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九州博多国田中さんの願望


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記事:住所不定☆ジョブズ「(ライティング・ゼミ)」

「お菓子で泣いてしまうなんて、初めてでした!!」
「緊急入荷できました。今、噂の泣けるお菓子」

 エスカレーターで上の階に行こうとしたら、こんな衝撃的な言葉が目に飛び込んできた。いつもなら素通りしてしまうところだが、設置している場所が絶妙で、エスカレーターに乗ろうとすると嫌でも目にする場所にそれは置かれていた。

お菓子で泣ける?

 最初見たとき、意味がわからなかった。あまりの美味しさに泣いてしまうのだろうか。それともわさびでも練りこんでいて、辛さで泣いてしまうのだろうか。いろいろな妄想が、頭に浮かんでは消える。

 ここは、博多駅にあるバスターミナル。その名の通り、九州各地を結んでいる高速バスの発着所だ。もちろん、本州行きの高速バスもあれば、一般的な近距離の路線バスの発着所でもある。九州は高速道路が良い感じで伸びているので、ライバルである鉄道よりもずっと便利だ。しかも安いときてる。

 そのため鉄道は苦戦を強いられきたが、近年は大きく方針転換した。利便性を追求するのではなく鉄道での旅の楽しさを提供する、というものだ。その究極の形が「ななつ星in九州」といえばご理解頂けるだろう。

 バスターミナルは、純粋にバスターミナルとしてのみ機能しているわけではなく、多くのテナントが入っている。それは、いわゆる「鉄道の駅」としての役割を担っているからだ。先ほども述べたが、高速バスのおかげでこれから旅行に行く人や帰省する人も多く利用する事から、飲食店やお土産屋が入っている。それだけではなく、駅に隣接しているという立地もあり、駅ビルの役割も持っている。そのため、日常的に使う人も少なくない事から、本屋や娯楽施設もある。

 この時は、僕も最上階に用事があったのでたまたま建物の中に入り、気になるものを見つけてしまったというわけだ。近づいてみると、なにやら説明書きがあった。僕なりの解釈を要約するとこんな感じだ。

「この商品は、『あまおう苺加工のプロ』を宣言している、福岡県糸島市に販売加工所を構えるお店が研究し完成させたウェハースである」

「ウェハースの商品名の要である『あまおう(王)』から、国王として『田中』というキャラクターを作り、その良さを具体的に説明するために物語を作った。その物語と味を同時に体験する事で、少しウルウルするというお客の反応があった」

「物語について期待の声が出ているので、アニメ化の準備をしている」

 泣けるお菓子の理由についてはわかったが、肝心の物語はパッケージの中に冊子として入っているとの事で、買わない事にはわからない。そんな事から、福岡県民なのに福岡のお土産を買うという訳のわからない事をしてしまった。

 家に帰り、早速開けてみた。確かに一番上に冊子があった。だが、ここでは冊子は無視して、お菓子を食べてみる事にした。味にも自信があるようだったので、まずは食べてみたかった。

 お菓子を見てみると、幾重にも重ねられたウェハースの間に、苺クリームが挟み込まれている。てっきり、ウェハースの生地に練りこませているものと思っていたので、良い意味で裏切られた。

 最初はウェハースのサクッとした食感が歯に当たり、そのまま食べ続けると中からジュワッと苺クリームが出てくる。説明に書かれているのでわかってはいたものの、想像以上の酸味だ。ウェハースはその性質上、スポンジのごとく口の中の水分を吸ってしまい、食べていると段々乾いていく感覚がある。しかしこのウェハースは、挟み込まれた苺クリームが良い潤滑油の役割を果たし、最後まで乾く事はなかった。また、苺の加工ではどこにも負けないと自負するだけに、その苺クリームも絶品で、お菓子のクリームとは思えないほどの美味しさだった。食べた後もしばらく口の中に余韻が残っていた。

 ウェハースの事を表現するのに多少違和感はあるかもしれないが、これまで食べ中では一番ジューシーだったと思う。そして、一番重要なのでもう一度書くが、加工菓子とは思えないほどの酸味がある。

 もともと「あまおう」が持っている特徴なのかわからないが、凄い苺だと思った。苺の王様と言われるだけに値段も高く、福岡に住んでいながら一度もあまおうを食べた事がなかった。季節になったら、今度は食べてみようと心に誓った。

 食べ終わったところで、おもむろに冊子を取り出してみる。表紙には、このお菓子に対する思いや誇り、簡単な説明が書いてあった。お待ちかねの物語は中に書いてあった。

 九州博多国を舞台に、中世ヨーロッパをイメージさせる世界観であり、父と娘の努力と、それに対する周りの反応が描かれていた。出来上がっもの(ウェハース)には絶対の自信があったものの、誤解と挫折により物語は佳境を迎える事となる。

 ファンタジーの力を借りながら、実際に商品開発の時のエピソードも盛り込んでいるのかもしれないと思った。これだけの酸味を持つお菓子を作るのに、どれほどの苦労と困難が伴ったのかは想像に難しくない。恐らく、激論も戦わせた事だろう。もう無理だ、と言った人もいるだろう。それでも熱意と情熱があれば「実現出来るんだ」、という事を教えてくれた気がした。

 このお菓子を購入する時、店員に他ではどこで購入出来るのか聞いたところ、「博多駅」と「福岡空港」でしか買えない、との事だった。通信販売もしていないらしい。つまり、口コミだけで広がった隠れた銘菓というわけだ。

そんな魅了的な田中さんに会いたくなったら、福岡にきんしゃい。

 

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