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父が微笑みの御仏になったとき 


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記事:大友さま(ライティングゼミ)

私の父は,人当たりは比較的良いように思う。話題も豊富だし,知識も豊かで,トークでも,常に笑いをまじえている。だから,家族団らんは,重苦しい感じではなく,いつも笑いが溢れていた。

その反面,機嫌が悪いときの父は,取り扱い注意!!! の号令がでる感じで,家族の誰も父に話しかけることはできないし,どうしていいかわからなくなる。機嫌が悪いときの父と一緒にいると,自分が怒られているわけではないのに,すごく辛かったことを覚えている。さらに,そんな中で,騒いだり,うるさくしたりと,きっかけを与えるようなことをすると,ものすごく怒鳴られて,震え上がることになる。怒りの矛先がこっちに向いて,発散されるのだ。その怒られようといったら,ちょっとうるさくした子供に怒るレベルではなく,まさしく不機嫌の元凶に向かって怒っているのがそのまま増幅されてこっちに来たような感じだった。

きっと,仕事のことで嫌なことがあったんだろうな。部下や上司と上手くいっていないんだろうな。そう,思いながらも,父の感情の問題なので,家族は腫れ物を触るように父を扱い,落ち着くのをビクビクしながら見守るしかなかった。

父が不機嫌な時期が数年あった。その時期に家族でドライブに行ったとき,私が助手席に座って,ナビをするときが何回かあった。私はそれがすごく嫌いだった。なぜなら,方向音痴である私は,ナビができなくて,地図をみても,ちんぷんかんぷんで,全く役に立たなかったから。そうすると,父は,私に向かって,普段溜めこんだ怒りを上乗せして,私を怒るのだ。それに,私は黙って耐える……。というのが一時期パターンになっていた。
「ナビができていれば……」と自分を責めたりしてしまうし,ものすごく嫌だった……。

この経験が私の中で,トラウマになっているのかもしれない。同僚とか,女の先輩が,昨日まで機嫌が良かったのに,突然次の日,何か虫の居所が悪くなって,不機嫌を全面に出してくると,とても居心地が悪くなってくる。いつ怒りのとばっちりがこっちにくるかと,びくびくしてしまう。実際私の前で不機嫌さを隠しもしない相手の前にいると,私は例のごとく,「何か悪いことしたかしら?」と,元々ないものを自分の中に必死で探し出したりしてしまうのだ。

以前一緒だった同僚にも同じように感じたときがあった。普段は,ご機嫌で明るく,よく気がつき,思いやりに溢れているのに,機嫌が悪いときは,表情も厳しく,全く話さなくなるので,「私,嫌われること何かしたかな? 何か変なこと言ったかな?」と,すごく自己嫌悪に陥るのだが,今になって冷静に考えると自分は何も悪いことはしていないのだ。

そんなこんなで,父への恨みが一時期私の中で溢れたときがあったが,最近,それも落ち着いてきたのかな? と思う出来事があった。先日,行った仏像展でびっくりするようなことが起きたのだ。

「微笑みの御仏」というタイトルの催しだったが,仏像のうち一体の左横顔がなんと,父にそっくりだったのだ! そして,微笑んでいる仏像をみて,父とそっくりだと思った自分にもびっくりした。父に対する思いも雪解けしてきているのだろうか。

確かに,機嫌が良いときの父は,元々細い目をさらに細くして笑うので,まさしく仏様のような顔つきをしていた。そのことを物語るエピソードがある。父が何か仕事で成果をあげたらしく新聞に載ったときがあった。その記事には,「○○部長は,今後の展望について鼻息荒く語った」とあるのだが,その横に写っている父の写真は,その記事の内容に似合わず,思わずプッとふきだしてしまうくらいの,にこやかな笑顔だった。

それが,なんで機嫌が悪いと,ああも般若のようになってしまうのか? 
まあ,実際は仏様じゃなくて人間なんだから,機嫌の悪いときもあるよね,と今ではそう思う。

それを自分で何とかしなきゃ,と思っていた昔の私も健気だとは思うけど,今の自分は,その人の不機嫌さと私は関係ないのだから,ほっとけばいいんじゃない? と思う。

怒りを溜め込んでいる人は,発散するきっかけを,チーターが獲物をねらっているかのように,周りに探している。だから,その餌食にならないように,注意深くその場から離れられるなら,離れた方がいいし,一緒にいなければいけないなら,同調しないようにすればいい。
そうすれば,きっとそのうちに,左側の仏様の顔を私に向けてくれるだろう。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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2016-08-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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