メディアグランプリ

お尻から始まるクオリティ・オブ・ライフの向上


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小畑 泉彦(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
診察室から男性のうめき声が響く。
「ううううう……!!」
声の主は他の誰でもない、私である。医師が患部をぐいぐいと触診するたびに私はベッドで悶絶した。
 
これは今から15年ほど前の話だが、私はお尻に痔を患っていた。それもかなりの「大痔主」である。せめて「地主」であればそれなりのステータスなのだが、残念ながら一文字違うだけでその地位は天と地の差であった。どれぐらい深刻だったのかというと、痛みのあまり歩くのもままならないほどであった。目の前ほんの数メートル先を歩く老人との距離がなかなか縮まらず、目的の時間に遅れそうになったこともある。さすがにこれでは日常生活に差し支えるということで、ネット検索して見つけた評判の高い痔の名医にかかり、冒頭のように悲鳴を上げて病院送り(つまり手術&入院)となったのだ。
 
痔は手術で治療すれば安心というものではなく、再発する人は二度三度と入院することも決して珍しくないという。私は最悪に近い状態まで放置していたため、デビュー戦にしていきなり10日間も入院してしまった。仕事の関係各所には当然迷惑を掛けたし、当時は独身だったので入院生活にもなにかと苦労した。もうあんな思いはしたくない。国家の危機管理が問われる昨今、私もお尻の安全と平和を守るため再発防止策を検討することにした。
 
いかにして痔の再発を防ぐのか。それにはお尻の血行をよくすることや、清潔に保つことがとても大切らしい。言われてみれば当たり前のことのように思えるが、お尻についてそこまで考えたことなどなかった。お尻よ、今までちゃんと構ってあげられなくてごめん。私はデスクワークで長時間勤務が常態化していたので毎日座っている時間がかなり長い。そこで少しでもお尻の負担を軽減できるように上等なクッションを購入した。これで第一の課題はクリアできるだろう。次により重要度が高いのがお尻の衛生状態確保である。お尻の清潔が脅かされるのはいつか?もちろんトイレのときである。これにはやはり洗浄機能のある便座に頼るのが一番だろう。
 
TOTOのウォシュレットやLIXIL(INAX)のシャワートイレに代表される「温水洗浄便座」を使ったことがある人は、現代であればかなりの数であろう。2020年の内閣府消費動向調査によれば、日本国内での一般世帯における温水洗浄便座の普及率はなんと約80%にもなるという。私も入院中は本当にお世話になり、そのおかげで現在に至るまで痔の再発には至っていない。企業努力によりこの商品を開発した人たちには足を向けて寝ることができない。しかし当時私が勤めていたオフィスには残念ながら温水洗浄便座は無く、住んでいた築20年の1Kアパートもノーマルトイレだった。薄給の私にはトイレ設備を充実させるためだけに引っ越すことは現実的ではなかったし、賃貸アパートの便座を自費で交換することも、高額な入院費を出費した直後の投資案件としては厳しい。とはいえやはり痔の再発は怖い。退院直後だったので手術痕の傷もズキズキと痛む。早々に手を打たなければ……
 
そんな私をTOTO、いやTOTO様が救ってくれた。同社が販売している「携帯ウォシュレット」という商品は、片手で持てる大きさであり単3乾電池1本で動作するという代物だ。本来は旅行先での使用を想定しているようだが、自宅でも使えるのではないかと思い、早速通販で購入した。こんなに到着が待ち遠しかった商品はいまだかつてない。我が家にそれが届いた日、開封するや否やトイレに駆け込んだ。容器部分に水を入れ、まるで拳銃の引き金を引くような思いでスイッチをONにする。「的」を目がけて勢いよく飛び出した水流は見事に私のお尻のど真ん中に命中した。使用感はまさにウォシュレットのそれである。
「カ・イ・カ・ン……」
昭和に流行った某映画のセリフが頭をよぎる。機関銃をぶっ放したのと同じような爽快感だ(実際に撃ったことはないが)。携帯型とはいえ、据え置きタイプのウォシュレットに匹敵する威力でお尻を洗浄してくれる。これを鞄の中に忍ばせておけば、いつでも快適なトイレライフが送れるのだ。それからの私はどこへ行くにも携帯ウォシュレットを持参するようになった。職場や旅行先、特に海外では本当に活躍してくれた。私が買ったよかったものランキングを付けるとしたら、間違いなくトップ3に入るだろう。
 
今でも年季の入った建物では温水洗浄便座なしのトイレに出くわすことがあるが、私は日本中のあらゆるトイレが全て温水洗浄便座になることを願っている。あなたがもし経営者であれば社員の福利厚生の一環として、あるいはビルオーナーであれば来客者の健康のため、ぜひ温水洗浄便座の導入を検討してみて欲しい。そしてこれを読んでお尻がむずむずしてしまった方には、ぜひTOTO様の携帯用ウォシュレットをオススメしたい。それがあなたの生活を痔の脅威から守り、クオリティ・オブ・ライフ(人生の質)を向上させてくれるだろう。
 
 
 
 
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2022-07-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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