最高に幸せなクリスマスの過ごし方
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:沖ノ島大輔 (ライティング・ゼミ12月コース)
「メリークリスマス!」
直訳すると素敵なクリスマスを!
クリスマスパーティー、クリスマスケーキ、クリスマスプレゼント。
クリスマスは多くの人にとって、言葉の意味通り、陽気な、楽しい、お祭り気分の幸せな日という共通の認識があるように思います。
久しぶりに行動制限のなかった昨年のクリスマス、皆さんは幸せに過ごされましたか?
私はといえば、とても幸せに過ごしました。
子供はアルバイト、妻も仕事で不在、私自身も夜遅くまで仕事をしていました。そして仕事帰りにひとりメシ。
え? クリスマスなのにそれは不幸じゃないかって?
全然そんなことありません。
その理由をこれからお話しします。
幼稚園の頃、「お利口さんにしていたら、きっとサンタさんがプレゼントをクリスマスの日に、届けてくれるからね」という先生の言葉を信じて、楽しみにしていたクリスマスの日。
朝起きて、枕元どころか、どこをどう探しても、クリスマスプレゼントはありません。「お利口さんにしていたつもりなのに」と、サンタクロースからプレゼントが届かなかった私は泣きながら父に聞きました。
すると父はこう答えたのです。
「大輔、クリスマスというのはな、イエスキリストの誕生日なんだよ。サンタクロースからのプレゼントというのはキリスト教の家に届くものなんだよ。うちは仏教だからクリスマスはいつもの1日と変わらないんだよ」
泣きじゃくる幼児にそんな難しい話がわかるわけがありませんよね。
続けて父はこう言いました。
「大輔、もうすぐお正月があるじゃないか。お正月にはお父さんがお年玉をやるぞ。新しい年を家族みんなでお祝いしようじゃないか」
歌にもあるように、もういくつ寝るとお正月、そう、クリスマスが終われば1週間もしないうちに年も変わる、幼いながらも、やがてもらえるお年玉に期待を膨らませ、サンタクロースからのクリスマスプレゼントは流した涙とともに落ち着きました。
その分、お正月は豪華に過ごした記憶があります。ご馳走もそうですが、お年玉のほかに、父は必ず毎年ゲームをしてくれました。例えば小豆を箸でつまみ皿から皿へ1分間でどれだけ移せるかとか、トランプゲームだったり、ダーツゲームだったり、賞金を用意してくれて、親戚が大勢集まって賑やかに楽しく過ごしました。
おかげで、クリスマス=キリスト教の習慣という概念が幼少期から植え付けられたために、クリスマスは私にとっていつもと変わらない1日という認識のまま大人になりました。
「クリスマスの過ごし方やプレゼントの話題となったら、うちは仏教だからクリスマスは関係ないんだと言えばいい」と、言い訳まで父が作ってくれました。
それでもやはり、年頃になると、テレビや雑誌で映し出されるキラキラした、あったかい家族や恋人と過ごすクリスマスの風景を羨ましいと思うこともありました。あんなふうにクリスマスを過ごしてみたいなと憧れたこともありました。
でも、商売人だった父は、私にこう言いました。
「大輔、クリスマス商戦という言葉があるようにな、クリスマスは一年でものが一番売れる時期なんだよ。サラリーマンは冬のボーナスをもらって少し浮かれ気味、出かける機会があればおしゃれするためだとか、プレゼントだとか、服や小物が売れるし、人が集まれば飲み物も食べ物も売れる。デートならホテルやレストランも大盛況。クリスマスは年に一度の稼ぎ時なんだ。クリスマスに売れ残っても、すぐ正月が来るだろう。福袋に詰め込んでしまえばいいんだよ。いいか、大輔、俺たちはクリスチャンでもない日本人だ。クリスマス商戦に金を使うんではなく、仕掛ける側になれ」
なるほど。
たしかに。
クリスマスギフト、クリスマスコンサート、クリスマスセールなど、クリスマスにかこつけた商売がたくさんあることに気がつきました。
そんな環境で育った私にとって、クリスマスは稼げる年に一度のビッグ商業イベントになりました。
大人になり、結婚をし、家庭を持ち20年以上たちますが、私と価値観の合う妻、そしてその子供ですから、当然我が家にクリスマスというイベントはありません。家族全員、クリスマスは金を使う側ではなく、使わせる側にいます。
クリスマスは誰かと幸せに過ごす日、もしそう教えられて育ったら、どうなっていたでしょうか。
クリスマスなのに、ひとりぼっち。
クリスマスなのに、お金がない。
クリスマスなのに、時間がない。
そんなふうに、この日はとても不幸な日となってしまいます。
私にとって、最高に幸せなクリスマスの過ごし方。
それは、思い悩むことなくクリスマスの日を過ごすことができること。
商売をしていた父の、クリスマスを家族と過ごせない言い訳だったのか、ビジネスセンスを養わせたかったのか、その本心はわかりませんが、亡き父のおかげで、ひとりぼっちでも、お金がなくても、時間がなくても、幸せにクリスマスを過ごす術を身につけることができました。
幸せにクリスマスを過ごしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
***
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