メディアグランプリ

猫を飼うことでいい恋愛をしたに等しい学びがあった話


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記事:田原亜美(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
私ははっきり言って恋愛経験が少ない。お付き合いをした人数は片手で数えられるほどである。だからというのは言い訳になってしまうが、30歳をすぎて、やっと正しい愛し方というものを理解し始めている。
 
それまでの私といえば、好きになったら好き好きオーラ全開。相手のことを想いやって……という行動よりも、とにかく自分の好きな気持ちをぶつけるという行動パターンだったと思う。
 
その最たる行動が、彼氏に個人ツイート攻撃だ。「今日ランチ行ったよ。すごくおしゃれなお店だった!」「今は早く終わって今から帰るよ」と、どうでも良い、まさにつぶやきなラインを無視されようとも送りつけてしまう。相手が超絶激務でピロンピロンと通知が来ることさえも煩わしく思っているとも考えず、いや、そう思われているとどこかで分かっていながらも自分に言い訳して連絡を続けていた。
ただ、弁明すると、相手の方を好きすぎて、いつも相手のことを想い、連絡して欲しいと思うゆえの行動だった。つまり「彼から好かれたい」という自己中心的な愛だけで動いていたと思う。
 
「相手の状況や気持ちを察してあげることが大切です」と数多ある恋愛コラムには書かれている。頭では理解しているが、これを実感を持って腹落ちさせることができなかった。なので表層的な「忙しそうだけど体大切にね」のような察する(風)しかできなかった。
 
結果、ある時彼から別れを告げられてしまった。理由は「結婚できそうにない」とオブラートにつつんだ表現ではあったが、私の自己中心愛という愛レベルの低さに疲れたからだと思う。
ただ、当時の私はまだこの時点でも、相手を想うという愛し方があることに気づいていなかったのである!この時、すでに28歳。恥ずかしながら、「相手の状況や気持ちを察してあげることが大切です」の本質に気づくのは、冒頭の通り30歳になってからのことだ。
 
私の愛レベルを1段上げてくれたのは、愛猫・みーたんである。
 
みーたんとの出会いは、5年前になる。雨の日に母親が職場の近くで保護したのだ。母がメインでお世話をしていたが、私も夜中にミルクを与えたりトイレを綺麗にしたりと積極的に協力していたと思う。その甲斐あって、成猫になっても私にお母さん猫のように甘えてくれた。私が帰宅して椅子に座ると、膝の上にポンと乗ってきてふみふみと言われる猫にとっての最大の甘えの仕草をしてくれるし、仕事のためにパソコンを開けば遊んでくれと言わんばかりに邪魔してきた。
私は、みーたんが可愛くて可愛くて仕方なく、早く会いたいがために最寄駅からの帰り道走って帰っていたほどである。特に抱っこするとぬいぐるみ……いやそれ以上の破壊力のある可愛さで、嫌がるみーたんを捕まえてはぎゅっとしていた。
母からは「猫の嫌いなことは、抱っこ、しつこく撫で回す、大きな声。全部あんたに当てはまってるね。嫌われるよ」と笑われるほどであったが、仔猫時代のみーたんは、遊び盛りで嫌がりながらも戯れ遊びをしてくれていた。
 
みーたんが2歳半過ぎたころ、私は実家を出た。そして、2年半後、実家に戻ってきた。
その間帰省することもあったが、実家に居座って気づいたことがある。まず、みーたんが母にべったりになっていたことだ。元々母に一番懐いていたが、この2年半でそれまで私に甘えていた分も全て母に甘えているようになっていたのだ。
私が仕事から帰宅しても、迎えこそあるものの膝の上には乗ってこないし、もちろんふみふみもしてくれないし、朝の挨拶にもきてくれない。
撫でても怒らないので、私を忘れたわけではないと思うが、甘えてはくれなくなった。
 
はっきり言って、悲しかった。母に妬いた。そして、私はまた同じミスを犯してしまった。
 
「私を好きになってほしい。そのために興味を持って欲しい」という気持ちから、しつこいほどに猫じゃらしを目の前で振った。さらにおやつタイムでは「これは私がお金を出して買ったおやつだよ」と恩着せがましいことを言うことまでしていた。それでも振り向いてくれないので、「もふりたい」という欲望のまま、抱っこしたり撫で周りたりした。
 
そんな私に対して、みーたんは、猫が不服な時にするイカ耳になりながら、嫌そうに逃げることが多くなり、ついには、寝る場所の定位置が私のベット横ではなくなってしまった。それがつい先月くらいのことだ。
 
そこまで落ちて、やっと「みーたんから好かれる母の動きを参考にすべし」ということに気がついた。餌をあげているからだけではない、好かれる要因がきっとあるはずだ。
そしてそう思ったその瞬間に一つの答えは分かっていた。まず母は「猫の嫌いなことは、抱っこ、しつこく撫で回す、大きな声」はしない。どんなに「可愛い!触りたい!」と思ってしまう寝顔をしていても、寝ている時に椅子の下から引っ張り出して抱っこしたり、遊びたくなったからといっていきなり猫じゃらしを素早く振り回したりもしない。
その上で、部屋を適温に保つなどの、みーたんが今必要としていることをしてあげている。
自分の気持ちはさておき、ただひたすらにみーたんの心地よさだけを願い黒子のように環境を整えている。
母も、みーたんに触れたい、抱っこしたいだろう。実際、触れ合っている時はとても幸せそうな顔をしている。
 
それらを見た時に「本当の愛とは、相手の幸せを一番に願い、そのために行動すること」と気がついた。そのために「相手の状況や気持ちを察してあげることが大切」ということも腹落ちした。
 
今はみーたんの心地よい暮らしを考え、自分の気持ちを制御するように自分でトレーニングしている。
 
本当はいくつかの恋愛を経て、愛の本質を知っていくのであろう。しかし私へは愛猫みーたんがそれを教えてくれた。
さて、あとは人間のお相手を見つけるだけだが、それはいつになることやら……
 
 
 
 
***

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2022-07-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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