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怪我をしたことで、人生が好転した


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記事::赤羽利輝(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
「引退試合は諦めなさい」
これは、高校生の僕が医者から言われた言葉だ。この言葉で僕は絶望した。僕は中学・高校とバドミントンをしていたのだが、高校では1年生からずっとレギュラーだった。当時、勉学はおろそかにし、飽き性な僕が唯一心から打ち込んだと言っても過言ではないのがバドミントンだった。それをいきなり取り上げられたような気持ちになり、絶望したのだ。
 
高校3年生になった初日の部活動の練習で、僕の左脚から身体中に響き渡る様な衝撃が走った。その次の瞬間から、僕の脚に力が入らなくなり両脚で立てなくなった。診断はアキレス腱断裂。手術をして、運動ができるようになるのに半年程かかると言われたのである。部活の引退試合は夏の大会で、今から手術をしたところで到底間に合うものではなかった。そんな時に出会ったのが、リハビリテーションである。
 
僕は何カ月も松葉杖をついて生活していた。この状態ではいつまでたっても運動どころか、歩くことさえままならないのではないかと不安でいっぱいだった。そんな僕に「歩けるように、またバドミントンができるように一緒にリハビリをしよう」と声をかけてくれたのが、担当の理学療法士だった。僕はその言葉で気持ちを切り替えて今はリハビリに専念しようと思うことが出来たのである。そして、担当の理学療法士のリハビリテーションを受けていると徐々にだがたしかに身体が動きやすくなるのが実感出来たのである。その時、僕は「理学療法士ってスゲーな」と思ったのである。実際に松葉杖がなく脚にギプスもなく、自分の二本の脚で立って歩けた時の感動は今でも忘れることが出来ない。今まで当たり前だと思っていたものは実は当たり前ではなかったと実感した出来事だった。そこから、僕の目標はバドミントンがうまくなって試合に勝つのではなく、将来は理学療法士になるに変わった。色々と調べてみると、勉強が大変だとか、実習が大変だとか様々な話しを耳にした。お恥ずかしながら、僕はお世辞にも勉学に真面目に取り組んできたとは言えず、行き当たりばったりで生きてきた。そのため、自分にそんなに勉強できるのだろうかと不安ばかりが募っていた。そんな僕の背中を押してくれたのも担当の理学療法士だった。
 
高校を卒業して、理学療法士の養成校へ通っていると引退試合に出場できず、裏方として部活に参加していたことで母校の顧問の先生から選手のことも裏方のことも分かる君なら、どっちの生徒の気持ちも理解して、生徒に接することができるだろうと部活のコーチの打診が来たのである。私は離れていたバドミントンに関われる機会だと思い二つ返事で了承した。コーチをする中で、できるだけ生徒と同じ目線で接することができるように意識して取り組んだのである。そこで、気づいたことは、相手に何かを伝える時は相手の立場に立つ方が自分の思いが伝わりやすいということ、自分は意外と人に何かを伝えるのが好きだということだった。また、養成校では自分がやりたいと思って入学しているため、中学や高校時代の勉強の不真面目さが嘘のように勉学にも抵抗感なく励むことができた。そして、勉強をやるだけ成績も向上するということが実感できたのである。間違えなく、人生で一番勉強した四年間で、非常に充実した学生生活だったと思う。
 
僕は現在、理学療法士として働いている。この仕事をしていると当然、怪我で松葉杖を使わざるを得ない方とも多く関わることになる。その方々に自分の体験の話しをすると目を輝かせて、同士だといった顔をし、患者さんとの距離が縮まることを多く体験してきた。また、自分が経験しているからこそ、どうにかして力になりたいという思いもより一層強くなる。そうして、自分の経験が生かせると、とても仕事が楽しく、やりがいがあると思えるのである。
 
僕は怪我をしなければ、理学療法士という仕事に出会えず、相手の立場に立つことの大切さを知れず、勉強もやれば自分の身になるということも知れず、仕事が楽しいとも思うことも出来なかっただろうと思う。更に言えば、怪我がなければ現在受けているライティングセミナーを受講し、勧めてくれた人に出会うこともなく、このライティングセミナーを受講することもなかっただろうと思う。僕は理学療法士という立場や怪我をした立場から言えば怪我なんて、しないですむならしない方が良いと思う。しかし、怪我をしたからこそ得られる経験や体験がある。人生においてプラスになることも多くあるのである。僕は間違えなく怪我をしたことがきっかけとなり、自分の人生が好転したと思っている。一般的にネガティブなイメージを持たれやすい怪我だが、案外学べることも多く、自分の人生の大きなターニングポイントとなる可能性を秘めていると思う。

 
 
 
 
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2022-07-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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