メディアグランプリ

「色気とはなんぞや?」と考えたここ数日のことを聞いてほしい


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:川端彩香(ライティング・ゼミNEO)
 
 
正直に言おう。
見た目さえなんとかしていれば、彼氏なんてすぐにできると思っていた。
そう思っていたからこそ、前に付き合っていた人と別れてから、それはもうせっせとダイエットに励み、あらゆるイメコン診断を受診し、その結果に基づいてあれやこれやを変え、アラサーにしてやっと野暮ったい見た目から垢抜けたのだ。これまた正直に言おう。今の私が、私史上最強に可愛い自信がある。この点に関して異論、反論は受け付けておりませんので悪しからず。あくまでも自分調べ、自分基準でございます。
 
さて、そんな私史上最強に可愛いにも関わらず、もうかれこれ2年も彼氏がいない。これはおかしい事案なのである。いや、事案であるどころか、ちょっとした事件と捉えた方が良いのかもしれない。なんで野暮ったい時期に彼氏がいたのに、可愛くなってから彼氏がいないんだ。なんでだ! おかしいだろ!
 
彼氏はいないものの、頻繁ではないものの、この2年間でデートをする機会はあった。そんなに険悪な雰囲気になることもなく、どちらかというと楽しいのだが、なんだかお付き合いに至るまでやり取りが続かないのだ。
もはや、私恋愛に向いていないのでは? という考えも浮かんだが、とりあえずそういう考えは頭の片隅からさえも放り投げ、数打ちゃ当たる(と言えるほど数は多くないが)方式でデートを繰り返すのだった。
 
そしてまた先月ご飯に行った人との連絡が途絶えた。結構楽しかったし終電間際くらいまで飲んだにも関わらず、何か手応えのようなものがなかった。連絡が途絶えたのも、なんとなく想定はしていたのでそこまで落ち込むこともなかった。ただ、理由は気になる。
 
その彼と知り合ったのは、定期的に友人と通っているバーだった。私のこと何か言ってなかったか、マスターにそれとなく聞いてみた。人間、何事も課題を見つけ、改善に努めることが大事である。
「顔は綺麗だから好きって言ってた。あと、一緒にいて楽しかったとも言ってた」
……いや、ほなええやん。顔が綺麗で一緒にいて楽しいって、それもう私と付き合って良くない??? 外見も中身も好感触だったってことじゃないの??? 何がご不満で? 何がダメなの? でも顔綺麗って言ってくれてありがとう。
 
「でも、色気を感じないって言ってた」
 
そ、そこかーーーー!!!! 色気! 盲点だった! 私としたことが!
 
実際はもうちょっとダイレクトで下世話な感じのことを言っていたのだが、公に晒す文章ということでかなりオブラートに、そっと包ませていただく。
 
確かに、もう30歳にも関わらず、童顔×低身長というスペックからか、私が可愛いを作る方向性を間違えていた(かもしれない)からか、自分で自分を見ても、自分から色気というものを感じない。いつのまにか大学生に交じってしまっていて、同僚に気づかれなかったことも幾度か経験がある。いや色気のある大学生もいるんだけどさ、いやてか色気ってそもそもなんだ? イメコン診断では、恐れ多くはあるが、私は広末涼子とまったく同じなのだ。だから私は透明感の代名詞・広末涼子と一緒ですと言っても過言ではないはずなのだ(反論は一旦自分の胸の内に納めてください)。広末涼子は透明感だけならず色気まで兼ね備えている。なのに同じ診断結果の私ときたら!!!! 鏡に映る私からは色気どころか透明感さえも感じられない!!! これは何故!? 鏡が映すものを間違えているのか!? だとしたらなおさら何故!?
 
こうして「色気とは」が私の新たな議題となり、仕事をしていても読書をしていても電車に乗っていてもこの議題が頭の中の8割を占めるのだった。社内で出くわす男性陣に「色気とはなんなのでしょうか」と真剣な顔で質問し、なんか変なもの食ったのかと言われようとも、乳出しときゃいんじゃね? というお下品な答えが返ってこようとも、私は色気について真剣に考えたのだ。Apple Musicで「色気」と名付けたプレイリストを作って延々と聞き続けながら考えた。真面目に働けよというご意見も、やっぱり一旦ご自身の胸の内に納めておいていただけると是幸い。
 
そんなところでタイミング良く、その週末は秘めフォトに参加することになっていた。温泉でもないのに、あれよあれよとみんな脱ぎだす。2回目の参加だが、その光景がやはりなんとも面白い。カメラを向けられるとさっきまでと人格が変わったかのように、皆さん色気のある表情になる。もはやプロの領域。なんのプロかと聞かれると、確かになんのプロだ? と思うのだが、とにかくプロのように色気ある表情になるのだった。どこかで練習でもしてるのだろうか?
 
見ているだけで十分楽しめる秘めフォトだが、参加費は払っているので私も撮影していただく。色気がない女代表・私。さて、どうなる!
 
「え、前よりお腹へっこんでない? 何した!?」
「背中きれーい! 胸の形もきれーい!」
「すっごいきれーい!」
 
……あれ? あれれれれ? 某名探偵の小学生もびっくりなあれれれれ具合だ。
 
ここで私は色気がないと言われたこと、そのせいでここ数日は仕事そっちのけで「色気」について頭を悩ませていたこと(働け)を初対面含む15名弱の皆様に暴露した。返ってきた答えは「はー!? その男見る目ないやろー! 色気しかないじゃん!」だった。
 
その後のカットもお姉様方の「きれーい! かわいいー!」など数々の声援(?)を受け、私の自己肯定感は爆上がりで2回目の秘めフォト参加は幕を閉じた。なんだか大会に出ているボディビルダーのような気分になった。悪くない。
 
撮影も終わり、服を着用する。日常に戻った。鏡を見た。
 
はて、先ほどの色気は何処へ……?
 
結論、私に色気はある。ただし、服を着ると面白いくらいに色気がなくなる。
ということは、服を着用してもなお、醸し出す色気を研究する必要がある。色気とは非常に奥が深い。私の研究は、まだまだ続くのだ。願わくば、その研究結果が長引く前に、彼氏ができますように。
 
いや、ほんまに。
 
 

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2022-06-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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