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 無料で受けられる健康診断で冒険しなくてどうする


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記事:村人F(ライティング・ライブ6月コース)
 
 
俺は今、勝者の空間にいる。
入った瞬間、そう確信した。
 
名古屋駅直結のビルディング。
日本一の大都市であることを象徴する立地に構えられたこの病院は、田舎者の想像を遥かに超える場所だった。
 
まず受付が5人もいる上に、全員が高級ホテルのような制服を着ている。
きっと言われなければ病院だと気づかないだろう。
 
そして中の設備も贅沢を極めている。
まさか健康診断で個人識別用の電子端末を渡されるとは思わなかった。
これは検査を終えるたび次の受診項目が表示されるハイテク機器だ。
こんな物を導入する発想は、予算が無限にある大都会名古屋の病院だから導き出せるのだろう。
当然その他の設備も全て最新であり、インテリアの絵画まで凝っている。
まさにセレブを象徴する領域だった。
 
そして俺は、この勝者による勝者のための空間に無料で訪れていた。
会社が補助を出してくれる健康診断で来ていたからだ。
自分で場所が選べるから気分転換にいつもと違う病院を選んでみたが、ここまで次元が違うとは思っていなかった。
世界観がまるで違う。
病院なんて全て同じだろうなんて思っていた自分を恥じてしまった。
いやはや、こんな場所での健康診断費用を会社が負担してくれるとは。
これこそサラリーマンの特権だろう。
 
しかし、このような異世界体験をしてしまうと、今まで同じ場所でのみ受けていた自分がもったいなく思えてしまった。
まず俺は病院に行かない。
ちょっとの体調不良なら自然治癒力に任せてしまえと思うタイプだからだ。
そのため、そもそも病院に行くことすら滅多に無いことなのである。
しかも、ここは世界屈指の経済力を誇る名古屋だ。
ゆえに病院も星の数ほど存在している。
 
つまり俺は1年に1度しか訪れない健康診断というイベントで、場所を変えない最もつまらない選択を平然としていたのだ。
こんな大冒険の機会を棒に振っていたなんて、とんでもない過ちをしてしまった。
 
しかし、これを踏まえて現代を眺めてみると、同様の間違いが色々と起こっているように見える。
例えば都会では、どこでも某コーヒーチェーン店が満員である。
長い長い行列に並んでウンたらフラペチーノを飲みながら仕事をする光景は風物詩化している。
これは安定を求めるがゆえに、味が予想できる場所を選ぼうという発想から来ているのだろう。
 
しかし、その店から1分ほど歩くだけで、某高級チョコレート店が同じようなフラペチーノを販売している場合もあるのだ。
しかも、そこでは並ばずに買えるわけである。
これこそ、安定を求める心が産んだ惨劇だろう。
少しの冒険で今以上の贅沢ができるというのに、その機会を自ら手放してしまうなんて。
 
そしてこの致命的な過ちと、俺がいつもの健康診断場所を選んでいたことは、同じ発想から来ている。
そう、俺もいつの間にか安定という病に侵されていたのだ。
きっとこれが進行するにつれて、段々と行く店が固定化されて冒険心を忘れたつまらない男になっていくのだろう。
こうしたルートの上に知らないうちに乗ってしまっていたようだ。
 
しかし、今回この勝者の空間に来たことで目を覚ますことができた。
名古屋には大量の病院がある。
そのいずれも同じ物はないのだ。
今回のようなセレブ中のセレブ向け病院もあれば、昭和にタイムスリップしたような昔ながらのお医者様が診断してくれる病院もあるのである。
つまり、場所を変えるごとに新たな世界が見えるのだ。
 
しかも幸いなことに、俺はこの贅沢な選択を無料で行える。
ならば、ここで冒険をしなくてどうする!
初めて訪れる場所には、いつだって新たな発見があるのだ。
こうした刺激を積み重ねていくことが、若々しさを保つ秘訣だろう。
 
そしてこれは、健康を維持するためにも非常に有用である。
心が満たされていれば、病気に対する耐性も同時に上がるからだ。
そうすれば健康診断以外の理由でお世話になる機会を無くすことができるだろう。
 
新しく訪れた病院は勝者の空間だった。
きっとここを作った人々は多くの冒険に挑んだ結果、今の立場を手に入れたのだろう。
ならば俺も、無料で受けられる健康診断の場所くらい冒険しなくてはならない。
こういう所で安定という選択肢を潰しておかねば、いざという場面で新しい選択をすることなど不可能なのだ。
 
そしてこの経験は心を満たすから、健康維持もより促進してくれる。
だから俺もBMI以外の理由でNG項目がない身体を保つために、これから毎年新しい病院を訪れていきたい。
その先にあるのが、病知らずの生活なのだから。
 
 
 
 
***
 
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