メディアグランプリ

あの夏一緒に見た花火を、今でも憶えていますか?


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記事:櫻井 るみ(ライティング・ゼミ)

夏なので、夏らしい話をしようと思う。

花火の思い出だ。

 

何故人は、こんなにも花火に魅了されるのだろう?
花火大会なんて、人は多いし、暑いし、電車は混むし、待たされるし、浴衣は着崩れるし、いいことなんかないじゃないか。

それでもみんな、花火を見に行く。
暑くても、混んでても、浴衣が着崩れても……。

 

 

花火の思い出を書こうと思って、思い出したことがある。
私は、女友達と花火を見に行った思い出がない。
記憶にあるのは常に彼氏か男友達か。
いや、むしろ一緒に出かけたいがために、花火を利用していたところすらある。
そういえば、小・中学生だった頃はそんなに花火にワクワクしてなかった。
近所の子達とやる家庭用の花火は楽しかったけど、いわゆる「花火大会」に行きたいという気持ちはなかった。
高校生になって、ある程度夜の外出もできるようになったので、クラスの仲の良かった男子と花火大会に行く約束をした。
そこで初めて世間には「花火大会」というお金もかからず、準備も要らず、でもいつもと違う気分を味わえるイベントがあるということを知ったのだ。

 

 

 

高校一年当時、私はクラスの中で特に2人の男子と仲が良かった。
FくんとMくん。
背も高く、中々のイケメンだった彼らと私が仲良くなれたのは、たまたま席が近くになることが多かったからだ。
5月、6月、7月と夏休みまでに3回も席替えはあったのに、前後だったり斜め前だったりと気付けば近くに彼らはいた。
そして、何度となく言葉を交わすうちに親しくなり、彼らの恋愛相談にのったり、私の恋の悩みを聞いてもらったりと、その当時の自分にとって一番大事なことを話すことのできる男友達になっていった。
また、Fくんとは帰る方向が一緒だったため、ちょいちょい一緒に帰ることもあった。

中学まで非モテで男子とどう話したらいいのか分からなかった私は、みんなと違う高校に進んだこともあってか、中学までは確かにあった「男子と話すなんて恥ずかしい」という気持ちをどうやらそこで克服したらしい。

 

 

そんな彼らとどういったきっかけで「花火を見に行こう」という話になったのかは覚えていない。
多分、「どこそこの花火大会がすごく綺麗でいいらしい」という彼女持ちの男子からの情報を彼らが聞いてきたのだと思う。

ならば、お互いの好きな人や彼女を誘っていけばいいものを、なぜか私達は3人で行くことにした。
男子2人に女子1人。
私は好きな人がいたし、Mくんは彼女がいたし、Fくんもいい感じになっていた子がいたので、3人の中で恋愛は絡まない。

何?この絵に描いたようなドリカム編成……。

と当時の私は思ったものだ(若い方はご存じないかもしれませんが、私が高校生のときはドリカムは3人だったのです)。

 

 

花火を見に行った私達は、大人しく一つの所でじっとはしていなかったと思う。
もう記憶があやふやだけど、出店を冷やかしたり、空いている場所を探してウロウロとしていたように思う。
背の高い彼らの少し後ろをちょろちょろ歩く私を、たまに振り向いて確認するFくん。
人ごみの中をぐいぐい歩いていくMくん。
教室の中とは違う彼らに、私はほんの少しだけドキドキしていた。
バカな話をして笑っているのはいつもと一緒だけど、さりげなく私のことを気遣ってくれたり、話しかけたりしてくれるのは、教室の中では見たことのない、私の知らなかった彼らの一面だった。

 

 

思えば、グループではない「男子とのお出かけ」はこれが初めてだった。
FくんもMくんも彼氏じゃないから、これはデートではない。
でも、みんなで遊びに行くとのもちょっと違う。
私達は、友達ではあるのだけど、ちょっと特別……という曖昧な関係だった。
FくんとMくんがどう思っていたのかは分からないけれど、少なくとも私の中で彼らは「好きな人」とは別な意味で、特別な存在だった。

結局、その花火大会は一番の目玉である最後のナイアガラを見ることはなく、帰路についた。
北関東の私鉄は終電が早いのだ。
まだ高校一年生である私たちが外泊するわけにいかない。
残念だけれども、花火大会会場を後にした。

 

Mくんとは方向が逆だったので、乗り換えの駅で別れ、Fくんと一緒に帰った。

 

若かったとはいえ、人ごみの中を2時間近く歩き回った私は少し疲れていて、電車の揺れに任せてまどろんでいた。

私の家の最寄り駅に近づいた時、Fくんに起こされて、そのまま頬にキスされた。

もちろんのことながら、それまでの私の人生で私にそんなことをした人はいない。
私が「女」でFくんは「男」なんだと認識した瞬間だった。

 

 

 

今でも花火を見に行くと、初めて花火を見に行った高1のあの夏のことを思い出す。
20年以上前のことで、正直言うとあの時何を話したかとかはほとんど憶えていない。
でも、あの高校一年生の夏、3人で花火を見に行ったことは、私の中で大事な思い出になっている。

 

 

 

 

 

ごめん。
嘘ついた。

 

本当は花火の思い出じゃない。

初めて男の子からキスされた思い出だ。
だって、それがほっぺたでも、手をつないだこともない女子には衝撃的な出来事だったんだよ。
私が不意打ちに弱いのは、きっとあの思い出があるからだ。

 

***
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2016-08-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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