「男脳な手帳、女脳な手帳」
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:鈴木かずこ(ライティング・ゼミ8月コース)
目の前の仕事を、切り刻むように片付けて、定時になれば、颯爽と帰宅する。
毎年、そんなカッコいいビジネスウーマンになりたくて、新しい年の手帳を買っている。
私は、今まで、いろんな手帳を使ってきた。
普通のビジネス手帳から始まり、時間術で有名な方が作った手帳まで、いろんな種類の手帳を手当り次第やってみた。
学生のときからも、手帳選びに時間をかけていた。自分にとってマッチしたものがなく、自作した年もある。
こんな手帳フリークな私は、実はこんなことを思っていたりする。
「手帳に、男脳と女脳があるのでは?」
手帳に男も女もなかろうに。そう思われるかもしれない。けれども、実際に使ってみると、違和感を感じることがあり、大抵、手帳の脳みそと、利用者の傾向がズレているため、手帳は使いづらいものになるのだ。
昔から、書店に行くと、「家計簿」「手帳」が売られている。ビジネスマン向けと主婦向けだ。今では随分と種類も増え、彩りも鮮やかになったが、昔は「男は黙って黒」「女は静かに花柄を」といったテンプレート的戦略がどうも気に入らなかった。
ビジネスウーマン用に、まるでかつての「ランドセルの赤が女子」といったような赤色の手帳が、申し訳無さそうに陳列されているのが関の山だった。
まず、ビジネスマン向けの手帳用途を整理してみよう。
・アポイントを記録する。
・社内会議や取引先との打ち合わせの内容を記録する。
・もらった資料や名刺をとりあえず挟んでおく。
たった、これだけである。
そして、この予定は、ただ「集まる」事実だけ記録され、自分自身の仕事の段取りを記録することは、ほぼない。
果たして、これがビジネス手帳と言えるのだろうか。まあ、それでいいなら、構わない。
次に、主婦向けの「家計簿」を見てみよう。
正直、無駄に細かく記録することを強要してくる。正直、いくら入って、いくら支出したか、大まかに分かればそれで十分だ。支出の傾向を分析したければ、家計簿ではなく、会計ソフトを使った方が断然早い。
細かく書くことを要求しておきながら、欄が小さく細いため、書きづらさを余計に感じる。これで、家計簿を続ける人は、よほど強い忍耐力があるのだろう。私には、絶対に無理だ。余計な挿絵や項目を削って、欄を大きくしてほしいものだ。しかし、そんな効率的な家計簿は、私はみたことがない。
以上のように、手帳はとても使いづらいものになっている。相性のいい人はラッキーだが、そうではない人は、また一年、悲劇の日々を送ることになる。
さて、この由々しき問題を、どうやって解決すればいいのだろう。
ここで、先程の「男脳」「女脳」になってくる。
「男脳」とは、空間認識力は高いが、マルチタスクが苦手であり、論理的であることを第一に考える傾向のことを言う。
ビジネス手帳は、まさに、この「男脳」的思考で、構築されている。
事実しか記録しない。自分の事情より仕事のことだけ分かればいい。まさに男脳だ。
次に「女脳」はどうだろうか。
共感力があり、言葉巧みで話し好きである。では、女性が多く使っているだろうとされる「家計簿」はどうだろうか。
確かに、余計な情報が、あちこちと散らばっている。しかし、この散らばり方が、どうも気に食わないのだ。理由は単純だ。男脳である人が、「きっと女性はこれがいいに違いない」と推定で、作られているからだ。
問題は、男性全員が「男脳」で、女性全員が「女脳」ではないという事実だ。
人は、相反するものを内在させて生きている。男性脳の女性もいるし、女性脳の男性もいる。ものすごくバリバリ働く、男脳のサラリーマンが、自分のことになると女脳でモノを考えたりする。これは、当たり前のことで、ほとんどの人が、状況と場合によって、男脳女脳を使い分けているのだ。
問題は、手帳が画一的に統一してしまっている点である。
手帳を開く時、人はモノを考えている。「あのプロジェクトは、いつ集合かけたらいいか」「今月の予算は少ないから、どこを削ろうか」「上から〇〇やれと言われているけど、俺がやらなくてもいいんじゃないか」など。
常に、悩み、考え、結論を導き出そうとしている。そんな時、手帳は、その人の目の前で開かれているのだ。
やはり、手帳は、使い手の思考に合わせたものでなくてはならない。合わないモノを無理に使っても、非効率であり、かえって使わない方がいいのだ。
そんな手帳選びに、結局、私はこんな結論を出した。
「手帳を2冊に分ければいい」つまり、それぞれのいいとこ取りだ。
時間軸を明確にする手帳、自分の記憶と思考を書き留める手帳2冊体制だ。
おかげで、荷物が増えてしまった。でも、これで落ち着く自分がいる。
「いい手帳がないな」と思われた、そこのあなた。
手帳のいいとこ取りという、少し贅沢な選択を試してみてはいかがだろう。
***
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