時間を守らない人との付き合い方
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:古川 実花(ライティング・ゼミ4月コース)
1年の中で仕事が最も忙しい4月初週を終えた週末。きっと疲れも溜まっているだろうと、思いっきり休むために特別用事は入れていない。
強いて言うなら、一緒に住むシェアハウスの人から近所の公園でのピクニック&読書会に誘われている。天気が晴れれば外でのんびり読書をするくらいで、他はほとんど引きこもっているだろう。
案の定、土曜日はレンタル漫画を20冊して、そのうちの10冊を読むという有意義な時間を過ごした。
***
日曜日。
土曜日のLINEのやり取りによると、朝8:00に集合して、選挙に行って、家に帰って、サンドイッチを作って公園へ行く流れ。
のはずが、朝起きると夜中にLINEのやり取りがあったようだ。集合は9:30になっていた。
まあ、よくあることだ。
9:30になってシェアハウス内の共用スペースに下りようとするとまたLINEが。
「全く準備が間に合いそうにない」
ということで、集合時間は10:00に変更になった。
まあ、想定内だ。この程度で私の感情が掻き乱されることはない。
***
20歳くらいまでは、時間を守らない人は相手のことを軽んじている。つまり、大切に想ってもらえていないのだとひどく落ち込んでいた。
しかし、大学生の時に出会った友人のおかげでこの考えは大きく変わった。
彼女は毎回遅刻する。本当に毎回なのだ。
今までに10回以上は待ち合わせたが、すべてにおいて遅れている。遅れる時間はまちまちで、たいてい30分以内。もう誘わない方がいいかなと心が折れかけても、毎回誠意をこめた謝罪をしてくれる上に、遊びに誘ってくれる。そして、私と一緒にいて楽しそうなのが伝わってくる。
彼女と接して「時間を守れない」という類の人間がいることを知った。
時間を守れない人は「守らない」のではなく、「守れない」のだ。これはもう、しょうがない。
時間を守ることと相手を大切に想うことは必ずしもイコールではないと彼女から学んだ。
それからは暇つぶしの本を持ち歩く習慣ができた。身支度に時間がかかって電車に乗り遅れたと連絡を受けようが、待ち合わせ時間を勘違いされて駅で30分待つことになろうがへっちゃらだ。ただ、彼女との出会いで大きく考え方を変えられたものの、それだけではまだ落ち込む要素が残っていた。
相手が時間通りに来ないと思って準備をすることは相手を信頼していないとも言えるのではないか。それは、とても失礼なことではないか、と悩んだのだ。我ながらなんとめんどくさい思考回路だ。
もし、あなたの周りにもこんな風に考えてしまう人がいたらこう声をかけてほしい。
それは信頼していないんじゃなくて、期待していないだけだよ。と。
期待をかけることと信頼を寄せることは別ものだ。
期待は、かけた分だけ自分に返ってくるものがあると無意識のうちに期待してしまうため、もし相手が思い通りに動かないとショックを受けてしまう。もしくは、イラついて怒りを覚えてしまう。
一方で信頼は、人間関係の状態を指している。そもそも何かのお返しを期待するようなものではないため、ショックを受ける要素もイラつく要素もない。
この捉え方の転換で、必要のない罪悪感はなくなっていった。私は、友人が時間通りに来ると期待はしていないが、友人のことは信頼しているからである。
***
待ち合わせ時間が当初よりたった1時間半後ろにずれたところで、私の感情が掻き乱されることはない。
「ごめん、遅くなったー」
「よし、集まったし選挙いこー」
10時過ぎ、徒歩10分もかからない投票所へようやく向かう。
「ねえ知ってる? 手をかざすと爪楊枝を1本だけ出してくれるモダンな機械があんねんで」
どうしてこんな会話に至ったのか思い出せないような世間話をした直後、真面目に鉛筆で候補者の名前を書き、投票。帰りはまた、もはや何を話したか思い出せないがただ楽しかった記憶だけが残る会話をして帰宅した。
その後、ちょっと一息してからキッチンへ。
1人で1人分の準備をすれば10分程度で終わりそうなところ、1時間ほどかけてようやく準備が整った。4人分のサンドイッチと野菜スティックを紙袋に詰めて、それぞれが読みたい本を持って、いざ出発。時刻は11:30を過ぎていた。
公園までは歩いて20分ほど。話しながら歩けばすぐの距離だ。
元々の8:00集合で予定が進めば、公園には10時過ぎに着けていただろう。ところが、実際に公園に着いたのは12時過ぎ。この差である2時間をイラつきながら過ごしてしまうか穏やかに過ごせるかで、人生は変わってくると思う。
外は快晴。風は冷たいものの、日向にいればぽかぽか暖かい。今日は絶好のピクニック日和だ。
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