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メディアグランプリ

ナイトウォークin雑司ヶ谷霊園


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遠山 涼(ライティング・ゼミ)

ふと気づくと、お墓にいた。
墓石の列が、見渡す限りどこまでも続いている。
人類がみな滅び、ご丁寧に一人残らず埋葬まで済んだ後の世界に来たようだ。
※※※

社会人になってから、雑司ヶ谷という町に引っ越した。
東京にある、池袋から電車で一駅の小さな住宅街。
休みの日には家から池袋まで、散歩がてらよく歩く。
その途中で、雑司ヶ谷霊園を通る。

雑司ヶ谷霊園は広い。
その広さは、よくある言い方をすると東京ドーム2個ちょっと分。
少し変わった言い方をすると観光バス3000台以上分、畳だと6万5000畳以上分らしい。
余計にわかりづらくなってしまったが、要はとにかく広いのだ。

家から池袋まで歩く途中で、お墓に挟まれた道を通る。
左右に無数のお墓が並んでいる道。
底を歩くと、お墓の海で一人ぽつんと漂流している気分になる。

遠くまで広がるお墓の海。
さらにその向こう側には住宅地の屋根が見えてもおかしくないはずだが、
深く茂る木々が霊園の外の世界を隠しているので、
その道からは、地平線の向こうまでお墓が続いているように見える。

お墓しかない世界に来てしまったように錯覚する。
それが、ふだんの生活のしがらみから解放される現実逃避にちょうどいいのだ。

本当のことを言えば、さらにおススメしたいのは夜だ。
それもできれば終電を過ぎた真夜中がいい。
その時間帯なら、人が歩いていることはまずない。

夏の夜中などは、人は誰もいないのにものすごく騒がしい。
色々な種類の鳴き声が聞こえてくる、
虫か鳥かカエルか、何かわからない様々な鳴き声がたくさん混じって聞こえてくる。
そのほとんどは姿が見えず、四方八方から5.1chサラウンドみたいに聞こえてくる。

街灯が等間隔に道を照らしているが、道から一歩外れたらそこは暗闇。
東京ではあまり見られないレベルの深い闇がそこら中に転がっている。
その暗闇をじっと見つめると、そこにあるはずの奥行や距離感が失われ、
この世ではないあの世とつながっているように思えてくる。

それが、慣れると心地よくなってくるから不思議だ。

どうしてそんなにも非現実的な空想をしてしまうかというと、
そこにある情報が極度に少ないため、自由な発想が生まれるだけの余白がそこにあるからだと思う。

ふだんあらゆる情報に囲まれていると、頭の中が有象無象の情報で埋め尽くされて、
そこに自分で何かを空想して情報を増やせるような余地は無い。
家にいても、外を歩いていても、その状況は同じ。

そんな折にふとそこにある無を目の当たりにすれば、図らずとも空想が生まれる。

ひとつのことに集中するときに視界から余計なものを排除するように、
人は入ってくる情報が減ると、その余白を埋めるように、何かに集中して頭を働かせることができるのではないだろうか?

そういえばお墓、というより墓石にもいろいろな種類がある。
シンプルなものから囲い付きのゴツいやつまであるが、ほとんどの墓石は四角い柱型だ。
それでいてかなりシンプル。「無機質」と言ってしまってもいいと思う。

それはつまり、必要以上の装飾や情報が含まれていないということだ。
だからこそお墓参りに来た人たちは、個人のことを自然と思い出せるのだ。

ちゃんとそういう風になっているんだなあ、と一人で勝手に感心した。
あの一般的な墓石の形を最初に作った人がそう意図したかは知らないが、結果的にかなり機能的なデザインになっていると思う。

お墓には、自由な頭の働きをさせてくれる環境が整っている。
ふだんの頭の働きが不自由なのは、社会人として「こうしなくてはいけない」とか「こう考えるべきだ」といった具合に、思考の制限を気付かないうちにたくさん作ってしまっているからだと思う。
肩こりと同じで、慣れてしまうとあたまもこっていることすら忘れてしまう。

小さい子どもの頃は、きっともっと自由に頭を使っていたはず。
まさか雑司ヶ谷霊園で、そんな忘れていた感覚を思い出すことになるとは。
僕はその道を歩くとき、頭の中だけでも自由を取り戻すことができて、幸せな気分になる。

情報過多の時代、不必要な情報まで頭の中にたまっていないだろうか?
岩盤浴でデトックスを図るなら、頭の中の情報もデトックスした方がいい。
そうすれば、自由な発想やアイディアが出てくる。
仕事や家事に役立つ情報だけでなく、何の役にも立たないムダで愛すべき発想もできるのだ。
そして僕が知る限り、雑司ヶ谷霊園を歩くことはそのための最もいい手段だ。

(こんな霊園巡りに味を占めたぼくは、実は青山霊園や少しジャンルが違うけど明治神宮とかにも何回か行った。しかし全体の規模感や雑木林と人工物のバランスをふまえると、やはり雑司ヶ谷霊園が僕的ベスト霊園だった)

ふだん情報過多やあたまのこりを感じている人は、雑ヶ谷霊園を歩いてみてはいかがだろうか?
でも眠っている人たちを起こすとよくないので、くれぐれもお静かに。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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2016-09-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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