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そろそろやばいよね。学びが身につかない最大の理由


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記事:小矢(ライティング・ゼミ)

 

 

81歳の父が生まれて初めてパソコンを始めようとしている。

 

言いだしっぺの私が、パソコン購入からプロバイダ契約、室内工事の手配、パソコンの設定まですませた。もちろんパソコンの使い方を教えるのも私の役目だ。

 

難しいことをやってもらおうとは思っていない。せいぜい、電源を入れて画面を立ち上げ、パスワードを入力、トップ画面に事前に置いた本の音声を聴くというステップを踏んでほしいだけだ。父は一人暮らしなので、どうしてもここまでは出来るようになってほしい。

 

しかし、今、完全に壁にぶちあたっている。

 

そもそも、私が父にパソコンをすすめたのは、フィービーやオーディブルのように、手軽に本を聴けるサービスを利用してほしかったからだ。

 

というのも、父は緑内障のせいで、徐々に視力を失いつつある。去年あたりまでは拡大鏡で本や新聞を一文字一文字ゆっくり読んでいたが、それも困難になってきた。

 

一人暮らしの父にとって、大好きな本を読めないのはつらい。時間をもてあましてしまう。今はテレビやCDを聴くしかないのだが、正直、81歳の父の好みの番組はほとんどない。

 

そこで、本を聴けるサービスを利用しようと思ったのだ。準備は事前に私がやる。父はパソコンの電源をつけて、最低限の操作さえできればいい。簡単なことだと思っていた。

 

しかし、パソコンを全く触ったことのない人間に教えるということが、これほど大変なことだとは思わなかった。

 

父は幸いにも(?)、仕事でパソコンを使わずにすんだ世代だ。もちろん、年齢が上の人でも使っている人はいる。ただ、父はいわゆる会社員ではなかったし、事務的なことを頼める人がずっといたので、なんでも手書きだったのだ。

 

ウインドウって何(窓ではありません)、マウスとは何のこと、から始まって、言葉の定義も一つ一つ説明をしなくては父は納得しない。

 

目の不自由な父のために、押すボタンには大きく目立つシールもはった。

もちろん巨大な字で、手順も書いた。

 

それなのに、それなのに、全く覚えてくれない。

毎回、電源を入れるところから一つ一つ教えているのに、自ら積極的に触ろうとしないのだ。そして、些末な部分にこだわり、一から説明を要求する。

 

パソコン用語自体が、生まれて初めての人にとっては外国語だ。言葉の定義から説明しなくてはいけないのはよくわかる。

 

だが、父の様子を見ていると、やる気があるのか疑ってしまう。

 

 

大人になってから新しいものを学ぶのは確かに大変だ。

私も、日々、ITの進歩についていくのが精一杯。新しいことはできるだけしたくない。

 

ただ、今の時代、IT、英語、会計(数字)の力は、誰にとっても仕事をするうえで三種の神器と言われている。学部に関わらず大学生のうちに、一定の水準を養成しておかないと、大手企業への就職は難しいらしい。

 

昔は英語も、特別な人の特別な能力だったが、東京オリンピックを前に、英語くらいできて当たり前なのだ。ボランティア通訳も増えていくだろう。

 

だからこそ、スクールが乱立している。

私自身、英語くらいできなきゃと思っても、なかなか手をつけようとしない。

 

 

学びは、知性の問題ではなく心理の問題だ。

効果的に何かを学ぶには、行動の動機(モチベーション)が必要なのだ。

 

モチベーションには内的なものと外的なものがある。

 

英語を例にとると、内的モチベーションは、英語のリズムや歌が好き、外国へ住みたい、外国人とつきあいたいなど自分の内側からでてくる動機のことだ。知りたいという好奇心があるので伸びやすい。しかし、内的モチベーションだけだと趣味の域から出られないこともある。

 

外的モチベーションは、会社の業務命令、社内の英語化、仕事で必要という外側からの強制力だ。緊急性は高い。しかし、外的モチベーションだけだとストレスが高く、効率が悪いのも確かだ。

 

内的モチベーションと外的モチベーション、この二つがうまく回転すると、最高のパフォーマンスを上げ、最短距離で学ぶことができる。

 

以前、英語が大嫌いな女性から聞いた話だ。彼女は英語に劣等感を持っていた。

通常なら、英語は捨ててしまうところだが、なんと彼女が勤めていた会社が全社英語化することに決まったのだ。これからは、日本人同士も英語でミーティングしなくてはいけない。会社が要求する水準に達しない場合、最悪会社を去るしかないのだ。これまで他の分野で実績をあげてきたのに、英語ができないというだけで評価されなくなる。もう「英語」は「普通」のことで、特別な能力ではないということなのだ。

 

もちろん会社も1年後と猶予を与えてくれたし、社内で英語のレッスンを開催するなど、英語学習も積極的に協力している。

 

しかし彼女の場合、内的モチベーションがマイナスすぎた。仕事を失うかもしないという緊急性があるので、彼女も頑張った。しかし、やがて壁がきたとき、どうしても続かず、会社をやめてしまったのだ。

 

これは極端な例だ。

 

でも、私たちの学びを阻害する一番の理由は、結局のところ心理的(内的)要因なのだ。

 

苦手意識、不安、怖れ、恥、こういった気持ちがあるとブレーキとアクセルを同時に踏んでいるようなもので、心身に与えるダメージは大きい。

 

 

ところで、三種の神器とは、持っていれば理想的であるとされる3種の品物のことを言う。昭和初期には、電気洗濯機、掃除機、冷蔵庫。昭和40年前後ではカラーテレビ、クーラー、自動車だ。三種の神器を揃えることが、一人前だというわかりやすい指標だったのだ。

 

平成の世では、三種の神器は物ではない。物は誰でも手に入れることができる時代だ。これからは、ソフト面なのだ。IT(パソコン)、英語、会計(数字)は、働く人にとって当たり前の能力になりつつある。そろそろ、もっていないのはやばい。

 

だからこそ、心理的要因を甘くみてはいけない。

 

 

父にとって、パソコンは、内的モチベーションも外的モチベーションもゼロだった。いや、内的モチベーションはマイナスだっただろう。

 

父専属のインストラクターとしては、マイナスの内的モチベーションを少しでもプラスに高めるとともに、外的モチベーションも上げるように注力しなくてはいけない。

 

そのためには、やることを細分化し、一つ一つのストレスを極限まで減らす。同じことを繰り返す。安心して進めるように、自分の学習スタイルをつくるところまで伴走する。同時に、手に入る未来のメリットを強くイメージする。

 

 

などと、学習の過程について研究し、父のプログラムを本気で考えているうちに、はたと気づいた。

 

これって、父に教えているようで、結局、私自身の苦手意識を克服しようとしているんじゃない。

 

私も平成の三種の神器を手に入れて、もっと世界を広げたいのだ。

教えることは最高に自分を変えてくれると知っているから、私はやさしい娘を装って、父を実験台にしているのだ。

 

やっぱり、ありがとう、ごめんね、お父さん。

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-09-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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