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メディアグランプリ

ライティングという名の冒険物語


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:杉村仁子(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
映画『インディ・ジョーンズ』のワンシーンのような光景が目の前に広がっている。険しい崖をつなぐのは、不安定なかずら橋。私が一歩踏み出すと端からブチブチっと音をたてて吊り橋が切れ、残がいとともに谷底へ落ちていく……。
 
「ああーー!」
 
どうか安心してほしい。これは、私の脳内で起きた出来事だ。
 
手前の崖が意味するのは、誰かに何かを伝えたいという思いの領域。向こう側の崖が、実際に表現するという実行の領域だ。その間をつなぐ橋は、「アウトプットをするぞ」という勇気を意味している。
 
そう、私にとって何かを表現するというのは、ふらふらと揺れる橋を歩くようなもので度胸が必要なことなのだ。ツイッターの一言さえも、いつもおっかなびっくり橋を渡って、ひけた腰でちょこちょこっと何かを書いたらすぐにこちら側の安全地帯に戻ってくるような状態だった。
 
しかし、この夏、かろうじて架かっていた吊り橋が無残にも崩れ落ちた。知人のささいな冗談がきっかけだ。
 
そもそも私は、過去に文章を学んだことはない。真剣に何かを書いたのは、30年以上前の学生時代の作文くらいだ。
 
だというのに、電子書籍を発行することになったのだ。理由は、アートディーラーのK氏と出会って、彼を講師にゴッホやレンブラントなど美術館クラスの絵画取引の講演会を数回開催したのだが、それらが好評だったため、誰もが読めるかたちで残したいと思ったからだ。
 
私たちは、絵画というとなぜか「崇めなくては」というボタンが自動的に発動し、実際に自分がほんとうはどう感じているのかという気持ちを忘れてしまう。もちろん、それは高貴なものに対する自然な感情だ。
 
しかし、もとをたどれば、絵画は画家が職業で描いた商品であるケースが大半だ。
 
時代によって異なるが、彼らは、貴族や教会に買ってもらうことが目的で作品を完成させた。画家の手を離れたあとは、何人ものコレクターや投資家の手を経て、最終的に美術館で宝物のように展示されているのだ。
 
美術を考えるうえで、作品の表だけでなく裏側も知ることが、アートの本質を知るきっかけになり得ると、K氏の話で私は気づいた。
 
絵画取引にかかわる話は、業界のなかでは内密で、公に話してくれる人は世界的にほとんどいない。日本では皆無と言ってよい。
 
その証拠に講演会は、大盛況だった。終了後は、私のLINEの通知が鳴りやまず、参加者から「こんな話は聞いたことがない」「ほんとうに面白かった」というコメントが続々と届いた。
 
K氏は「あとは全部君に託すよ」と言ってアートディーリングの世界から引退した。私は講演の文字起こしをおろおろしながら、2回分なんとか出版した。しかし、読者の反応は芳しくなかった。
 
あれほど好評だった講演会が、なぜ書籍になると面白くなくなるのだろうか。突き詰めてわかった。問題は、何かをアウトプットすることへの不安にあるのだ。
 
そんな相談を知人のライターにすると
 
「文章の素人が出版なんて。私なら恥ずかしくてできない」
 
と彼女は冗談半分に言った。
 
一かけらのガラスのような希望が、ジャリッと音を立てて踏みつぶされた。その時に脳内の橋が落ちたのだ。
 
自分で思っている以上に私はその言葉に青ざめたようだ。気にした彼女に何度も謝らせてしまった。
 
別れたあと彼女からメッセンジャーが届いた。そこには「ここで文章の書き方を教えてくれるよ」と天狼院書店のライティング・ゼミのリンクが書いてあった。
 
それがきっかけで生まれて初めて文章について学ぶことになった。2022年8月のことだ。
 
ライティング・ゼミの目的は、全16回の投稿を行い、フィードバックを受けることにある。一定レベルに達したものは、書店のWEBに掲載される。
 
第一回目は何を書いてよいのか全くわからず、ネタづくりのために締切当日に日帰り温泉に行ってそのことを2000字にまとめて期限ギリギリの23:55に提出をした。
 
他の参加者の投稿を読んだ途端、夜中だというのにどっと冷や汗が噴出した。
 
どれも読みごたえがあり、文章のお手本のようだった。課題提出をあと15回続けるなんて難業を超えている。私はもう投稿するのをやめようと布団をかぶった。
 
「いや、待て」、過去に仕事やプライベートで何度もこのような恥ずかしい状況に陥ってきたが、耐えて前に進んだときに大きな収穫が得られたことを思い出し、踏みとどまった。
 
対策として、他の参加者の文章を通勤時間で読んだり、フィードバックの文言をいつでも見えるように壁に貼ったり、天狼院書店のYouTubeを見て我流で勉強を続けた。そして4回目にして初めて掲載されることができた。
 
その夜のこと、私の脳内で小人の工夫達が集まって、崖のこちら側と向こう側に橋をもう一度かける工事を始めた夢を見た。
 
5回目以降は「こう書けば、いいのか」となんとなくわかるようになった。それからは掲載率が上がり、「編集部セレクト」にも2度選んでいただけた。
 
課題を提出すればするほど、脳内の小人たちのモチベーションは上がった。
 
彼らは、言った。
「ご主人の決意は本物だ。俺たちも前よりしっかりした橋を架けようぜ」
 
そして、今日、16回目の最終課題の投稿日を迎えた。私は、完成した橋を「思い」の側から悠々と歩き、向こう側の「表現」の崖へと渡り切った。
 
今の私は「自分は書ける」という希望に満ちている。もちろん、技術のレベルはまだ低い。しかし、文章の基本となる思いを表現することが、以前のように怖くない。もう震えてもいない。
 
時代も周囲の状況も刻々と変わるなかで、何かを書いて発表しても望むような結果が得られないこともあるだろう。自信を無くしてまた橋が落ちてしまうこともあるだろう。しかし、それもきっと乗り越えられるはずだ。
 
今はただ、ライティングという名のエキサイティングな冒険を続けたいと思っている。
 
ここまで私を導いた、ライティング・ゼミに心からお礼を伝えたい。
「勇気を育ててくれて、ありがとう」と。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2022-12-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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