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メディアグランプリ

口笛吹いて、改札抜けよう


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:村井 武 (ライティング・ゼミ)

朝、家を出て最初に会う人が、いきなり「チッ!」と舌打ちをするのを聞いたらどうしますか。動揺しますよね。え、ワタシ何かしました? と不安になりますよね?

舌打ちを聞くことが多いのは朝の改札。

多くの鉄道で使われているプリペイドカードタイプの乗車券。PasmoとかSuicaとか。首都圏では殆どの駅で利用されているのではないか。改札を通過する際にカードを読みとり機に軽くタッチすることで、駅の構内に入ることができる。

ただ、タッチの仕方が微妙だと「ピンポーン」と鳴って「下がってもう一度タッチしてください」とか、料金不足だとやはり「ピンポーン」の後に「(料金を)チャージしてください」と合成音声で言われる。

人のすることだから、うまくタッチできなかったり、うっかりお金をチャージし忘れたりということはままある訳だが、そんなミスにもあたらないような振る舞いが、異常に気に障る人がいるようなのだ。

私がよく見るのは、改札を抜けるとき私の前の前に並んで改札を抜けようとする人が「ピンポーン」と鳴らしてしまい、その次、つまり私の直前の人が
「チッ!」
と舌打ちをして、前の人をにらみつけ、横の空いている改札か、警告が消えた改札の読みとり機に、自分のカードの入った財布なんかをこれ見よがしに
「ペシッ!」
と親の敵のように叩きつけて行くシーン。

朝一番から、これ見せられると、気持ちがよどむ。
そ、そんなに怒らなくたって。いや、舌打ち男(私の観察するところでは、九割九分はジェンダー男なのだ)は、怒っている意識すらないのかもしれない。

「ピンポーン」と聞いたら、厄払いの儀式でもあるかのように

「チッ!」「ペシッ」

をやらないと、ただ気が済まないようなのだ。これ自体、違法行為でもないし、それで本人の気が済むなら、いいか……というと、そういう問題でもない。

目の前で、あるいは、時には私が「ピンポーン」を鳴らして、真後ろでこれをやられると、舌打ち男の感情の揺れが私にも伝わって、私の怒りと哀しみの引き金を引くのだ。

「なーんで、このくらいのことで、舌打ちして、ペシッとやるかなー、このおっさん。家で朝から面白くないことあったのかな。いやいや、こういう不機嫌なおっさんは、職場でも、どこでも不機嫌なんだ。不機嫌なオヤジは、不機嫌であることでその場を支配するからキラいだ、だいたいこんな狭量なおっさんは電車が止まると真っ先に駅員さんに詰め寄るタイプなんだ……」
と私の中のどす黒い感情の連鎖が、これも朝から沸きだして止まらなくなる。そんな自分に気づいて「あー、こっちもいい歳したおっさんなのに、あんなことで心乱してどーすんだ」と哀しくなってくる。その気持ちのグルグルは改札を出た後でもなかなか止まらない。

きっと、今の僕は思いっきり不機嫌な顔をして、眉間にしわも寄ってるんだろうなと妙なところでメタ認知が働いたりする。

こうなると、朝から私の気分を害する引き金を引いてくれた舌打ち男を追っかけて行って、後ろ頭をハリセンでパッチーンと張り逃げしてやりたくなる。いや、視野ではおっさんを追っているから、心の手は巨大なハリセンを持っておっさんの後ろに迫り、
「おやじー! 朝から人の機嫌まで悪くさせんじゃねーよー。ばーん」
とハリセンをかますところまでヴィヴィッドに描いてしまうのだ。

ね。これって、舌打ち男の「チッ!」「ペシッ」と同じじゃないですか。

舌打ち男の態度は、私の心の中に、相似形の、機嫌悪いおっさんを惹き起すのですよ。

もう、はるか向うの改札で「ピンポーン」って鳴ってるのを聞くだけで、あー、舌打ち男が出てるかなぁと憂鬱になるくらい。頻度でいうと3日に一度くらいは遭遇している。この頻度で機嫌が悪くなるって精神衛生によろしくない。

これでは、いかんよ、こんなこと気にしてるのはおかしいよ、と意識すればするほど、「ピンポーン」に反応していくワタシ。

どうにかならないかなぁ、と考えあぐねていたとき、ふと、あーこれ、あれと似てる、と思い当った。

「ピンポーン」
「チッ!」
「ペシッ」

これ、クイズ番組で、ボタンの早押しに負けた高校生が悔しがっている絵じゃないか。

「ピンポーン」と敵チームのボタンが先に反応。
「あー!」と叫びつつ悔しさのあまり、ボタンを「ペシっ」と空押し。

福沢アナ(でなくてもいいけど)の「○○クン、残念!!」と叫ぶ声。

いっぺんそう思ったら-もちろん、絵柄に無理はあるんだけれども-「ピンポーン」と鳴ると、機嫌の悪いおじさんをワクワクしながら探すようになってしまった。

心象風景ってかくも簡単に変わる。舌打ち男に心象ハリセン食らわせる代わりに福沢アナ(でなくても、ホントにいいんだけど)になりきって
「ピンポーン」
「あー、横山君(でなくともいいんだけど)、遅かった。悔しい、横山君(って誰だよ)」
と解説を入れると、不機嫌なおじさんの横顔にちょっと腹筋震えるくらい笑えることも。

でも、ホントは、朝の改札では舌打ちするより、小さく口笛ふくくらいのご機嫌でいた方がよいと思うのですよ。(実際に口笛吹いたら「うるさい」って言われるから吹きませんけど。) せめて自分の不機嫌は笑いに変換する工夫をして、今日もご機嫌さんでまいりたいものです。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-11-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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