東大卒塾講師が結婚相談所に転職を決めた理由
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記事:吉田裕子さま(ライティング・ゼミ)
東大に現役合格した私は、入学式よりも前に塾講師のアルバイトの面接を受けていた。数回の研修後、まず個別指導を担当し、夏からは集団指導。英数国理社すべてを担当し、いつしか小2から高3まで教えるようになっていた。
後ろの2年間は、週40時間ほど働き、もはや大学生なのか塾講師なのか、分からない状態になっていた。大学で授業を受けるより、授業をする方が楽しかった。
3年の冬、その会社の新卒採用に応募し、内定。そのまま社員教師になった。
これが天職だと感じた。
「塾の先生」というのが、自分のアイデンティティだった。
特に、その会社の教育理念が好きだったので、その具現化のためにあれこれ手を尽くした。生徒が楽しそうに授業を受けてくれるのが嬉しかったし、合格報告は格別だった。自分はずっとここで頑張っていくのだろうと思った。
ところが、教室長に昇進した4年目の春、私はどうしようもない壁にぶつかった。
ある出来事をきっかけに、仕事に行くことがとてもつらくなってしまったのだ。出社するのが苦しくて、定時に間に合うのが精いっぱいという状態になってしまった。(ちなみに、夜型の業界なので、定時は午後2時だった。)
もう無理だ。この学年を送り出したら辞めよう。
年度末の退社を決意したのは、初夏のある日。即日、転職サイトに登録した。
私にとって、「塾で教える=その会社で働く」だったので、他社への転職は候補になかった。まだ辞めるまで時間があったので、たまに届くスカウトメールを眺める程度の転職活動。「何かないかな~?」と思っていたとき、その会社からの連絡があった。
結婚相談所、である。
けっこんそうだんじょ……?
正直、全く考えたこともなかった。
ウェディング・プランナーなら、就活で検討したこともあったけれど、その手前にある「婚活」の部分は未知の領域だった。「得体が知れない」とか「うさんくさい」とかいうイメージも無いわけではなかった。
でも、直感が「おもしろそう」と言っていた。
……よし、応募しよう。
ただし、本当に応募するとなれば、志望動機などを考えなくてはいけない。「おもしろそう」ではいけない。もっときちんと考えなくては。
企業のウェブサイトを読むなどして、まず考えたのは、「結婚」という節目の大切さだった。
20代後半にさしかかっていた私(独身)にとって、「結婚」というものは、とんでもなく大きい出来事であった。
そもそも当時、自分自身も、数年以内に結婚できるという当てはなかった。だから、切実に結婚を望み、婚活サービスを利用する人の気持ちには共感できるような気がした。
そう、結婚は、その人の一生に関わる、超・超・超重要な出来事。
そんな節目をお手伝いできるのだとしたら、何とやりがいのある仕事だろうか。
しかも、婚活サービスを利用している人は、結婚しようという意志を持って一歩踏み出している。
「婚活」という言葉がこれだけ広がった世の中にあっても、実際に、婚活サービスを利用することに踏み切るのには、勇気が要ると思う。お金もかかると思う。たまに合コンに行くくらいで、「いい人がいない」とグチっている人と比べたら、結婚に向け、前向きに努力をしていて立派である。これはぜひ、お手伝いをしたい。
……よーし、まとまった。
「人生の節目にかかわり、幸せな未来を手にしようと努力している人をぜひ手助けしたい」
このように書いてみたところで、デジャブ感を覚えた。
人生の節目にかかわり……?
幸せな未来を手にしようと努力している人を……?
手助けしたい……?
これは、塾の先生でやろうとしていることと同じだったのだ。
塾講師も、受験という、生徒の人生の節目にかかわり、幸せな未来を手にしようと努力している人を手助けしている。業界や対象年齢があまりに違うので、気が付かなかったが、実は、やろうとしていることの本質は似ていた。
そのことに気が付いた私は、面接も堂々と乗り切ることができた。就業が8ヶ月以上先になるという、転職ではありえない、不利な状況でありながら、内定をもらった。そして、全然違う業界ではあったけれど、安心して飛び込むことができたのだった。
実際に就業しても、仕事のスタンスに共通点を感じることが多かった。自社を通じて結婚した夫婦からの成婚報告を読むと、生徒の合格体験記を読むのと同じ気持ちを味わうことができた。
結婚相談所と塾。
全然違う二つの業界で、同じ思いで働ける。
そのことを知って、私の職業観は変わった。仕事の本質を考え、理解しようとするようになった。表面的な違いを気にしなくなった分、「自分はこうでなくてはいけないのだ」という思い込みが弱まり、新しい立場や役割にも柔軟に適応できるようになった。気持ちがぐーんと自由になった。
ぐーんと自由になった結果……
今は再び転職して、他社でまた「塾の先生」をしています(笑)
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