メディアグランプリ

知人の男性同士が付き合っていると知ったら?


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記事:大友(ライティングゼミ)

 

「染谷(男,仮名)と田村(男,仮名)が結婚するらしいよ。びっくりです」

 

先日,そんなメールを私は受信した。

ちょうど寝る前だった。

 

「えーーーーーーーーーー!!!!!!!」

 

私の中で,ものすごい衝撃が走った。

 

どういうこと?

染谷君は確かに男3人とかで海外旅行とかよく行っていたよね?

田村って多分,あの田村君のことだよね? 男だよね?

男同士って結婚できたっけ?

でも事実婚とか,行政も最近は何かそういうことを認めたりしているってニュースでやっていたような気もする。

 

私の中で,興奮とドキドキが止まらない。

ちょうどその数日前に,とある出来事で,自分の常識の枠を越えることを体験していたこともあって,自分のキャパが限界を超えて広がっていたところに,このメール。

 

そのせいか,私は,読んだ瞬間からその事実を受け入れていた。

夜も遅かったし,あまりの衝撃に返信がすぐにできなかった。とりあえず,心を落ち着けるために,ベッドに入ってみた。

 

そしたら,ドキドキと一緒にある種の感動が私の心を占めていった。

きっと,ものすごい勇気でカミングアウトしたんだろうな,と考えると,胸がいっぱいになった。どれだけの苦しみや困難を今まで抱えてきたんだろう。こんなセンシティブな情報がそこまで親しくない私まで回ってくるなんて,相当オープンにしているんだろうな。ずっと抱えてきた心の内を周りの人に話せて,大分すっきりしたんだろうな,と祝福する気持ちが溢れてきた。

 

しばし,その感動を味わっていたが,どうにも興奮が冷めやらず,眠れない!!!

眠れないので,むくりと起き上がり,リビングで深夜テレビをみていた夫に話しかける。

 

「ねえ,男同士って結婚できたっけ? そんなことってある?」

「全然,眠れないよ。どうしよう?」

 

すると,夫はそっけなく私に言ったのだ。

「それ,本当なの? ばらばらの話じゃないの?」

 

 

「え……?」

 

 

もう一度メールをみてみる。

「染谷と田村が結婚するらしいよ。びっくりです」

 

確かに,どちらにもとれる。

メール最後の,「びっくりしました」という文に引きずられて,女性と結婚すること自体は特にびっくりすることではない,と思っていた私は,極端な方を自動的に採用していたのだ。

 

「そうだね。確かにどっちでもとれるね。明日メールしてみるよ」

私はそう答えた。

 

翌朝に早速,情報源の友人(男)にメールした。どっちだったとしても私は祝福するけど,どっちなの? そう聞いてみた。

 

返事は中々返ってこなくて,とてもやきもきした。

まだか,まだか。

どっちなの? どっちなの?

そして,その日の夜にメールがきた。

 

 

「もちろん,別々です」

そして,お相手の女性達の特徴が書いてあった。

 

あっさりとした返答。

何勘違いしているの? ありえないでしょ? 的な突き放したニュアンスを感じた。

 

私はとっても恥ずかしくて消えてしまいたくなった。一人で勝手に勘違いして,興奮して,ドキドキして,夜も眠れなくて……。昨晩の私の睡眠を返して!!! と叫びたい気分になった。おかしな妄想する勘違い女だと思われた! あーあ。

そんなこんなで,そもそも紛らわしい文章のメールを送った友人を責めたくなった。

 

だけど,そのときに感じた感動は確かなものだったし,その感動が無かった事になるわけではない。だから,逆にその友人に感謝してもいいくらいかもしれない。それぐらい私の中でその感動は大きなものだったのだ。さすがに,男性同士の結婚にリアリティを感じるところまではいかなかったが,自分の中で知人の男性が付き合っていても,許容できるベースができていることは確認できた。近い友人だったら,また反応が違ったかもしれないけれど……。

 

今は多様性の時代で,もうなんでも在りで,なんでもオープンにしても,みんなが受け止めてあげて,みんなが幸せになれればいいなと心から思う。

 

たとえ同性愛者じゃなかったとしても,私もあなたも,人と違っていたり,世間の常識的には普通じゃない何かを抱えているかもしれない。そして,それをもし,普通じゃないからって理由で秘密にしているのだとしたら,それはとてもつらいことだから。

 

そんな世間の常識を崩していくのは,協調性や横並びが良しとされている日本という国で,苦しんでいるマイノリティーの人々だと思う。だから,私は小さい声だけれどこっそりと,だけどしっかり彼らを応援していきたい。そして,何より自分もマイノリティーの一人として,少しずつオープンになっていきたいと思っている。

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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2016-08-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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