ではありませんでした。
エイミは,人間の男の子トールが気になって仕方ありませんでした。恋をしていたのです。トールは,女の子の人気者で,ガールフレンドもいました。傷つきたくなかったエイミは,思いを心の中に秘め続けて,遠くから眺めているだけだったので,まさか自分が恋をしていることにも気がつきませんでした。それどころか,トールに恋をしてしまったら,傷つくと思って,トールのことなんて何とも思っていないと,自分自身で思い込んですらいたのです。だけど,距離をとりながらも,何故だかトールから目が話せなくて,なんでこんなに気になるのだろう? と不思議に思っていたのです。
誰にでも優しいトールはエイミにも声をかけたり,からかったりしてきました。エイミはからかわれるのがとっても嫌でした。トールはエイミに,優しかったけれど,他の女の子にも優しいように見えました。そして,何よりトールのガールフレンドは,エイミと関わりない子だったので,全くどんな子かもわからなかったし,トールは,ガールフレンドのことはエイミには,ほとんど話したりはしませんでした。
トールには,少し意地悪に思える性格がありました。女の子や男の子をからかったりしているのが,度を越しているようにエイミには思えました。そんな,トールのことがだんだん意地悪に見えてきて,苦手になっていきました。自分もからかわれるのが嫌だったし,近づきすぎると,ボロがでて,幻滅されることが怖かったからです。
そんなとき,エイミは,実はトールのことが好きだったのだと気がつきました。認めたくなかったけれど,嫌いなところもたくさんあるけれど,好きの方が,どうしても上回ってしまうことに気がついたのです。とっても変な感じでした。これを好きっていっていいのかしら? エイミにはよくわかりませんでした。
好き,という気持ちに気がついてしまってから,とても苦しい日々が始まりました。だって,トールにはガールフレンドが既にいるのです。さらに,トールが身近な女の子に声をかけているのを見るたびに,胸がきりきりと痛みました。もちろん,トールはエイミにも声をかけてくれましたし,優しくしてくれていたのですが,そのことも,他の子と一緒だと思うと,嬉しい気持ちもすぐにしぼんでしまいました。トールの特別になりたいという気持ちがとても強くなってきていたのです。
ある日,エイミは森の中で,女神様に遭遇しました。そこで信じられない事実を知るのです。
「あなたは人間ではないのよ……」
エイミはとてもショックを受けました。この地球でひとりぼっち,疎外されたような感じで胸がしめつけられました。人間じゃないのなら,トールともう絶対に結ばれることはない,つながりあうことはない,そう思うと苦しさのあまり,涙がとめどなく溢れました。
そのとき,エイミは人魚姫の話を思い出したのです。お姫様と王子様が結婚することをとめることもできず,人魚に戻ることもできず,泡となって消えていく悲劇の主人公の人魚姫がまるで自分のことのように思えました。自分もこのまま何もできず,泡となって消えていく……。
「そんなの嫌だ!」
エイミの中に,溢れるような思いが湧きあがりました。
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この物語のように,どうしようもない無力感,悲しみに襲われることが,誰の人生においても,きっと訪れると思います。ここで,もうだめだ,絶対に無理だ,とあきらめるか,ほかに道はないかと,あがくか……。
過去の私は,傷つくのが本当に怖かった。だから,相手のことを好きだったことさえもよくわかっていませんでした。距離をとったまま,疎遠になっていった。それでよかったのかな? と今でも思うときがあります。自分の気持ちに向き合って,この物語のエイミのように,好きだということに気がついて,傷ついてもいいから,当たって砕けた方が良かったのではないか……。でも,きっとその頃の私には,距離をとるのが精一杯だったんだと思います。
だけど,今だったら,どうする?
もし,好きだったことに気がついていたら,どうする?
絶対的不利の状況で,どう行動する?
あなただったら,どうしますか?
今の私だったら,当たって砕けてお星様になってみてもいいかな? とも少し思います。
だって,思いを伝えることは,思いをもらうより,ずっと喜びに満ちているって今では知っているから……。
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