「あ、14代目やん。すご」
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記事：森山寿介（ライティング・ゼミ9月コース）
「あ、14代目やん。すご」
家系図みながら発した言葉。
あなたは自分の家の家系図を見たことはあるだろうか？
家系図とかって、有名な家にしかないものだと思ってないだろうか？
少なくともボクはそう思っていた。
5年くらい前に、たまたま奥さんがハマったスピリチュアル系のお話をするラジオ番組の影響で、先祖だったり、スピリチュアルだったりを耳にする機会が増えた。
正直に言うと、ボクはこの手の類に傾倒しすぎてる人があまり得意ではない。
自由な世界観で、それぞれに信じる者があって、それぞれのスピリチュアルがあってよいとは思うのだけど。
そんなスピリチュアル系ラジオの男性パーソナリティは、底抜けに明るいおじさんで、毎回、片手間に聞いてるのに、ついつい聞き入ってしまい、時に噴いてしまうこともあった。これはスピリチュアルどうこうではなくて、この人のスピーチ能力の異常な高さのせいではないかと思っていた。
そんな、おじさんパーソナリティ番組で墓参りの話がでた。
そして、お墓に刻まれてる色んな人の名前を声にだして読み上げてお参りをするのが良いよという内容だった。それをやり始めてから、人生が好転したとか、事業がうまくいったという報告が後をたたないらしい。なんだろうか、そういうのが嫌いなのだ。
「ええ、まぁ、そうしたほうがいいんだろうけど、めんどくさいし、ちょっと恥ずかしいやん」というのがボクの本音だった。
「家系図を集めてますか？ない人は絶対に集めた方がいいよ！すごい発見があるから」
という問いかけもあった。
たしかに、スピリチュアルは横においても、自分の家の家系図を見てみたいという欲求がわいた。自分のルーツをたどってみたいというのは、歴史好きな男性には強くある欲求かなと思う。家紋とか名前の由来とか好きな人も多いし。
これをきっかけに、森山家の家系図集めがスタートした。
まずは、地元の区役所にあたり、親の戸籍情報をあつめようと思った。
だが、さっそく壁にぶち当たった。母は何度も転居しており、本籍地が動いているため、地元でとれる情報は直近までで、その前のものは、その前の本籍地に問い合わせして集めないと取れない上に時間がとてもかかるとのことだった。
めちゃくちゃ乗り気になってたのに、あっさり挫かれてしまった。
母に今回の顛末を話しに行ったら、遠い親戚が昔、集めていたかもしれないと言い出した。
なぜ、それを最初から言わないのだという言葉が喉から半分は顔を出していたと思う。
急いで、ほとんど連絡とったこともない親戚に連絡をして、家系図を見たいと言ったら、すごく喜んでくれた。
「若いのにそんなの興味持って偉いねぇ」
と言ってくれたのが印象的だった。
この時、すでに30歳後半すぎてたんだけど、それは言わないでおくことにした。
それから数日後、分厚い茶封筒が届いた。
その中には、家系図はもちろん、森山という名前の由来やルーツ、沖縄の官職であったこと、家紋の意味などが書かれた書類が10枚くらい入っていた。
なんとも言えない気持ちというか、自分の家にも家系図があったことが嬉しかった。そして、14代目のところに自分の名前が記されていたことも誇らしかった。数百年も脈々と続く命のリレーみたいなものを見ている気分になった。
当たり前だけど、自分の親にも両親がいて、その両親にも両親がいる。10世代さかのぼると先祖が1,024人にものぼるらしい。これだけの人が出会い結ばれて命のバトンと繋いできたんだなと思うと感慨深い。どこかで1人でも欠けたら自分に繋がらなかったかもしれない。当たり前って、当たり前じゃないやん！
生命を授かり親に感謝しましょうみたいなステレオタイプなことを言うつもりは全くないんだけど、自分のルーツをさかのぼってみるのはどうだろうか？やってみる価値は保証する。
ボクの場合は家系図のお陰で自己肯定感はかなり上がった。。
「ふふふ、俺は14代目やで」
と思ってるだけで何となくいい気分です。
なにより、一番大きかったのはお墓参りをする時の心境の変化。
いろんな人間ドラマがあったんだろうなと刻まれてる名前を見ながら、勝手に先祖に思いをはせる時間ができたこと。いままでは考えも思いもしなかった領域に気づいたことは家系図のお陰だなと思う。
あなたが今そこで生きていること自体が当たり前なんかじゃない！
ボクも同じように当たり前じゃなかった。
あなたもきっと何十代目かの人なはずだ。
あなたの苗字にもストーリーがあるし、家紋にも歴史があったりするはず。
是非、家系図を探してみて、ご両親や、おじいちゃん、おばあちゃんにいろいろ聞いてみてほしい。あなたの家系にまつわるすごいドラマがあるかも知れないから。
＊＊＊
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