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添乗員としての私がお客様に知られずに行っている、ある事


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:須田 久仁彦(ライティング・ゼミ)

 

添乗員としてツアーに同行する日の朝。あらかじめ集合場所の近くでカフェを探しておき、そこで最終確認を行うのが日課だ。ツアー・スケジュール、見学場所での受付方法、昼食の内容、渋滞情報など、コーヒーを飲みながら一通りチェックする。

 

それが終わると、コーヒーを飲み干し、集合場所へと向かう。その時の気持ちは、舞台袖から舞台へと向かう、俳優を思い浮かべている。

 

***

私は旅行会社にトラベルプランナーとして勤務している。企業や学校、子供会や町内会など、団体のお客様に対し、ご希望に合わせたツアープランニングを行っている。

 

中でも最も多いのが、貸切観光バスを使用した日帰りのツアープランニングだ。こんな場所に行きたい! こんな体験をしてみたい! 美味しいものをお腹いっぱい食べたい! などなど、一つ一つ、ご希望を伺いながらツアーとして組み上げる。

 

そして時には、添乗員に同行して欲しいというケースもある。その場合、私は可能な限り添乗員として同行するようにしている。

 

実は、旅行業界には日頃から「添乗」を専門とし、勤務している方も大勢いる。もちろん、私もそういった方に添乗を依頼することもできる。

 

それでも、専門ではない私が添乗員として同行するようにしているのには訳がある。それは、自分が組み上げたツアーの反応をダイレクトに感じ、今後のツアー作りに活かすことが出来るからだ。

 

これは良かった! あれは美味しかった! と言ったご満足のお声、あれは期待外れだった! もっと、こうしてくれれば良かった! と言ったご不満のお声は、今後のツアー作りに欠かせない、貴重な情報となる。

 

また、移動時間や見学時間の設定に無理がないか、逆に余裕がありすぎないかをチェックすることもできる。

 

こういった機会は年に6~7回程度と決して多くはないが、刺激的で楽しみな仕事の一つである。

 

さて、添乗員としてツアーに同行する当日、行わなければならない仕事は様々である。

 

まずは、集合場所でお客様の出欠確認。観光バス乗務員とのスケジュール確認。出発後はバス内でお客様にご挨拶をし、訪れる見学場所や昼食場所へ最終人数の報告。見学場所へ到着すれば、お客様を入口まで誘導し、チケットを配布。そして、お客様が入場するのを見届けてから、入場料の精算。

 

昼食も、まずはお客様を会場にご案内し、全ての方が召し上がっているのを確認してから添乗員用に用意された場所でとる。10分程度で昼食を済ませ、精算し、お客様の会場に戻る。会場で召し上がっている様子を見ながら、出されたメニューのどれが一番評判が良かったか、どれが一番残されていたかを確認する。

 

その他、お客様の写真撮影のお手伝い。見学場所での道案内に、どのような場所かのガイド。お買い求めになったお土産のバスへの積込み。具合が悪くなったお客様がいらっしゃれば、休憩場所の確保などなど。言ってみればツアー中のお世話係である。

 

しかし、添乗員として最も大切な仕事は、旅程管理。ツアーが出発してから帰着するまで、全てのスケジュールをこなせるように調整し、進行させるのが最大の任務なのだ。

 

例えば、渋滞などに巻き込まれ、全体のスケジュールが遅れそうな時。どこを調整すればお客様にとって最も影響が少ないか、判断しなければならない。

 

どの程度の遅れが見込まれるかを計算し、ツアースケジュールのどこを削れば最も効率が良いか判断する。また、遅れる時間によっては、休憩するサービスエリアの場所も変更する。添乗員には冷静沈着にして、素早い状況判断が求められるのだ。

 

しかし、私はこのような冷静沈着な態度や、素早い状況判断は苦手だ。人前で話せば足が震えるほどに緊張するし、そもそも優柔不断だ。添乗員としての資質には最も遠いところにいるのだ。

 

そのため、私には、お客様に知られずに行っている事がある。そして、それにはツアーの集合前にカフェに立寄ることが欠かせないのである。

 

私が行っているのは、俳優になる事である。「冷静沈着にして、いざという時に頼りになる添乗員」をツアー中に演じているのである。

 

まず、集合前のカフェにいる間にツアーの最終確認をしながら、役作りを行う。冷静沈着に見えるような話し方、立ち居振る舞いを思い浮かべ、イメージを形作って行く。また、渋滞などツアー中に起こりえる様々な事態を想定し、何通りもストーリーを作っておく。そしてカフェを出た瞬間から添乗員を演じ始める。

 

不思議なことに演じていると思えば、大勢のお客様の前で話しても足が震えることはない。渋滞に巻き込まれても、事前にストーリーを想定しておくことで判断が遅れることもない。

 

もちろんツアーを舞台と見立てるなら、主役は間違いなくお客様である。しかし、ツアー中は安全も含め、全ては添乗員に委ねられる。お客様に安心してツアーを楽しんで頂くためにも「冷静沈着にして、いざという時に頼りになる添乗員」の存在は欠かせないのである。

 

まして、旅に「二度目」はない。仮に同じ参加者、同じ内容、同じ時期で行ったとしても、天候が違うかもしれない、心情が違うかもしれない。その時に参加したツアーで得られた感覚を、完全に再現することは出来ない。

 

このような「一期一会」の世界だからこそ、その瞬間を最高に楽しんで頂くために、私は「冷静沈着にして、いざという時に頼りになる添乗員」をこれからも演じ続ける。舞台俳優がその演技で観客を楽しませるように。

 

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-12-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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