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メディアグランプリ

ツイッター上にあるお茶の間


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記事:Sono Mamada Den (ライティング・ゼミ)

2013年4月から9月、朝に弱い私だが、起きるのが無茶苦茶楽しみだった時期があった。

7時過ぎに起きるとテレビの電源を入れ、チャンネルをNHK総合に。iPadでツイッターを立ち上げる。

ハッシュタグ「#あまちゃん」で待機。

あの年話題となった連続テレビ小説「あまちゃん」は、朝の7時台にBSで、8時から総合で放映され、前者は「早あま」、後者は「本あま」と呼ばれていた。

工藤官九郎の脚本だとか、能年玲奈のキャスティングだとか、1人ひとりの役者のキャラが立っていたとか、ヒットの理由はあれこれ語られていたが、私にとっては、本あまを見ながら全国の視聴者とツイッターでリアルタイムの突っ込みを入れ合うのが、無上の喜びだった。

数を語る術は持たないが、ツイッターで「あま待機」する人びとは常連だけでも、数千人はいたのではないかしら。その中にはアルファツイッタラーと呼ばれる数千、数万人のフォロワーを持つ有名人も混じっていた。ハッシュタグあまちゃんのタイムラインは、それは凄まじい速さで流れて行く。私の動体視力と瞬読力は生涯最高に上がっていた。

そんな人たちと、「この台詞!」「ゴーストバスターズ、キター」、「それは、ないない」、「朝からこんなに泣いたら会社行けない」「大友さんの劇伴、CDになるって」みたいなことを言ったり、共感できるツイートを反射神経でリツイートしたり、トリビアを見つけて知らせ合ったりして過ごす15分間。

ハードボイルドなイメージを作っている匿名アルファツイッタラーが、「涙が……」みたいなことをつぶやくのを見るのも、「おー、これがこの人の素かしら」なんて発見になって面白い。そんな人は、後で可愛いツイートを削除するマメさも持っていたりして、改めて可愛くなったりもした。

多くのマンガ家さんも参戦していて、彼、彼女らは毎回の名場面を惜しげもなく「あま絵」と呼ばれたマンガにしてタイムラインへ流し、それはリツイートによってどんどん拡散していった。

9月の最終回が終わったとき、ツイッタラーのあまロスは目に見えてひどく、本放送が終わっても関係番組がある度にリアルタイムでツイッター上に集合し、「もう一度、あの日々を!」と叫びあった。この年末の紅白歌合戦枠内で放映された特別編の盛り上がりといったら、なかった。

ツイッター視聴が面白かったのは「あまちゃん」だけではない。

テレビ版の「ロクヨン」最終回の謎解きのシーン。タイムラインにいくつも並んだ「執念」の文字を見たときには、ドラマよりこれだけの人が同じことを同時に感じた事実に鳥肌が立った。

「重版出来」でアシスタントがマンガ家を諦めるシーンでタイムラインに流れた「いつか、いつか」の文字列。みんなきっと諦めた夢とか、「いつかは」と思ってやれないことってあるんだよなーと、切なく、しみじみ思った。

ツイッターが普及し始めた当初から紅白歌合戦をネタにリアルタイムで盛り上がる楽しみ方はあったし、ラピュタが放映される日は「バルス!」一斉攻撃に備えてツイッター社がサーバーを増強するなんて与太だか、ほんとだかわからない話もよく交わされていた。なでしこジャパンが優勝した時にはテレビがなくとも、ツイッター上のタイムラインを追うだけでリアルタイムに試合の経過が把握できた。

優秀な録画予約機能を持つハードディスクレコーダーの普及でテレビの録画視聴が当たり前になった時代に、ツイッター上でのインタラクションがテレビのリアル視聴を蘇らせるのでは、みたいな観測もどこかで見た気もする。時間の使い方からの善し悪しはともかく、それはその通りだと思う。

このリアルタイムのインタラクションが、特に面白くなるのが、連続ドラマ。毎回それを楽しみにして集まる、お馴染の常連さんの顔(その殆どは会ったこともなく、これからも会うことはないだろうけれど)が浮かんでくる点が、単発盛り上がり番組との違いかもしれない。話題の連続性、この人なら、こうリアクションするだろうなという期待と実際のツイートのギャップ。アルファツイッタラーが時折見せる意外な素の気持ち。

これって、単身家族が増え、テレビが一人一台になった現代に、一家に一台お茶の間にテレビが置いてあったあの頃が一瞬戻って来たようなものではないか。

視聴率的に寂しいドラマの場合でも、いや、そんなニッチなドラマのときこそ、少ない数の常連さんがいたりして、お茶の間感は一層増す。タイムラインの流れも穏やかなので、つぶやきっぱなしではなくて、おずおずと「こんなにいい脚本なんですけどね」「この役、俳優へのあて書きかも」「視聴率って一体何なんでしょうね」みたいなメンションを飛ばしあったりもできる。視聴率が悪いドラマのタイムライン上で知り合い、ツイッター上で話をするようになった人も結構いる。ニッチな趣味が共有できる人たちが集まるから、関係は結構濃くなったりするのかもしれない。

ツイッターは、匿名掲示板と同じ運命をたどる、という人も少なくないけれど、機能的にリアルタイムの交流がずっとやりやすい分、お茶の間感のユニークさが際立つので、これだけでもツイッターの独自性は失われないだろうと思う。

次のハッシュタグはなんだろう。「あま待機」みたいにワクワク感でツイッター待機させてくれる次のテレビドラマ、ひとりのお茶の間でお待ちしています。
 

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-08-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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