メディアグランプリ

アラサー女子未だ恋を知らず


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記事:SoL(ライティング・ゼミ)

私はいわゆるアラサー女子です。

アラサーって一体何歳なのか。
アラサーが自分を女子と呼ぶなんて面の皮が厚いのではないか。

というヤジが男性陣から上がる……
なんてことがないくらい女の色香がありません。
さすがにそれで女と言う方が面の皮が厚かろうと、やむをえず使ったのが女子という言葉。
それ以上の意味もそれ以下の意味もないので、悪しからず。

さて、そうは言っても、アラサーと言えば世間では、良い人はいないの? 結婚は? 孫の顔が早く見たいわ、と言った子の心親知らずなプレッシャーが多い年齢でしょう。
実家に帰るようなお盆や年末年始の後には結婚相談所への問い合わせが増えると言うから、子としても無視できないプレッシャーだと思われます。お疲れ様です。

そんな「結婚」という2文字が切実なものになってくる年齢に突入した私ですが、今までお付き合いした人はおらず、年齢イコール恋人いない歴を爆走中。
そんな私には結婚なんて夢のまた夢。
親も期待さえ起きないようで、親からの結婚プレッシャーを回避している少数派です。お前が親の期待に気づいていないだけだろうと言われると耳が痛いのですが、私が孫の顔を見せられない分、甥っ子を可愛がって貰いましょう。

切実どころか他人事の「結婚」
その前に通るであろうは「恋」
ふと、考えてみます。
私が恋をしたのはいつのことだったかと。
「恋なんて人のやっているものを眺めるのが一番楽しいのよ」というのが口癖になって幾星霜。十の位が2になった頃には言っていたような気がします。
自身の恋(?)遍歴を遡った結果、4つピックアップしました。

一番最近は、19歳。あるライブで演奏していたピアニストでした。
悠久の時の流れと生々しい人間っぽさが合わさったようなリズムを生み出す手が美しく、見惚れてしまったのを恋と呼ぶならば、私はあの時恋をした?
いやいや、待て待て、人はそれはファン感情と呼ぶんだよ。
ピアノを弾く時以外の彼には興味はない。これを恋と呼ぶには、何ともあっさりとしたうすしお味ではありませんか。恋って甘酸っぱいと聞いていたけれど? 甘さの欠片も有りませんけど?

19歳の恋(仮)にバツを付けて、次はすぐそこ18歳。
留学先の同い年のホストブラザー。
プライドが高いけれど、社交的でユーモアたっぷり、笑顔はアメリカらしくチャーミングとでも言っておきましょうか。
1つ屋根の下で部屋は隣同士。来たじゃないですか、このラブコメ展開。
別れの際には涙しましたとも。
悲しい悲しい。もう彼らに会えないなんて。
大好きだったよ、大好きだったさ、あの家が、あの家族が……

家族?

うーん、そう言えば、彼を思い出す時にはいつも年下のホストブラザーに、同じくらい子供っぽいホストファーザー、美人なホストマザーを思い出します。
悲しいは悲しいですよ。1年間近く暮らした彼ら皆と別れるんですからね。

はい、人はそれを何と言う?
親愛と呼ぶ。

これもバツ。
さてさて、遡っていって3つ目は、8歳の時。
だいぶ遡りましたね。年齢ももうそんなに残っていません。

ラストツーチャンス!

何のチャンスだよとは私が先につっこんでおきましたので、気にしないで下さい。
それは小学校の同級生でした。
お、これは来たんじゃないですか。
スポーツが出来て、顔はそこそこ悪くなく、笑顔が良かった事を思い出します。
小学生にはありがちな甘酸っぱい思い出がここに……と思いきや。
互いの親同士が私が彼に恋(?)していると知ってしまったがために展開はあらぬ方向に。
告白すらしていないのに、恋の真似事が大人なたちから降ってきます。
バレンタインデーのチョコレート、誕生日に普段使いできそうな帽子、うんたらかんたら。お膳立てがばっちり過ぎて恋に恋した様な未熟な思いは冷めてしまいます。
義理と惰性で毎年のように渡すプレゼント。
盛り上がっている親たちを尻目に子供たちはドライなものです。

これは世間で何と言うのでしょう。

空気を読むと言うやつでしょうか。

約四半世紀を遡り、
19歳ではファンでして、
18歳では親愛で、
8歳では義理と惰性。

さてさてもっと遡り、
やってきました私という人間の最古の記憶。
それは4歳の時。

私は悩みました。
相手は毎日のように私をいじめます。
年上の男子と一緒に蹴ります、叩きます。
泣かされたことは何度あったか知れません。
それでも、私は思ったのです。

彼が好きだと。

ひどい事ばかりしてくる彼がそれでも好きで、
4歳にしてはませているなと現在の私もびっくりですが、
悩み悩んで母に告げます。

兄が好きだと。

そうです。
恋(?)をしたのは、実の兄。それも、双子の兄です。
まさかの4歳にして禁断のラブロマンスが!?
それにしてもその頃に近親相姦で悩むなんてほんとませすぎだよ、4歳の私! 
と机をバンバン叩きたくなるアラサー自称女子の私。

悩みぬいた4歳の私に与えた母の答えは、

「それは兄弟愛よ」

さて、ここで問題です。
その答えに対して、誤解を恐れないならば、DVの近親男に思いを寄せた4歳女子、女子どころか4歳幼女はなんと答えたでしょうか。

答えは、

「そっか!」

ちょろくも簡単に納得しましたとさ。

19歳でファン感情、
18歳では親愛で、
8歳には惰性と義理、
そして、4歳には兄弟愛

恋を知らないアラサー女子の恋(仮)遍歴。
けれど、思うのです。
確かにまともな恋をしてないけれど、
確かに本当の恋は知らないけれど、

喧嘩をしても兄弟大切に
互いに苦笑しながら親の楽しそうな姿を眺める同士を得て、
血のつながらない人を家族と呼んで、
個人の生き方を美しく思う。

そんな経験をしてきた私は恋は知らなくても情は知る。
そんな私はアラサー女子。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-09-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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