メディアグランプリ

食べないほうが心もカラダも元気になるという話


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記事: 辰巳葉子(ライティング・ゼミ)

 

時は飽食の時代。

美味しいものがたっぷりあふれてる。

美味しいものに興じるランチ会でふと思い出すのは、あの時の風景だ。

 

飢えが怖い。

 

そう思ったのはもうずっと昔。リュックひとつで一人旅をしている頃だった。

言葉も通じないし、その日の宿も決めない旅では、飢えるのが1番怖かったな……。

と、若いときの食欲を思いかえしてしまう。

見知らぬ国に行くと、グルメというより、現地の人の食べる料理を食べれるときに食べれるだけ、興味本位で食べたあのころは飢えが怖かった。

 

でも今は飽食。飽きるほど豊かに食べ物があふれている。

全くその字の意味する通りで、私は食物に飽きてしまっている。

たくさん食べると疲れてしまうのだ。

 

久しぶりに会う仲良しの女子高時代の友だちとのランチ会でも、みんな生き生きと食事をしている。肉食時代の友達だけあって、美味しそうに人気レストランのおススメメニューをかなり積極的に楽しむ。

コスパで盛り付けもオシャレで、そのうえ美味しいときたら、会話も盛り上がるし、それに輪をかけて食欲も盛り上がる。

みんな美味しそうに食べるんだよなぁ……。

 

ちょっと停滞気味の食欲の私は、ランチ途中で食べものに飽きてくる。

そうすると「少食だね~」とか「口にあわない?」ってことになるんだけど、

「もう飽きちゃった」とはなかなか言えない。

 

最期まで残さないで食べつくす体力がなくなってきているのかもしれない。

いや、かもしれないじゃなくて、体力がもうないんだ。

 

「たくさん食べれなくても満足してるし、美味しいよ」とこたえる声も、

「デザートは別腹だよね~!!」という聞き覚えのあるフレーズでかき消される。もちろん甘くておいしいスイーツは欠かさない。

みんな牛肉やスイーツを食べると元気がでて、明日への活力になるらしい。

 

私は全く逆で牛肉やスイーツにストレスを感じるけど、それは決して胃腸が弱っているわけではない。年に1度の健康診断ではまだ異常は見つかっていないから……。(今のところ)

だけど、肉食女子時代のあの頃と比べると、今は全くカラダが変わってしまった気がする。

 

 

きっかけは1冊の本に出会った時から……。

それは「不食」について書かれた本だった。

 

食事をしないほうが心も身体も元気になるという内容で、

食べないほうが病気にならないし、

食べないほうが悩み事もなくなるし、争いもなくなる、という本だった。

 

そのころちょっと流行っていたファスティングや断食とどのあたりがどう違うのかなぁ……!?

っていうのを確かめたくて、できる範囲でちょっとやってみようと思ったのだ。

 

それ以前に私は、ダイエットで食事制限もしたことがあったし、1日で挫折してしまったけどリンゴダイエットもチャレンジしたことがあった。

そのあと不食を体験してみて、それは本当に断食とは全く感覚が異なるものだった。

 

【断食】だと、食事を禁じるというニュアンスがあり、大きい意味でガマンするというストレス感覚が芽生える。

【不食】はというと、食べないでいることの楽しさや気持ちよさを味わうという感覚が芽生える。

不食はストレスフリーなわけである。

 

そして【食べない】ということを選択すると、びっくりするほどの自由時間が生まれた。

思いつく順にあげてみると、

①食事を作らなくてよくなる

② かたづけなくてよくなる

③ 今日のメニューを考えなくてよくなる

④ 買い物に行かなくてよくなる

⑤ 冷蔵庫がいらなくなる

⑥ キッチンが綺麗になる

⑦ イライラがへる

⑧ 便秘がなくなる

⑨ 食後に眠くならない(食べていないからだけど)

⑩ 集中力がアップして頭の中がクリアになる

 

今まで小難しくて読み始めるとすぐに眠くなっていた本もすんなり読破できてしまった!!

食べないってすごーい!!

なんだか楽しーい!! と、すこし気分もハイになってきている。

とこんなふうに、すぐに不食のメリットが10コ浮かんできた。

そして実感するのは、肌がきれいになったこと。

 

食事は1日にだいたい朝昼晩の3回あるので、食べないことを選択すると自由時間は1日のうちで4時間くらい増えるのではないだろうか?

食べなくていいんだよと許可を自分にだすと、自分の自由時間がものすごく増えたのだった。

 

幼い頃、風邪をひいたり、具合が悪くて食欲がないときも、なんとしても食べて元気を出しなさいと言われていたのは間違いだったとも思える。

内臓を休ませたり、頭をすっきりさせるには食べないほうが早く回復するんだなと実感できた。

 

でも私の不食は長くは続かない。私の不食は突然終わるのである。

不食を始めても、不思議とお腹がすくことはなく、少しの白湯があれば1日を過ごすことができる。

ただ3日を過ぎたあたりから、激しいリクエストが脳から降りてくる気がする。

 

なにかをかじりたい……。

どこかに歯型をつけたい衝動に駆られる。

 

なにをかじりたいのか?!

それはシャクッとして、白っぽいなにか?

なんだ? なんだ? なんだ? なんだ?

 

脳からのリクエストにピッタリはまるのは、キャベツの芯だった。

キャベツの芯をかじりたくなると、私の【不食】期間は終わる。

 

私が不食をしてみようと思うのは、ダイエットやデトックスを目的にしたものではない。

不食による気持ちよさと自由時間の体験と、ほんの少しのハイを得たくなると、軽い気持ちで「不食期間」にはいる。

 

そして不食が終わると、土鍋でコトコト、ポコポコとゆっくり時間をかけてほんの少しの5分粥を炊く。

 

おかゆが喉を通過して、食道から胃に向かう温かみを感じると、なんともいえない感動でカラダ中の細胞がじわじわ喜んでしまう。

たくさん食べなくても、ひと口のお粥で心からカラダから満足してブルブルっとする。

 

私は一生食べることはやめられないから、不食を続けることはできないけれど、ほんの短い不食を終えると、食物の味がびっくりするくらい濃縮されて、色も鮮やかに見える。

 

不食で何が変わるのか?

そう、わたしの不食は3日で終わる。

この3日をときどき繰り返すことで、ほんの少しの穀物で全身の細胞が喜ぶカラダに変わりつつあるのだ。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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2016-08-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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