メディアグランプリ

天狼院落語とスピルバーグ映画の意外な共通点


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:菊地功祐(ライティング・ゼミ)

「落語とは人間の業の肯定である。覚えときな!」
立川談志はそう言っていた。

人間の業って一体なんだ?

「忠臣蔵」は、赤穂藩の47人の侍が敵討ちのために立ち上がり、主君の無念を晴らす物語なのは知られている。しかし、赤穂藩には当時300人近くの侍がいたことを知っていただろうか?

他の250人近くの侍は、敵討ちの前に怖くなって逃げ出してしまったのだ。
落語はそんな臆病で、逃げ出してしまった250人の侍を主人公にする。

「教師というのはみんな、努力しないさい! 練習しなさい! 
そうすればいつか報われるというけどね。
人間っていうものはね、寝ちゃいけない状況でも、つい寝てしまう。
ついついサボってしまうものなんだ。そんな人間を肯定してあげるのが落語だ」

立川談志師匠の落語論に、自分は心動かされた。

いろいろあって会社を辞めてしまい、フリーター生活中の自分。
人のことは言えないのだが、自分の周りを見ると、フリーターやニートになってしまった若者が多いと思う。

私は92年生まれで、ゆとり教育の影響をもろに受けてきた。
その中でも、学校の教育と社会が求めているもののギャップをとてもよく感じる。

小学校の授業で自分の夢について語るというものがあり、
ちゃんとした夢を持って生きていくことが良いとされていた。

しかし、社会はそんな夢ばかり追い求める人を求めていない。
社会の枠組みにはまって、生きていくことが求められる。

自分らしく生きるって何?
夢を持つって何?

日本の教育と社会が求めているもののギャップを常に感じていた。

立川談志の弟子だったビートたけしは教育についてこう語っている。

「日本の教育はよく子供に、夢を抱け、夢を持てというけども、
その子の夢が破れても、しっかりと生きていけるってことを教えるのが本当の教育ってものだよ。誰もが長島茂雄みたいにスーパースターになれるわけじゃないんだ。日々しっかりと生きて、死ぬだけでも人生は大成功だよ」

人間の業を理解した人じゃないと、こんなことはまず言えないと思う。
ビートたけしも立川談志の弟子だったのだ。

ゆとり教育で育ち、社会との間で生きにくさを感じる私のような世代こそ、
落語が響くのではないのか?

最近、妙に落語に心惹かれる。

落語って一体なんだ?

そんな風に落語に興味を持ち始めた頃、ある記事がフェイスブックで目にはいった。

天狼院書店「落語部」。

10月から天狼院でライティング・ゼミを受講し始め、
変わった本屋さんだなと思っていたが、まさか落語までやっていたとは……

本屋なのに落語?

もうこうなったら行くしかない! と思い、予定をこじ開けて早速申し込んだ。

いつもはこたつがあるスペースに座布団がひかれ、高座へと変わっていた。
毎回、師匠を招き、落語を披露していただいている天狼院「落語部」。

時間になり、落語家の立川小談志師匠が高座にあがった。

落語に関しての簡単な説明があり、落語が始まる……

すごい!

なんでこんなスラスラと喋れるんだ。
そばをすする音一つとっても、じっと見てしまう。

なんだこれ? 

ただ目の前で喋っているだけなのに、落語の中で語られる情景が頭の中に浮かんできて、ついつい聞き入ってしまうのだ。

こんな凄技、自分にはできないな……と初めて目の前でみる落語に
カルチャーショックを受けるも、休憩時間中に天狼院のスタッフの方が来て、
こんなことを言った。

「それでは、次はみなさんが高座に上がって落語をやってみましょう!」

はい?

さっき初めて落語を見たのに、今すぐ高座にあがって落語をやってみろって?

無茶振り……

希望された方が、師匠から簡単な落語を教えてもらい、30秒ほどの即興落語を体験していただくというものだったが、本当に初心者にできるのか?

周囲はざわつき始めた。なんだかんだほとんど初心者なのだ。
落語なんてすぐできるわけがないと思った。

はいっと一人が手を上げて、裏で師匠に即興落語を教えてもらい、
高座に上がった。そんな簡単に落語ってできるのかな?

それが、落語ができていたのだ。

なんで?

次々、落語部の人が「次は私がチャレンジします」と手を上げ、高座に上がっていく。

みんな即興で自分の落語を作っているのだ。

凄い。

自分もやってみたい。
そう思い、勇気を出して高座に上がってみることにした。

裏で師匠から簡単な落語を教えてもらう。
師匠の指導はすごかった。

落語の大筋だけ教え、あとは本人に作ってもらうというスタイル。
本質だけを教えて、あとは自分流にアレンジしろ! っていう感じ。

だから、高座に立っても自分の言葉で落語をアレンジして、
みんなスラスラと落語を喋れたんだと思う。

ついに自分が高座に立ち上がる。
頭が真っ白になった。
人々の視線が自分だけに集まっている。

落語を始める……

……オチを忘れた。

せっかく師匠から綺麗なオチで決まる落語をレクチャーしてもらえたのに、
頭が真っ白になって肝心のオチが飛んでしまったのだ。

無念……

初めての落語で失態をしてしまったが、それでも高座に上がって落語を披露したことで、学ぶものがあった。
それは人々の想像力をかきたてることの重要さだ。

師匠は落語の本質をこう語っていた。

「落語は、扇子でそばをすする動きや身振り手振りで、観客の想像力を刺激することが大切なんです」

映画監督スティーブン・スピルバーグの初期の代表作「ジョーズ」を見た人も多いかと思う。

当時若干27歳だったスピルバーグは、故障で動かないサメのロボットに
悩まされ、撮影中断まで追い込まれていた。

そして、苦肉の策としてサメの姿を映さないという演出方法に切り替えた。

ヒレだけを映して、海中にいるサメの姿を観客に想像させたのだ。
観客の想像力を刺激する演出が功を奏して、映画は大ヒットした。
見るものよりも、想像させる方が、人はワクワクを感じるのだ。

スピルバーグも落語家も観客の想像力を刺激するという意味でやっていることは同じなのだ。

私も彼らのように、見る人の想像力を刺激するエンターテイナーになりたいと思う。

***
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2016-11-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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